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930~第二次黒海戦争の動乱~  作者: アリナス
第1章 絶望の果ての世界
2/10

episode1-1 「始まりの朝」


黒海の底、アルティン帝国のとある街クサヴェル。スタンフォード・ビアードはその日いつも通り早起きをした。

魔術が帝国全体に栄え、帝国が戦争と核兵器によって衰退を迎えていた頃。

クサヴェル第1士官学校に通っていたスタンフォードをいつも通り起こしに来る母親。


「スタンフォード!!!おはよう、今日も学校なのね?」


「ああ、おはよう、、あー、、、そうだよ。明日から、学徒徴兵があるからね。」


スタンフォードは、欠伸をしながら答えた。

夜な夜な、士官学校での訓練や、特訓で疲れている中で、明日に控えた、学徒徴兵で息詰まっている中で毎日のようにある学校に耐えられなかった。


「ねえ、隣町でまた敵襲が起きたみたい!!!私達も気をつけた方がいいわよね。」


「わかってるよ。そんくらい、大丈夫だって。母さんも気をつけろよ。あと、クレアもね。」


「おはよう、お兄ちゃん。明日から、徴兵だっけ??」


スタンフォードの妹のクレア・ビアードは、14歳の少女。明日から徴兵する兄、スタンフォードの事が心配でしょうがなかった。

徴兵され命を落としている、兵士たちをクレアはいくつも知っている。


「そうだよ。まあ、あれだ。徴兵って言っても、あれだ。飛行機とか乗るわけではないからね。ただ海底で虚しく、戦うだけだけどな。」


海底国とはいえ、空気が清く、シールドによって陸上と同等の生活ができるよう作られているクサヴェル。海水の中でも生活できる空間を作り出した人類の技術と魔術の進歩である。


「お兄ちゃん、いってらっしゃい。」


「いってらっしゃい。スタンフォード。」


「行ってきます。」


クレアと母親ははスタンフォードを見送る為に外へ出て言った。

スタンフォードは、士官学校まで歩いて向かった。軍服に、食料、水分が入った鞄。そして腰からは、マリンアビリティを解放できる、剣を所持していた。軍人達は、士官学校へ入ると、剣を所持できる。


(隣町への空襲??もしかしてこの街にも、起こり得るのか??)


嫌な予感がした。まだ起こり得るかもしれない、敵襲。これから先起こる可能性のある悲劇。スタンフォードの予感は思わぬ方向へ動く事となる。

朝、スタンフォードは、クサヴェル第1士官学校へ到着した。士官学校の教官や軍人が出迎える中、朝礼が行われた。


「朝礼!!!全員点呼!!!」


学校長のロレンツォ・エレパルクが一斉点呼を行うと、士官生は、全員返事をした。朝礼でロレンツォはこう述べた。


「ここに集められた士官生達は、明日より学徒徴兵に出陣する兵士達であろう。いよいよ第2次黒海戦争の実戦に参加する時期が来た。敵国は周知だと思うが、ベステフィル帝国だ。我々、アリュテシア帝国とは、軍の規模、更には兵の規模も違う。そしてこれまでより比べ物にならないくらい強さを増している。その理由としてベステフィル帝国最大の敵が動き出したからだ。その名は、ベリュドラ。全身を炎に包まれていると言われる、炎の剣聖だ。」


「炎の剣聖??」


「誰だよ、そいつ??」


士官生たちは次々と口を挟む。その正体は全く不明。しかし大量の軍隊と魔術師を率いて、ベステフィル帝国において一大勢力を伸ばしているとの事だった。

魔術師、そう、この世界における、軍人よりも強く恐れられる存在。聖アルティアン教徒の魔術師を集め、この戦争における、ベステフィル帝国群の傭兵部隊として暗躍しているとのことだ。


「隣町で敵襲が頻発した。恐らくそれも全て、ベステフィル帝国のペリュドラの仕業だ。魔術師達を、率いて街の全滅を図るつもりだ。明日徴兵を控えた士官生達には申し訳ない。」


ロレンツォは、頭を下げた。士官生達は危惧していた。これからの徴兵の前に、街の敵襲が起きない事を祈るばかりだが、その悲劇が刻々と近づいていた。


「ふざけんなよ、なんでこの時期に、こんな話すんだよ。俺達は、明日から出兵すんだぞ。あんな状況でどうやってよ」


アレスターは大声で叫んだ。士官生の中でも感情的になりやすい、アレスターにとってストレスでしかなかったが。

そして遂に、クサヴェルに敵の魔の手が忍び寄る。


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