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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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復旧工事です。 3

「リコ。大丈夫か?」

「うん・・・。大丈夫だよ。少し疲れたかな」

「慣れない事ばかりだったからな。飯を食ったら寝た方が良いだろう」

 父ちゃんが、あたしの肩に腕を軽く乗せた。父ちゃんの汗の臭いが、あたしの鼻腔を刺激する。決して良い臭いでは無いかったけれど、仕事をする男の臭いだ。今は嫌がるような物では無いだろう。前世のあたしなら、きっと嫌がっていたかも知れない。でもこの臭いは、懸命に生きている証拠だと思う。

 あたしは父ちゃんのお嫁さんになるなんて、口が裂けても言ったりはしないけどね。前世のあたしが小さい時には、言っていたらしい。その時の親が口を揃えて言っていたから、本当に小さな時にはそう思っていたのかも知れないけどね。高校生になってからは、全くの黒歴史だと思っている。

 今思えば、大変親不孝だったとは重い枡です。まあ、ぐれた挙げ句に男のオートバイに二尻したて、死んじまったのは申し訳なかった。会えたら謝りたいとは思うぐらいには、反省はしている。

 今考えると、男運はすごく悪かったみたいだわ。初めての相手は、おじさんだったし。最後の男は、二尻する女にメットも用意しないような無謀で、すごい馬鹿。もしかすると免許を持っていたか怪しい。その上、乗っていたバイクも、どっかから盗んできたのじゃ無いかって言う品だった。

 ただ、とうちゃんはそんな苦愚な餓鬼と比べれば、かなりの優良物件だとは思う。初めての赤ちゃんを亡くして、心が壊れてしまった奥さんを大事にしていたし。奥さんの望みが、あたしを育てることだったとしても、血のつながっていない赤ん坊をここまで育ててくれたことは感謝しか無い。悪いようにはしないからね。でも、お嫁さんには成っては上げられないから。いい人を見つけて幸せになって欲しいとは思っている。

 そのためには、乙女ゲームさくらいろのきみに・・・のフラグを踏みつぶさなければ行けない。本当なら、マリア・ド・デニム伯爵令嬢を助けて事で、あたしは悪役令嬢には成らないはずなんだけど。どうもそうは簡単にはいかないみたいだ。だいたい、この嵐なんかはゲームの中で語られていない。何故ゲームの中に、ニックが居なかったのか、納得ではあるのだけれど。


読んでくれてありがとうございます。

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