表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

104/1219

使用人とお嬢様

 小さな部屋の寝床は、なんと綿の入れてある布団を使っているのである。あたしは、此れまで麦藁にシーツを乗せただけの、貧しい物に寝ることになれてしまっているので、これだけでもこの待遇は気に入っている。

 あたしは、今の今まで庶民の生活が貧しい物だなんて、考えても居なかった。知らなければ、自分たちが貧しい生活をしているなんて思いもよらない。今あたしは心の片隅で、マリア・ド・デニム伯爵令嬢を助けた事を、後悔している。どのみち貴族の争いに巻き込まれるのなら、彼女に成り済ました方が良かったのじゃないか。すごい贅沢な生活が、伯爵令嬢という立場には付属している。それだけでも、魅力的ではあるような気がする。とは言っても、今となっては手遅れではあるのだけれど。

 外からは見えないように、工夫されている窓からは良い風が入ってくるので、寝苦しいって言う事はない。隣の部屋は、村に時々やってくる、徴税官を泊めるたの部屋だ。そいつがここへやってくる頃に、あたしが呼び出されて、書類整理のお手伝いをすることになる。父ちゃんとする狩りより良い金になるバイトだ。

 あたしは意を決して、客間への扉をノックした。いい加減大人しく寝て欲しい。彼女と違って、こっちは結構な労働をしているのだから、明日のために眠りたいのだ。いい加減明日は、ニック達を埋葬してしまわなければ行けない。だいたい子供は、暗くなったら眠る者なである。

 マリア・ド・デニム伯爵令嬢の歌声が途絶えた。扉の向こうから、緊張している気配がする。

「眠れないのですか・・・。明日も早いのですから、いい加減に眠って頂けないでしょうか」

 あたしは思いっきり猫を被った、声を掛ける。そう言う声を出しながら、苦笑を浮かべた。ちなみにメイドさん達の真似である。どこか間違った使い方をしているかも知れないけれど、所詮平民なのだから良いよね。

「だって眠れないのですもの。隣には、何をしてくるか解らない貴方がいるし。お母様はまだいらっしゃらないし。ベットはあまり良くないし」

 伯爵令嬢がそんなことを言っている。あたしや信じられない。客間へと通じている扉のノブに手を掛けた。どんな顔をして言っているのか見てやろうと思う。




読んでくれてありがとう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ