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公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。  作者: 木山楽斗
本編

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第5話(リクルド視点)

 ※この話は、第5話のリクルドの視点です。



 俺の名前は、リクルド・フォリシス。

 誇り高きフォリシス家の長男にして、フォルシアス学園の学園長だ。


 レティへの説教を終えた俺は、家の中を歩いていた。


「はあ、お兄様の説教、長いんですから……」

「あはは……」


 すると、中庭の方から声が聞こえてくる。

 どうやら、愚かなる妹がまた何かを言っているようだ。

 だが、ここは聞かなかったことにしといてやろう。姉に対して、愚痴を話すくらいで、怒る程俺は心が狭くない。


「でも、少しだけいいことがありました」

「いいこと?」

「ええ、お兄様に取引を持ち掛けられましてね……」


 そこで、愚かなる妹の口調が変わった。

 恐らく、何か余計なことを言おうとしているのだろう。

 忌々しいことだ。あれは、事実を曲解して伝えかねない。


「実は、学園長権限で、お姉様と一緒のクラスにしてもらえることになったんです」

「ええ!? そ、そんなのいいの……?」


 レティの言葉に、ルリアは驚いているようだ。

 だが、あの言葉には少々語弊があると言わざるを得ない。

 なぜなら、まるで俺が職権を乱用しているかのような口調だからだ。


「ただ、交換条件を求められましてね……」

「こ、交換条件……?」

「ええ、お姉様に近づく男達を、振り払うように言われたんです」

「え、ええ!?」


 続く言葉に、もう一人の妹はさらに驚いた。

 だが、あの愚かな妹はまたも事実を曲解している。


「ふあはっはっはっ! 言ってやりました! 秘密と言われましたけど! なんだか、勝った気がする!」

「ほう……」

「え……?」


 さらに調子に乗って、高笑いをあげ始めたため、俺も見逃せなくなった。

 俺は、愚かな妹の背後から歩み寄る。


「この俺に、勝ったと言ったか?」

「い、いえ、わ、私が、お、お兄様に勝てるはずがありませんよお」

「ほう……?」


 すぐに態度を変えたようだが、もう遅い。

 そもそも、話すなと言ったことをすぐに話すなど、この妹はどうなっているのか。


 ここは少々、きつめに叱るべきかもしれない。


「まあいい。契約すら守れない妹に、かける言葉はない」

「あ、う……非常に、申し訳ありませんでした……」


 俺はレティに対して、冷たくそう言い放った。

 すると、レティは急にしおらしくなる。どうやら、急激に反省したようだ。

 この妹には、これが一番効く。


「……そう思うなら、二度とやらないことだ」

「は、はい……」


 存分に反省したようなので、これ以上はやめておいた。

 流石の俺でも、心を折るような真似はしたくないからだ。


「あ、お兄様。それで、先程レティが言っていたことは本当なのですか?」

「ああ、全て本当のことだ」

「お、お兄様が、学園長権限で、私とレティを同じクラスにするのですか? それは、職権乱用なのでは……?」


 話がまとまった直後、もう一人の妹が俺に問いかけてきた。

 愚かなる妹のせいで、ルリアには色々と勘違いをさせてしまったらしい。

 後々、面倒なことにならないように、ここで誤解を解いておく必要があるだろう。


「いや、そうではない。そこの愚か者が何を言ったかは知らないが、これは正当な理由によるものだ」

「正当な理由……ですか?」

「レティは、特別入学することになる。この制度を利用する者は、通常より下の年齢だ。そのため、クラス等に馴染めないことが危惧される。故に、特別措置として、同学年から一人を補助委員としてつけることになる。レティにはわかりやすく、お前を推薦しようと思っていただけに過ぎない」


 特別入学の生徒には、補助委員をつける決まりになっている。

 レティの姉であるルリアは、その補助委員として最適な存在だ。故に、とりあえず補助委員としておいた。

 確認は、後で行うつもりだったが、この際ここで聞いておくとしよう。


「そ、そうなのですね……疑って、申し訳ありません」

「それは構わない。お前に話す前に、考えを進めた俺側にも問題はある。それより、レティのことを頼めるか?」

「はい。任せてください」


 ルリアは、俺の言葉に力強く頷く。

 この妹のことだ。元々、俺が言わずとも、レティをサポートするつもりだったのだろう。


「それと、レティに近づく男子生徒にも、注意しろ」

「え?」

「フォリシス家の人間と、婚約等を結ぼうとする者は多いはずだ。そのような者には、常に注意する必要がある」

「あ、そ、そうですね……」


 俺は念のため、ルリアにも注意喚起しておく。

 賢き妹なら、これで先程の真意も見抜くはずだろう。

 だが、少し残念そうな顔をしている。どうやら、少々家としての面を出し過ぎてしまったようだ。


「最も、この俺個人の感情として、妹達に近づく不届き者が許せないということもあるがな……」

「お兄様……」


 俺の言葉に、ルリアは顔を明るくする。

 この俺とて、妹達に近づく男にいい顔ができないのは確かだ。兄として、その辺りは譲ることができない。


 こうして、俺はレティが曲解して伝えた事実を訂正するのだった。

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