episode1-2 「敵襲」
士官学校終わりの帰り道に、スタンフォードは家へ向かった。しかし、クサヴェルの街は人1人の声もしない。嘘のように静まり帰っている。
「そんなはずはない。なんで何の音もしないんだ。」
スタンフォードは明らかな、静けさに不気味さを覚えた。そして荒らされた形跡も残る中、スタンフォードは目を疑う光景を目にした。
スタンフォードはよく行く、お店に入店した。普段いるはずの、お店の店員の姿が一切ない。
「スタンフォードかい、元気か。学校行ってこい!!!」
いつも話しかけてくれる、気前の言いご主人の姿も無く。静まり返った、気になり店内を除くと、そこには鮮血が飛び散っていた。鮮血は、店内の壁一面に広がり、そして奥に行くに連れて、血溜まりは多くなってくる。
「うわあああああああ!!!!!!ご主人、ご主人!!!!!」
スタンフォードは主人の遺体を発見した。主人は全身を切り刻まれ絶命していた。それだけではない。遺体を掴むと首が床へ転げ落ちた。そして鮮血がどっぷりと溢れ出す。
主人と奥さんは、惨殺されていた。
「まさか、、まさか、、、、俺の家族も、、、、」
スタンフードは、焦って店内から飛び出した。そして家が近づくにつれ、首を切断された遺体が無数に横たわっている。スタンフォードが家へ近づいた時、そこには目を疑う光景が広がっていた。1人の男が、妹、クレアの遺体を串刺しにしていた。
「おい、クレア!!!クレア!!!!」
男は、クレアを串刺しにした上に、首を跳ねた。スタンフォードは、ソードを握ると、男へ斬りかかった。
「おい、お前、、、、、クレアに何をした???
母さんはどうした????」
すると男は、刀を持つと、スタンフォードの剣を握ると、男は凄い勢いで、刀を振り下ろした。
激しく刀でぶつかり合う中、男はスタンフォードを斬りつけた。
「生き残りがいたか。」
男は、剣を下ろし、スタンフォードを刺そうとしたその時、空鐘が鳴り響いた。男は、その場で姿を消した。男は、鳴り響く空鐘の中、大型艦隊が姿を現した。そして大型大砲から一斉に街を砲撃していく。ペリュドラ率いる、ベステフィル帝国の、連合艦隊である。
砲撃により街はどんどん燃えていく。遺体が、並ぶ街並みは燃え盛る業火により火の海へと変わり果てた。
「くそ、、、敵襲か、、、なんでこんな、、、、、、やめろ、やめろ、やめろ。俺以外のクサヴェルの人たちは、1人残らず死んだってことかよ、。そんな、クレア。母さん。」
ベステフィル帝国の連合艦隊は、巨大な大砲からバズーカが放たれていく。
「撃てええ!!!!撃ち尽くせ!!!!全て燃やし尽くせ!!!!」
連合艦隊隊長のファン・ドリューネンの命令により、無数の砲弾が家々を焼き尽くしていく。
屋根も焼き崩れ、崩れていくクサヴェルの街。
スタンフォードの友人も、幼なじみも全員が焼死していく。
「ちくしょう、誰か、誰か。いねえのかよ!そうだ。」
すると焼き付くされていく街から出て、士官学校に向かった。士官学校が燃えているか、スタンフォードは気にする。
「士官学校さえ燃えていなければ、いいが。」
「スタンフォード!!!無事か。ひでえ有様だよな。お前、ご両親は???」
アレイスは、スタンフォードに心配そうに声をかけた。それだけでなくルーシー、ミケルも一緒だった。ミケルは、焼け焦げた服を着て、火傷を負っていた。
「もうだめ。私の両親も皆、死んだ。明日から、徴兵に行けないよ。どうしたらいい?ねえ?」
「一体誰がこんな事を?一体誰が??」
「恐らく、魔術師達の艦隊だろ。朝、士官学校で言ってただろ。ベステフィル帝国のベリュドラってやつがやったって。。。。」
士官学校に行くと、そこには、逃亡してきた士官生達、約300人が集まった。
ロレンツォ・エレパルクは、士官生達に大声で叫び続けた。
「夜分遅く、申し訳ない。集まってもらった諸君には、大変なことが起きてしまった。ベステフィル帝国のペリュドラが送り込んだ連合艦隊の攻撃により、クサヴェル、ラデュイレ、エレフェス、その他4つの街が全て壊滅した。
敵襲により、市民は、首を斬られ惨殺された。そして艦隊が攻め込み、街は焼け野原と化した。これにて、緊急徴兵を要請する。ベステフィル帝国へ出陣し、ペリュドラを暗殺しなければならん。士官生達に、無理を承知で頼む。奴を倒さなければ我が国は壊滅するだろう。」
ロレンツォの指揮が大声で響く中、士官生達は大声で騒ぎ始めた。
「校長!!!怪我人の救護が優先すべきじゃないのですか。徴兵よりも先に戦うという優先順位があるのではないんですか」
「そうだ!!そうだ!!!俺たちは助かったのになんでその尻拭いをしなけりゃならねえんだ。納得行かねえだろうよ。」
大声で抗議した。ロレンツォは、冷静に語り始めた。
「救護病院も生き残っている人々がいるか判断ができない。その旨を理解して欲しい!」
士官生が大声で喚く中、スタンフォードは怒りを顕にした。
(許せねえ。国家を転覆させるつもりか。それでも俺は、ベステフィル帝国をぶっ潰す。)
怒りに燃えるスタンフォードは、拳を強く握り始めた。