コント「ネガティブ・サンタ」
舞台…子ども部屋
配役…サンタ=ボケ 子ども=ツッコミ
舞台下手で子どもがソワソワしている。
子ども「サンタさん来るかなぁ。興奮して眠れないよ」
舞台上手から迷彩服を着たサンタがやって来て、子ども部屋の壁をすり抜けて入ってくる。壁を通り抜けるとき、シューッと風が吹くような効果音が出る。
サンタ「はぁはぁ…」
子ども「うわっ誰?パパー!ママー!」
サンタ「あっ落ち着いて。サンタだよ」
子ども「ウソだ!そんな迷彩柄のサンタいるもんか!」
サンタ「違うんだよ。サンタの服ってすごく目立つでしょ?怪しまれるといけないから、こうやって目立たない迷彩服で来たの」
子ども「そっちのが怪しいよ!サンタじゃないだろ!ドロボー!」
サンタ「だから違うって。今、部屋の壁をすり抜けてきたでしょ?あんなの泥棒にできる?」
子ども「それは…確かにそうだけど」
サンタ「(壁の近くに行く)見て、ほら(壁を抜け出て、また戻る)ほらほらほら(壁を境目に反復横跳びする)」
子ども「もういいよ!分かった、分かったから!」
サンタ「信じてくれるね?」
子ども「うん。でも、入り方が幽霊みたいでやだなぁ…」
サンタ「じゃあプレゼントをあげるね」
子ども「ほんと?やったぁ!」
サンタ「タカシ君、君のお願いはPS5でいいんだよね?」
子ども「うん、そうだよ」
サンタ「それ、どっちが正しいか不安になったから、両方持ってきたよ」
子ども「両方?」
サンタ「PS5と、PSを5台、どっちがほしいのかな?」
子ども「いや、PS5台のわけないでしょ!PS5ちょうだいよ!」
サンタ「でも不安だなあ。やっぱりこっちの方が良かったって言われるかもなぁ」
子ども「大丈夫だよ言わないから。何なの、不安って?」
サンタ「サンタさんね、こう見えてすっごいネガティブなの。基本的に上手くいくわけないって思って行動してるから、そこんとこよろしくね」
子ども「サンタさんなら陽気であってほしかった」
サンタ「今日もソリで飛んできたけど、怖くて上空2m以上の高さは飛べなかったよ」
子ども「どんだけネガティブなの?高さ2mは上空って言わないよ」
サンタ「落ちて死んだらどうしようって思うと怖くてさ」
子ども「壁抜けできるのに落ちると死ぬんだ」
サンタ「速度も40km以上は出さなかったし」
子ども「もう原付で来た方がよくない?」
サンタ「今朝も、道間違えないか心配になったからこの辺下見してたし」
子ども「そんなことしてたの?」
サンタ「おまわりさんに職質されちゃった。“サンタです”って説明したら“迷彩柄のサンタがいるか!”って逮捕されかけちゃった」
子ども「その格好でウロウロしてたの?絶対怪しいって。それよりプレゼントちょうだいよ」
サンタ「あぁいいよ…でも大丈夫かな?本当に喜んでる?」
子ども「もちろんだよ、何言ってんの?」
サンタ「あとで”やっぱりこっちの方がよかった”って言われても困るからなぁ…PS5とPS5台、両方やるよ」
子ども「いらないよ!PS5台、持て余すって!」
サンタ「それじゃメリークリスマス(壁を抜けて帰る)」
子ども「ちょっとー!返品させて!」