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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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御領主様との邂逅 2

 税を取り立てに来るのは、何時も同じ人だ。下ぶくれの40代の叔父さんだったかな。少しばかり視線が嫌らしかった事を憶えている。正直父ちゃんが、その場に立ち会わなくて良かったと、心の底から思っている。だって、その嫌らしい視線に気が付いたら、最悪鉄拳が飛んでくることになるからね。

 たぶん、村長さんはそう言う可能性を考えて、決して父ちゃんとお役人を同席させないように気を付けていた。何しろ父ちゃんは、一寸あたしのお尻を触ったオッちゃんのいけない手に、教育的指導をかましていたからね。純粋な暴力だったことは、心の底から反省を促してはいるんだけれども。きっとまたやっると思うのね。

 あたしに恋人が出来たら、どんな事に成るか、想像するだけで恐ろしくなってしまうわ。因みに、あの時は何とか穏便に済ますために、父ちゃんにも責任を取って貰って、猪を三頭ばかり狩ってきて貰ったっけ。遣っちまったことを考えると、あれで済んで良かったと思う。

 昔なら、彼の程度では済まなかったと思う。何しろ、明らかな傷害事件だから。相手のオッちゃんが、自分にも非があったことを認めて、仕事が出来るようになるまでの生活費で、話しが済んだからね。

 父ちゃんに大事に思われているのは、判っているのだけれど。あたしは結構、その愛の重さで苦労しているんだ。悪役令嬢マリアの方は、こんなに苦労していなかったはずだけど。何しろ、父ちゃんに愛されては居なかったみたいだからね。

 結局彼女は、父ちゃんやデイモン・デニム伯爵に利用されて、結局破滅してしまった。元気にヒロインちゃんを虐めていたのだって、若しかすると羨ましかっただけなのかも知れない物ね。

 ゲームさくらいろのきみに・・・の舞台になる学園に、入学したのだって、半ば人質的な意味合いがあったみたいだし。十五歳の子供には、辛すぎる現実が遭ったと思う。

 あたしは高校中退の、不良娘ではあったけれど。それでも、免許を取れる程度までは、あっちで暮らしていたから、結構大人に成ってしまっている。此れは考えたくも無い事実だけれど、五歳の時に気が付いて、それからの生活の中で、経験を積んだと思えば、少なくとも三十三歳くらいの経験値は稼いでいると思うんだ。

 見た目は未だに十三歳の娘の容姿だから、意外に悪い気がしないけれどもね。ただ、中身と側とのギャップで、時々戸惑ってしまうのは、勘弁して貰いたいと思っている。


「マリア様、折角ですから休憩に致しましょう」

と、ジェシカ・ハウスマンさんが話しかけてくる。彼女の視線が、あたしの顔をまじまじと見詰めている。

 この人は、あたしがなんちゃってマリアであることを知っている。侍女の中では、比較的話しやすい人だ。何より、この人はどちらかというと、脳筋気味なタイプの人だったから。あたしがメイドの立場を取っているときは、其れなりに冗談なんかも言ってくれる人だった。

 ただねえ。この人の懐にも、懐剣を偲ばせているもんだから、結構怖かったりする。あたし達みたいな、平民出のメイドと違って、その心構えからして違うみたいでね。

 本当に、あたしの事をどう思っているんだろう。特に旅の道行きの中で、あたしはそんな事を、考える事が多くなった。

 あたしは偶々、マリアのことを助けて、その恩に着せてメイドの立場をゲットした上。見た目的に、マリア・ド・デニム伯爵令嬢にそっくりだったから、影のお仕事を割り振られている。身の程知らずの、女って処かしら。

 きっと心配で仕方が無いんだろうな。あたしがとんでもない、トラブルを引き起こすんじゃ無いかって思っている。

 実際、馬車の中での移動時間は、出先での対応に対する説明が、殆どだった。ようやくその嵐のような、説明地獄から解放されたばっかり何だよね。あたしとしても、このタイミングでの休憩は有難かったりする。



 


 

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