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山猫は月夜に笑う 呪われた双子の悪役令嬢に転生しちゃったよ  作者: あの1号


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復旧工事です。

 とりあえず此れからのあたしの目標は、マリア・ド・デニム伯爵令嬢を悪役令嬢にしないことかな。其れと此れから起こってくる政情不安を、なんとかして貰えるようにしないと。ここは一つ奥様に頑張って貰おう。

 マリア・ド・デニム伯爵令嬢の号令で、村の衆と兵士さん達が動き出す。村の男衆が、麻袋に土を詰めて、其れを兵士達の末河川敷まで持ってくる。土嚢を未だに水が溢れ出している場所に、綺麗に並べるのが兵士達のお仕事で有る。簡単そうで居て、中々難しい作業だと思う。

 勿論父ちゃんは、最も危険な場所に陣取って、土嚢袋のを並べている。今は夏の暑い盛りなので、皆上半身裸になってる。ここに来ている男衆は、全員が脳筋で、自分の筋肉にはかなり自信を持っているらしく。ほぼマッチョばかりで有る。

 ちなみに村の若い女達は、第二次救援隊が持ってきた、食料を使って鍋料理を河川敷で作り始まっている。こんな厳しい状況でも、なんかキャアキャア言ながら野郎達の品ぴようかいを始める者もいる。

 とにかくやれることを遣らなければ、何事も進んではくれない。今は堤防を補修してしまわなければ、ニック達を弔うことも出来はしないのだ。

 マリア・ド・デニム伯爵令嬢は、そんな皆を眺めながら何を持っているのだろうか。ドリーさんと何か話し込んでいる。その表情は、どこか神妙な表情をしていた。流石に皆が汗水垂らしているのに、お茶を飲んでいるわけにも行かないか。あ、忘れてた。定期的に塩分を取らせなきゃ。

「ドリーさん。済みません、今宜しいでしょうか」

「何よ。今は私と話してるのよ」

 マリア・ド・デニム伯爵令嬢が嫌な表情で声を上げる。やっぱり可愛くない。

「何かご用ですか?」

 ドリーさんはにっこりとした表情を作って、あたしの方を見詰めてくる。何でか初めから、彼女はものすごくあたしに対して、好意を向けてくれている。

「日照神に取憑かれないために、作業している全員に定期的に、塩と水を用意しましょう」

 日照神とは、熱中症のことで。暑いところで、作業していると倒れてしまうことが有る。其れかこのあたりでは日照神に取憑かれたという。酷いときには、そのまま死んじゃうことすらある。

 皆鍛えている、脳筋だとは言っても。皆其れなりに無理しているはずで、気を付けるに越したことは無いだろう。



皆さん読んでくれてありがとう。


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