episode1-4「ベリュドラの陰謀」
全身を炎に包まれた剣聖ペリュドラはワインを飲んでいた。彼の愛飲するワインは、ピノ・ノワールである。
ワイングラスを片手に口へと運んで行く。
「ペリュドラ様、味はいかがでございましょう??」
ペリュドラの配下でべステフィル帝国の太政大臣のベリュシュコフは味の加減を質問した。
「美味いじゃねえか!!流石は本場の赤ワインだ。わざわざ、俺のために国から持ってきてくれるとは、いい根性じゃねえか???
それで次の街はどこだ???」
巨大艦隊は、クサヴェルから離れ、次の街、イディオムへと向かう。
ここのイディオムの焼き討ちを計画しているのだ。
「イディオムですな。」
「良いだろ!!見せしめに、生贄を焼き殺してやるよ。おい、生贄を連れてこい!」
すると生贄として拘束された1人の女がペリュドラの前に連れて来られた。
女は金髪で長髪、蒼い眼をしていた。
「やめてください!!!離して!!!」
女の髪を掴むとガズディークは、蹴り散らした。
女はあまりの痛さにのたうちまわった。
「なんだこの女は??」
ペリュドラは質問した。
「イディオムの女です。この男の父親は我々の情報を街に流そうとしたらしいですのでね。この女を焼殺し、街に放り出すのですよ。イディオムの奴らもビビりつくすでしょうなあ!!!ははは!!!」
ガズディークは、高らかに笑い尽くした。
「ガズディーク、焼き殺す価値もねえ女だ。適当に斬り殺しておけ。アルティアンの奴らに見せしめてやんだよ。
奴らは次の街へ向かっているそうだな。一足先に小さい村の奴らをぶっ殺してやらあ。俺は腐りきった帝国をぶっ壊して新しい国を作る。弱いやつは全員死ねばいいだけの事だ。」
ペリュドラは、剣から炎を吹き出した。
一気に熱が上がると、周りが熱気に包まれた。
ガズディークは、高らかに笑いながら、女を斬り殺した。血が飛び散る中、女の髪を斬り尽くした。
ペリュドラは女の死体に剣を当てると女は、焼き尽くされた。
「この俺をこんなにしやがって全ての奴らは俺と同じ目に合わせてやらぁ。俺は全身を斬られ、そして炎に包まれた。戦争って奴のせいでな。焼き討ちってだげじゃ済ませられねえ。
アルティアンは確実に滅ぼしてやるよ。俺がこの手でな。おい、集まったか。魔道士ども。」
集められたのは、13人の魔道士、破滅の烈火だ。
殺人に必要な力を兼ね備えた最強の魔導士達。
「ペリュドラの旦那。クサヴェルで町民を皆殺しにしたのですが、どうやら町民全員は殺す事が出来なかったようでねえ。」
魔導師の1人で、クサヴェルの町民を一晩で惨殺した男、グアルディオラはあの晩スタンフォードを目撃していた。
「ポール・ビアードの息子、スタンフォード・ビアードですよ。奴が、アルティアンの艦隊に乗り込んだのが間違いない。我々が殺すのは、訓練生共でしょう。次の標的は奴です。」
グアルディオラは、血斬の魔道士。刀で斬り付け血を浴びることで殺傷力を上昇させる恐るべき魔道士である。
疾速の剣聖とも呼ばれているだけでなく魔導師として頭脳も切れる。
「そうか殺すべき対象は1人増えたということか、だが、あくまでも計画だ。全てが、俺の思い通りというわけにはいかんしな。魚人などという馬鹿な兵器もどきを使うわけにはいかんしね。」
破滅の烈火のレベッカ・ローズリアは、クールな赤髪の女魔道士である。帝国の魔道士の悪魔の剣聖として君臨するNo.2である。
13人の魔道士の中でも特に優れた。
破滅の烈火は、魚人が魔術を使える人間の力を手にした集団であり、黒海帝国軍の中でも特におそれられている。
ペリュドラは、命令を下した。
「潰すべきは反乱軍の奴らだ。暗殺するべき存在は、反乱軍総統、デヴィッド・マッコイ。奴は、帝国に存在するに相応しくねえ。おい、レベッカ、グアルディオラ、エイミー、反乱軍の奴らをぶっ潰せ!!!」
「御意!!」
命令が下る中、海中を泳ぐ《レギオディーク》から、一隻の船が飛び立った。そして反乱軍の要塞へと向かっていく。
そして戦争が激化する中、スタンフォードらが乗る巨大艦隊は最初の街、イルサへと向かった。
「全隊員に告ぐ!!!イルサはベステフィル帝国の襲来を受けて、街の半数が壊滅した。まずは国民がどういう仕打ちを受けているのか我々の目で確かめなければならない!!我々隊員達はまずこの街へ降り立つ!!!」
「はい!!!イエッサー!!!!」
隊員達は、返事を出した。スタンフォードは他の街でも起きている事態を想定した。一晩によって街の人々全員が一瞬にして惨殺された事件。
「隊長、クサヴェルのように街の人々が殺されていたら、一体どうするのでしょうか??
だとしたら一体??」
「最悪の場合も侮れない。そうならんように我々隊員が見張るしかないのだ。ベリュドラは焼き討ちを行う前に、人の命を奪う。それから街を焼き尽くす。だがまだ艦隊は来ていない。街の人々を避難させる。場所を確保しておくぞ。このエスティンギも対象の1つだ。そしてこの黒海帝国に存在する魚人の殲滅もそのひとつだ。」
エルフィークはひとつの命令を下した。魚人それは黒海帝国に暗躍する超進化生命体である。
恐るべき戦闘能力を誇り、人間を喰い散らす異形の存在。
ベステフィル帝国にもアルティアン帝国そして、コースティック帝国三つの帝国に蔓延る、生命体の存在。
「魚人の巣窟には行かないんですか??
まずはそいつらを殲滅するのが優先事項では??」
「それは違う。あくまでも俺たちの目的はペリュドラの暗殺。奴を殺すのが第一優先事項だ。そこまでは、配慮すべき点ではない。魚人を殲滅するのは不可能に近いだろうからな。」
エルフィークの命令に従い、エスティンギからスタンフォード、ルーシー、ミケルらはイルサの街へ降り立った。
「すごい街だ。中世的な雰囲気が溢れ出ている。ここがアルティアンの街。
絶対に、焼き尽くしてはならない。街。」
ヴィシュカ街道は、晴れてて雰囲気も良く、辺りの建物の様子もよく見下ろせる。そんな中、総隊長のエルフィークは命令を下した。
「この街に確実にペリュドラ率いる帝国軍は訪れるだろ。だから、街の人々を守るのだ。いいな。闘うだけが俺たちの仕事じゃねえんだ。各隊員に告ぐ、街の護衛だ各団に別れ、街を見張れ!!!」
「隊長、各隊員は、何人かのグループに分かればいいって事ですか??」
ミケルは質問した。グループに分かれるにしても、自分たちが仲の良い者通しで固まるのもどうなのかという感じだが。
こうして、隊員達は、各々が街の至る所に、配備されることが決まった。
「そうだ。ミケル。質問する理由もない。
各々が散らばらなければ敵はどこに潜んでいるのかわからん。では行動開始だ。」
エルフィークの命令によって、ミケルとスタンフォード、ルーシーの3人はグループで行動することとなった。