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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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そして、ナーラダ村へ 8

 ナーラダ村への道行きは、あたしが始め考えていたのと違って、運河沿いの村々並びに御貴族様の領都を経由する。大変のんびりとした行程の旅になった。何しろ村に入る度に、その村長との話し合いが用意されており。その度に、その村で一泊することになったから。

 村にはこれだけの大人数が寝泊まりするような、施設なんか有るわけもなく。宿なんかは、その辺りを統治している御貴族様の御屋敷の側にある、いわゆる城下町的なところにしかなかった。

 どちらにしても、あたしと侍女のジェシカ・ハウスマンさんとベテランメイドのサリーさんは、その場所で一番良い宿泊施設に泊まることになっている。別に野宿でも構わ無かったのだけれど。流石に、そう言う事をさせるわけに行かないって。ジェシカさんにきれられた。

 其れで、此れまで二つの村で村長の歓待を受けながら、村の様子をレイに観察していて貰ったの。何より、彼はそう言う事が得意な人だって、判っていたから。王族教育の上に、此れまでの泥水をすするような生活が、彼をそう言った事も厭わない人間にしていたのよね。

 因みに此れは、リントンさんの入れ慈恵なんだけど。事情を判っていて、そう言った情報収集も出来る人間だって、あたしに仄めかせてきたのよね。

 あたしは、レイがそういった事に向いた人だって、乙女ゲームさくらいろのきみに・・・の設定資料集に書いてあったから、いわゆるスパイじみたことも出来る人だって知ってた。

 実は、リントンさんの陰も、何人か付いて来ている。大手を振って、この領都に入ることは出来ないけれど。情報を盗み出すことが、結構得意な人達なのよね。

 何でそんなことを知っているかって言うと、彼のリントンさんに聞いたから。彼はどう在っても、あたしの事を姫様って呼びたいらしくて、色々と囁いてくるのよ。

 あんまりあの人に関わっていると、気が付かないうちに悪役令嬢に成ってしまいそうで一寸怖い。スパイの棟梁を顎で使うなんて、悪役令嬢そのものじゃない。

 この町は、マッキントッシュ子爵のいわば城下町だ。街を見下ろすように建てられた、城と言って良いかもしれないほど堅牢な城壁に守られた、御屋敷が見えている。この御屋敷は、彼の保有している領地の価値より少しばかり高い物に成っている。

 此れまでに立ち寄った村は、このマッキントッシュ子爵の統治下にあって、本来ならば、彼の名において水害からの復興が為されなければならない。散々奥様からも、命令されているにも拘わらず。資金不足を理由に、いわゆるサボタージュを為ている状態らしい。らしいというのは、あたしが其れを確かめていないから。あくまでも伝聞でしかないからね。

 実際奥様が、此方に来たときには、旦那様が主に此所の主と話して、彼の言い分は正しいと言うことに成っていた。何だか、奥様も旦那様がいると、何時もの調子が出ないらしい。其れも困った物だと思うけれど。

 あたしがしゃしゃり出ても良い物なんだろうか。何しろ、あたしはなんちゃってマリアでしか無い。何の権限も持っていなのだから。

 ただ、此れまでに見てきた、村の惨状を見る限り。一寸黙ってもみていられないのも本当なのよね。だって、あれから半年以上、村の復興は進んでも居ないし。今度、もし同じような災害が起きたら、どれだけの人が死んじゃうか判らないから。

 運河の補強も進んでいない。本来はもう少し、堤防を高くしなければいけないのに、そう言う工事は進まないで。水車小屋の改築だけが進んでいる。

 其れも、堤防が決壊したのは、ここからかなり下流だから、村の受けた被害は其れほどでも無かったにも拘わらず。本気で村を良くしたいって思っていないんじゃないかって、あたしが感じてしまうくらい遅れてしまっていた。

 因みに、マッキントッシュ子爵家が、あたしの故郷であるナーラダ村の御領主様に当たる。あの人が派遣してきた、役人に税を納めていたから、そう言う事なんだって事は知っていた。

 村人にとっては、支配しているのがどんな人達なのかなんか、考えるようなことでも無い。年に一度、彼らの任命した、役人が税を取り立てに来る。その辺りに関しては、村の衆にとっては誰が税を取り立てているかなんかは、興味すら無かったからね。

 あたしなんかも、そう言うもんだと思っていたから。考えたことすら無かったな。






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