episode1-3 「訃報」
その夜、徴兵する部隊が集められた。学徒徴兵によって招集されたメンバーに加え、家族を殺された士官生達がたくさん集まった。
全員が武器やソードを構えて、これから来る激戦に向けて準備を進めていた。
「兵士達よ、こんな事になってすまぬ。1晩早くの徴兵になってしまう事を許して欲しい。これより徴兵部隊の戦闘要員と航空要員のメンバー分けを行う。我々の狙いどおり、アビリティ所有者と無能力者に別れて貰いたい。
アビリティ所有者は、魔道士や兵士の殲滅を中心に行って貰う。」
総合司令官のエルフィークは、スタンフォードら徴兵生に呼びかけた。
「我が軍隊も偉大なる、隊士を多くの失った。アルティアンの将軍、ポール・ビアード将軍、以下100名近くの兵士がベステフィル帝国の捕虜となり、死亡した。」
ポール・ビアード将軍、彼は、スタンフォードの父親であり、偉大なるアルティアン帝国の兵士であった。前線で活躍し、その栄光と共に黒海帝国の英雄として、称えられている。しかしべステフィル帝国のベリュドラからすれば、捕虜として捕まってしまった以上、暗殺以外の道はない。
「そんな、父さんが死んだなんて、、、、嘘だ。」
スタンフォードはその事実を受け入れられなかった。ありのままの事実、それがもし本当ならば、どう立ち直れば良いのか。昨日、家族を殺され、既に絶望のどん底に突き落とされた。
「俺は、天涯孤独って事か。ちくしょぉ!!!!」
スタンフォードは涙を堪えた。その様子を見た友人のサタールは、何とか励ました。
「ポール将軍は最後まで偉大な将軍だった。あのお方の意志を引き継ぐのは、稀もなくお前や俺たちなのではないか?俺もみんな失った。全員な、」
サタールも昨日、家族を皆殺しにされた。母親は、全身をメッタ刺しにされ、妹は、同じように殺害され、眼球をえぐり取られていた。
「間違えいねえ。べステフィル帝国の魔導師の連中だ。それも完全な殺人剣の使い手。」
「まさか魚人が絡んでんじゃねえだろうな。」
スタンフォードは、危惧していたのは、魚人の存在だ。カスピ海帝国にも存在している、凶暴な種族。
「考えられるな。だが、いたとしても、これだけの軍勢が入れば、確実に奴は消せる。」
「いよいよ、時は来たぞ。俺達がべステフィル帝国に向けて出兵する時が、来たのだ。スタンフォード、仇を取ろう。俺たちで家族の仇を!!!いいな。」
全てが失われた夜、サタール、ルーシー、ミケル、そして150期士官生達は、べステフィル帝国殲滅の為、出兵の灯火を掲げた。
アルティアン帝国最大の艦隊が現れた。スタンフォードは、第2艦隊に乗り込んでいく。全部で兵隊は、100名程の大軍勢だ。
「これが第2艦隊か。流石、最大の要塞と言われている。これでミサイルを放ち、撃退していくのか。」
スタンフォードは軍艦の巨大な姿に驚愕した。軍艦の全方位ミサイル、ガトリング砲、CAC弾も装備している。
「いいか、恐らく、べステフィル帝国が襲撃した時にも艦隊が襲来したのはお前達も見ただろう。今回はな、艦隊の殲滅が最優先事項だ。奴らが、どのような兵器を所持しているのか想像がつかない。我々の攻撃が通用しない可能性
もある。射程距離は概算60キロ周囲だ。いよいよ、本格戦闘だ。いざ出陣!!!!」
ロレンツォは歓声を掲げると、巨大艦隊は出陣した。