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公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。  作者: 木山楽斗
本編

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第22話 お母様とのお茶

 私とレティは、お母様と中庭で話していた。

 お父様は、お兄様と話し合っている。なんでも、色々と私達には聞かせられないこともあるらしく、別行動という流れになったのだ。


「それで、二人とも学校は楽しいの?」

「あ、はい……」


 そんなお茶会が始まってから少しして、お母様はそんなことを聞いてきた。

 これは、聞かれるとは思っていたが、少々まずい質問である。なぜなら、私はともかく、レティは学校を楽しいとは思っていないはずだからだ。

 とりあえず、私が答えたが、お母様は当然レティに目を向ける。


「レティは、どうなの?」

「ま、まあ……」


 お母様の質問に、レティは視線を逸らしてしまった。

 それにより、お母様の表情は少し変わる。

 お母様は、お兄様と同じく、私達が何か隠しているとすぐにわかる人だ。そのため、レティの嘘も見抜かれているのだろう。


「楽しく……ないようね?」

「い、いえ……」

「顔に、書いてあるわよ?」

「うっ……」


 私の予想通り、お母様は見抜いていた。

 これには、レティも参ってしまっている。


「じゅ、授業が面白くないんですよ……」

「まあ、あなたは優秀だから、授業がつまらないと思うのは、仕方ないことよね」


 レティの言葉に、お母様はそう答えた。

 やはり、母親なので、レティのことは全てお見通しらしい。


「でも、学校は勉強するだけの所ではないわよ? 他にも、色々と楽しみはないの?」

「お、お弁当は、楽しみです」

「お弁当……」


 しかし、次の言葉で、お母様も頭を抱えてしまった。

 流石に、お弁当しか楽しみのない学校生活は、悲しいということだろうか。

 もしかしたら、レティに呆れている可能性もある。食事のことしか考えていないと捉えられても、仕方ない言葉だったからだ。


「あなたは、欲求に忠実ね……」

「まあ……」

「でも、それしか楽しみがないのは寂しいわね。事情的に、友達もできにくいのもわからなくはないし……」


 どうやら、両方の理由で頭を抱えていたらしい。

 それに対して、レティは少し申し訳なさそうな顔をしている。流石に、あの言葉はまずかったと思っているのだろう。


「あ、でも、お姉様と一緒なので、それなりにいいとは思っていますよ。これが、もし一人だけだったら、きっと駄目だったと思います」

「ああ、それは確かによかったことね。リクルドの判断を聞いた時は少し驚いたけど、最適だったのかもしれないわね」


 そこで、レティがそんなことを言ってくれる。

 これは、私にとっても嬉しいことだ。私の存在が、少しでもレティの支えになっているなら、本当によかった。


「さて……」


 私がそんなことを考えていると、お母様が言葉を区切った。

 さらに、お母様の表情が変わる。少しだけ、真剣な表情だ。

 なんとなく、次の言葉は予想できる。和やかに話していたが、お父様とお母様は、私達にある負い目があるのだ。


「あなた達の入学式に行けなくて、本当にごめんなさい。仕事とはいえ、娘達の入学式にいけないなんて、親として本当に申し訳ないわ」

「お母様、気にしないでください。外せない仕事だったことはわかっています」

「そうですよ。私達は、大丈夫ですから」


 お母様は、入学式に来られなかったことを謝ってきた。

 これは、お父様とお母様がとても気にしていたことだ。


 ただ、私もレティもそのことを恨んでいる訳ではない。

 二人は、フォリシス家の当主夫婦として、色々と忙しい。その仕事絡みで、外せない用事があるのは、仕方ないことである。

 そのため、寂しかったとは思っても、責めようなどとは思わない。こういう風に、落ち込む必要などどこにもないのだ。


「……ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいわ」


 私達の言葉で、お母様の表情が少し晴れた。

 そのことに、私もレティも笑顔になる。気持ちがきちんと伝えられて、本当によかった。


「本当に、私はいい娘達に恵まれたわね」

「そ、そんな……」


 お母様は、そんな私達に優しい言葉をかけてくれる。

 そう言ってもらえるのは、私にとってとても嬉しいことだ。

 美しく大人っぽいお母様は、まさに理想の女性である。そのような人から褒められると、私はそう感じてしまうのだ。


「ふふ、私の可愛い娘達……」


 お母様は、愛おしそうな視線を向けてくれる。

 私は、本当の娘ではないが、お母様はそんなことを気にせず、とても愛してくれる。それは、お父様も、お兄様も、レティも一緒だ。

 そんな家族が、私は大好きだ。色々と、悲しかったり辛かったりしたが、この家に来られて、本当によかったと思っている。


 そのような会話をしながら、私達は過ごすのだった。

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