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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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御領主様との邂逅 7

「初めまして、マリア・ド・デニムと申します。以後宜しくお願いします」


 あたしもジェシカ・ハウスマンさんに習って、正式なコーツイを披露する。其れも、意識的に深めに腰を落としてみせる。此所では、敵意がないことを可能な限りアピールしておかないと、あとで困った事に成るかも知れないからね。

 立場的には、目の前の子爵のことを下と見ることが出来ない。マリアは、デニム家の跡を取ることに成っているけれども。未だ、伯爵家の娘でしかない立場だから。爵位を持っている人に対しては、其れなりには敬意を示しておいた方が良いらしい。これまた、馬車の中で受けた、ハウスマンさんの御貴族講座で話された内容にあった。ワンポイントアドバイスだ。

 実際に、あたしは令嬢処か村娘でしかないんだよね。だから、下に見るような態度なんか、取るつもりもなかった。

 一応マリアのことを悪く言われないようにするくらいは、個人的に気にしたいと思っているけどね。あんまり悪い噂が立つと、彼女が結婚すら出来なくなるかも知れないし。其れでなくとも、マリアには誘拐されたって言う、ぬぐい去れない深い疵が付いているのだから。

 中には、一寸酷い噂もあることだから。これ以上は悪い噂を流して欲しくないとも思うのね。

 マリアに対する、酷い噂が蔓延すると、最悪マジモンの悪役令嬢が爆誕しかねないから。居なくなった悪役令嬢のお代りなんか、勘弁して貰いたいもんだ。

 あたしのコーツイに対して、これまた丁寧な返礼を頂いた。順当なご挨拶の始まりと言えなくもない。奥様に与えられた指名は、この人に確り領地経営をするように促すことだ。

 その上で、奥様に書いていただいた、住民の移住に関する書類を一通受け入れさせる。難易度的には、書類の受け入れなんて事は、この人が携わるようなことでもない。どちらかと言えば、文官同士の遣り取りで事が済んでしまうことだ。

 本当は、あたしは作った書類を、ナーラダ村の村長に渡すだけですまそうとしていた。実質的に、其れで済んでしまう話しだと思うのだけど。奥様から、だめ出しを出されてしまった。

 其れで都合二通の書類を持たされることに成ったんだ。一通は村長の渡す書類。もう一通は目の前に佇む、マッキントッシュ子爵に渡す物だ。正確に言えば、そう言う事を主に遣っている文官にお願いする感じに成る。此方に渡す予定の書類は、デニム家の紋章入りの封蝋で閉じられているから、皆の前ので、中を確認できなかったんだよね。

 あたしは、封蝋で閉じられている手紙の中身を改めることは、簡単にできる。これまた、悪いことを教えてくれた今は無き、碌でなしニックに習った物だ。

 取りあえず此所で渡すのも何だから、街まで行ってから考えよう。奥様を信じていないわけではないけれど。他に何かいけない事でも書いてあったら、あたしとしても困るからね。

 だいたい、こう言う書類の類いを処理するのは、領地を管理している領主様でなく、管理を補佐している文官の仕事だと思うんだ。兎に角渡す前に、この書類は検めておきたい。

 封蝋をするのには、家の紋章をかたどった、判子のお化けが居るのだけれど。あたしは既に、その判子のお化けは制作済みなのよね。勿論いけない事だけれど。この際だから、自分の良心には目を瞑って貰うことにしている。結局張れなければ、こう言う事は無かったことに成るからね。

 この辺りは、悪役令嬢マリアも何故か遣っていたな。矢っ張り彼女も、ニックの奴に習ったのかな。

 ニックの奴が、あっさり死んじゃうことを知っていれば。止められたんだろうけれど。そんな話しなんか、乙女ゲームさくらいろのきみに・・・で、何にも描かれていなかったんだよね。




 



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