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公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。  作者: 木山楽斗
本編

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第27話(リクルド視点)

 ※この話は、第27話のリクルドの視点です。



 俺の名前は、リクルド・フォリシス。

 誇り高きフォリシス家の長男にして、フォルシアス学園の学園長だ。


 俺は、妹達ともに町に出てきていた。

 それは、買い物をするためだ。


「それで、今日はどちらに向かうのですか?」

「ああ、本屋と服屋を予定している」


 馬車の中で、ルリアが俺に質問してきた。

 今日は、本屋と服屋に行く予定だ。


 本屋については、新たに発売された本を買いに行くためだ。

 このリクルド・フォリシスは、様々な知識も蓄えておく必要がある。故に、哲学書であろうと、世間で流行っているという読み物であろうと、全て読むのだ。


 服屋については、服の調達に向かう。

 我ら貴族は、常に身だしなみに意識しなければならない。今回は、その一環だ。


「本屋では、新たに発売された本を購入する。服屋では、お前達の服を購入する予定だ」

「え? 私達の服ですか?」

「へえ、そうなんですか」


 俺の発言に、ルリアは驚いた。

 対照的に、レティはそれ程気にしていない。だが、その反応の方が自然だ。

 ルリアは、一体何を気にしているのだろうか。


「……お兄様、私の服など買う必要はないと思います」

「ほう? それはどういうことだ?」

「家には、既に充分すぎる程、服があります。これ以上、買っても無駄ではないでしょうか……?」

「なるほど……」


 どうやら、ルリアは無駄遣いを避ける考え方をしているようだ。

 その精神は、とても立派なものだろう。この俺やレティにはない庶民的な考え方だ。それは、見習いたいと思えるようなものだが、この場合は違う。


「お前は、勘違いをしている」

「え?」

「恐らく、お前は無駄遣いをしたくないと言っているのだろう? だが、これは無駄遣いなどではない」

「それは……どういうことでしょう?」


 今回の場合は、無駄遣いには該当しない。

 なぜなら、この買い物は必要なものだからだ。


「我々は、貴族だ。故に、高貴な存在でいなければならない」

「……だから、新しく服を買うのですか?」

「例えば、お前が昨日来ていた服を着ていたとしよう。もし、それが使用人に見られたらどうなる?」


 俺は、ルリアにわかりやすいように、例え話を用いることにした。

 こういうものは、実際にどうなるかを考えてもらった方が早い。


「それは……少し、変だと思われます。同じ服を、使いまわしているのかと思われるのではないでしょうか。」

「そうだ。そうなれば、使用人に軽んじられる可能性がある。それだけではない。その使用人が、他の所に行くことになったりすれば、その評価が他の家に伝わるかもしれない。そうなった場合、フォリシス家の威光に陰りが見えるはずだろう」

「た、確かに、そうですね……」


 ルリアは、大方の正解を出してきた。

 流石は、我が誇り高き妹だ。


 今日、服を買うのは、貴族としての格を落とさないためだ。

 我らは、貴族としてあらゆる者に威光を示さなければならない。そのために、身に着けるものも、常に気を遣うべきなのだ。


「服を買うこと一つにも、そのような意味があるのですね」

「そういうことだ。故に、無駄遣いなどと思う必要はない。これは、必要なことだと思え」

「はい……」


 ルリアは、まだ貴族としてわかっていないことがあるらしい。

 そういえば、こういうことを言うことは少なかったかもしれない。

 ただ、この賢き妹は、すぐに理解してくれる。故に、この俺は特に怒ることもない。


「無論、お前の無駄遣いを避けようという精神は美徳だ。故に、その精神も、忘れる必要はない」

「ありがとうございます、お兄様」


 さらに、今回の場合は、その精神自体は素晴らしいものだった。

 貴族になっても、その権力に溺れ無いという精神を、俺はむしろ好ましく思う。


「とか言って、実はお兄様が私達に新しい服をプレゼントしたいだけなんじゃないですか?」

「ほう……?」


 そこで、長らく黙っていたもう一人の妹が口を開いた。

 その言葉は、俺を驚かせるものだった。なぜなら、その気持ちがないという訳ではないからだ。

 この俺でも、妹達に何かを送ってやりたいと思う気持ちの一つくらいはある。

 それを見抜くとは、この妹も中々成長しているようだ。


「ご、ごめんなさい。調子に乗りました。崇高なるお兄様が、そのような考えをするなどと考えるのは浅はかでした。ごめんさない」

「いや……」


 勘違いしたのか、レティは俺に謝罪してきた。

 この妹は、少し弱々しい所が欠点だ。自身の推理を変えなければ、この俺と正面から戦うこともできたというのに、非常に惜しいことである。


「そういう感情が、まったくないとはいえないだろう」

「え?」

「は?」

「ふっ……」


 俺の言葉に、妹達は驚いたようだ。

 この俺が、このようなことを言うことは少ない。

 そのため、無理もないだろう。


「レティ……」

「お姉様……」


 妹達は、顔を見合わせて笑顔になる。

 なんとも、平和な者達だ。だが、それでいい。


 こうして、俺達は目的地に向かうのだった。

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