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930~第二次黒海戦争の動乱~  作者: アリナス
第1章 絶望の果ての世界
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episode1-5「スラムの少女」


スタンフォードとミケルはイルサの街をさまよっていた。お腹が空いたのか、食欲が猛烈に湧いてきた。スタンフォードとミケルは街にある定食屋に入った。

2人は、今までの食事をしていなかった分、オムライスとスパゲティを注文した。


「はああ、朝からなんも食ってねえと、やりきれねえな。」


スタンフォードはふと愚痴を溢した。もう両親もいない。そんな状況の中でスタンフォードは、食事も喉を通らなかった。

3人の遺体は放置していると腐敗が進むので、夜のうちに焼却魔術により、火葬した。

ミケルは、机を叩いた。


「もう私達は孤独なんだよ。両親もいない。

そんな状況で、どうやってあいつらと戦えばいいんだ。もう、こんな状況で、、出兵なんて。」


ミケルも同じ思いだった。今すぐ出兵から帰りたかった。家に戻りたかった。


「あっそうか、もう家もないのか。ははは」


スタンフォードはカルボナーラを口にしていくが、味も感じない。涙が溢れてきた。よく母親とクレアが作ってくれた。カルボナーラは母親の得意料理だった。


「ミケル、、、母さんの事を思い出すと、悲しくなる。やりきれねえよ。なんで俺達だけこんな目に、、、。もう2度と母さんの料理は食えねえんだ。畜生!!!!」


スタンフォードは、泣いた。胸の内に押し殺したように悲しみが溢れて来た。

地獄のような苦しみの中、どうすれば良いのか。


「スタンフォード!!!大丈夫だよ。だから泣かないで。もう悲しいのは私も同じ。

どうしてもあれなら私がやるよ。ねえ。スタンフォード。」


ミケルは、ハンカチを取り出し泣き出すスタンフォードの涙を拭った。

レストランを出ると、街を見渡した。

辺りに人が、出歩いている様子はない。


「ああ、これからどうしたら良いんだろうね。

私達、、もう、、、」


その時だった。ミケルの懐から財布を盗み出す1人の人影があった。少女はボロ切れを纏っていた。黄色の髪の少女だった。少女は12歳くらいであったが、スラム出身と思われた。


「待って、、待ちなさい!!!」


ミケルは少女の腕を掴んだ。少女はナイフを振り回した。


「離せ!!!もう私たちは餓死する寸前なんだ。

お前らだけ食事なんかしやがって。お前ら軍隊が、、金を独り占めするから、私達、スラムは、」


少女はスラム出身だった。悲しみの表情を浮かべた。やりきれない表情だった。

だがそれを見かねたスタンフォードは少女のとこへ駆け寄った。


「ミケル!!もういいだろう。お嬢ちゃん。

お金が無いなら、、、俺があげるよ。このお金で食べ物を買ってあげなさい。もう大変なのはわかるよ。でもやっぱり盗みはダメだよ。」


「来て!!!お兄ちゃん、もしかしてアビリティソード、、魔術師。お願い。魔法で皆を助けて皆、、、餓死する直前なんだ。私達の街を

助けて、、、皆を助けて!!!」


少女はスタンフォードに助けを求めた。それはスタンフォードが命を救ってくれる勇者であると確信した故の少女の願いだったのか。


「お嬢ちゃん、、ごめんな。。

俺たちは行かなきゃならないところがあるんだ。俺たちはただの兵隊で、魔術師ではないんだよ。だからかわいそうだけど、、」


「誰か、、、、助けて、、、、、、。」


突然、叫び声が聞こえた。声のする方に、スタンフォードは向かった。するとどうやら1人の男性が、全身をめちゃくちゃに刺され、、負傷していている様子が見えた。男は、、血を流し倒れていた。


「ちょっとしっかりしてください!!くそ、、やっぱり奴らが。」



「これ、、、私達の街だ!!!

まさか、、、襲われたのかな??お兄ちゃんが、、、お兄ちゃんの命が。」


少女は、、不安になった。まさか自分達が住んでいる街が襲われたのではないかと疑問に思った。


「お嬢ちゃん、、、だめだ。今街へ行ったら、、きっと悪い奴らに。」


スタンフォードは街へ戻ろうとする少女を止めた。そして次の瞬間次々と街が爆発し始めた。そしてもの凄い轟音と共に、次々と街が焼かれていく。スタンフォードは街に何者かが急襲したのではないかと確信した。そして次々と焼かれていく中、、人々は逃げ初めて行く。そして恐ろしい事態は重なっていく。恐ろしい足音と共に、巨大な怪物達が姿を表していく。


「あれは魚人!!!」


スタンフォードは、思わず口にした。そしてベステフィル帝国に住み着く恐ろしい魚人達が次々と姿を現した。その姿は異形と取れるほど大きなもので5メートル、小さいものでも3m近い大きさである。

そして中には目を8つ持つ魚人も姿を現した。


「O nei tagata valea. E le agavaa lea e mafai ona fai fua ae le iloa le mana o le Emepaea Bestephyll, ae tuʻu atu ia Perydra-sama, e le aoga ea le faʻaogaina o ni mea le talafeagai?


《馬鹿な人間共だ。ベステフィル帝国の権力も知らずに、無駄にやられるばかりの無能どもだというのに、ペリュドラ様に献呈するのに、これほどの無能共など喰い尽くすにも価値がないではないか?》」


現れたのは、8つの目を持つキハダマグロの魚人、アガフォノフ・フェリクス卿である。

アガフォノフ卿はベステフィル帝国に居住を置く魚人の皇族の1匹であり、ベリュドラと手を組み、アルティアン帝国の人類を殺戮しようとていた。


「なんだよ、、、、、あいつは????」


スタンフォードはアガフォノフ卿と目が合うと驚愕した。アガフォノフの顔面には、仮面のようなものがつけられていた。顔面全体は恐ろしい形相をしており、そしてアガフォノフは恐ろしい目つきで睨みつけると、舌をなめずり回した。


「おい!!、お嬢ちゃん!!、逃げるんだ!!、!こいつは、、、危険だ!!!喰われるぞ!!!!ミシェル!!!!お嬢ちゃんを頼んだぞ!!!!」


スタンフォードは、ミシェルに向かって叫んだ。アガフォノフ卿は舌を這いずり回すと、大きく口を開けたそして口から凄まじい破壊砲を放った。

スタンフォードはアビリティソードを抜くと一気に力を解放した。すると物凄い勢いで、疾風のような風がスタンフォードを包み込むと、一気にソードに赤い閃光が溜まると、ソードから放つ斬撃は、アガフォノフ卿の破壊砲を跳ね返した。


「こいつの仮面を砕けさえすれば、確実に殺せる。」


アガフォノフ卿は、尾を振り回していく。凄まじい勢いで振り回していく尾にスタンフォードは圧倒されていく。一方でミケルは少女を連れてより遠くへ逃げていく。そして破壊されていく街を走りながら抜けていくとスラム街へと突入していく。そうここは少女が育った街。


「ねえ止まって!!ここが私の居住地なの。お兄ちゃんがここにいるの!!!」


スラムの少女は、ミケルに伝えた。

貧しいスラム街に廃墟となった家屋があり、そこには少女の兄が居住していた。少女の兄以外にもボロ切れを纏った貧しい子供達が、そこにはいた。


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