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勇者の片思い  作者: そうき
1 始まり
6/13

5.25話 夢の中で(マコト)

マコトばーじょんです。

ちょっと新情報あり。

ぽかぽかする。陽だまりの匂い。ああ、また公園でうたた寝してんのかな、ついベンチに座ると寝ちゃうんだよな、弟たちのお守り最中なんだけど・・・・と、弟たちのことを思い出して目が覚めた。

弟?あれ?

違う、弟じゃないけど弟みたいな感じでハルヤの面倒見てて・・・あれ?

「ここどこ?」

サラサラと流れる金の砂が空気中を舞っている。それはとてもキレイな現象で、しかし眩しいこともなく、ただ柔らかな光がほんのりと目に映る。周囲は白っぽい壁?のようなものに囲まれていて、まったく外が見えない。というか、おそらくどこかの部屋の中だと思うのだが、どんな部屋だ、ここ。・・・俺、宙に浮いてるんだけど。

イスに座っていないのに、座っているような体制で、ぷかぷかと浮かんでいる。はてこれはいかに。

「寝ようとして、でも眠れないなー、って思ってて、それで、・・・なんでこの状態?」

体はある。ように感じられるけど、実際のところはどうなんだろう。夢かな?

『夢・・・ほんとの、夢』

「っわあ!!」真後ろから声が!!

勢いよく振り返ると、そこには小学生くらいの背丈の白い影があった。周りも白いのにこの子も白い。わかりにくい。つか、顔が見えないんだけど?

「えーーーっと、顔が見えないんだけど、君、誰?」

こわいけど、のっぺらぼうというか、顔なし?じゃないよね、まさか。

何か光っぽいのでぼやけてて顔がわからない。体もぼやけてるというか、ええと。

『わたし、呼んだ、あなた、たち、4人』

「・・・ええ?」

一瞬、言葉に詰まった。え、それ、ほんとに?この子に呼ばれたの?

『勇者、助けて。わたしの、半神、夜の、女神』

「えーっと、つまり、俺が、というか、俺たちが勇者で、その、半神?さん?が夜の女神さんで、その女神さまを助けてほしい、ってこと?」

こくり、と大きく首が縦に振られた。ああ、そう、そうなんだ、で、それで、

「ここどこ?」

『夢、の、中、の、神域』

「他の3人は?」

『一度、に、呼べない。一人、一人』

「んー。つまり一人ずつ、ってことか。・・・で、なんで俺たちなの?」

それはやっぱり疑問だ。なぜ、出身地も年齢も誕生日も趣味もまるで共通点がない俺たちが?

『ケガ』

「ケガ?」

小さい子どものような体が、前に出た。右足を出して、その右足は他の部分より一層白くて影が薄い。

『足、ケガ、みんな、同じ』

息を止まってしまった。足のケガ。そういえば、ハルヤは入院してたとか、言ってたな。

俺ももともとは事故ってケガして、そのリハビリで水泳始めて・・・小学生の時だけど。

まさか、女子二人も?過去にケガしてるのか?

『わたしと、同じ。呼ぶのに、必要な、共鳴。共振、しやすかった。あと、耐性。悪魔に、対する、耐性』

「悪魔?いるのか?」

『いる。異界から、来た、悪魔。夜の、女神を、攫った。隠した。酷い。悪い、奴。だから、悪魔』

「ああ、悪いことしたから悪魔ね、ほんとに悪魔、ってわけじゃなくて」

ちょっとほっとしてしまった。本物の悪魔とか、無理だろう、戦うとかさ。

『悪魔』

「ああ、うん、わかった、それで、えーと、耐性?」

『耐性、と、順応性、魔力、の高い順に。4人』

「あ、そう・・・」

それなりに条件の基準をクリアしてた、ということか。嬉しくないけど。

「帰りたいんだけど、帰してもらえるのか?」

『終わ、れば』

「何が終われば?」

『夜、の、女神、取り、戻して、世界、回、復、それと、悪魔、追放、異世界、に。』

「それちょっと仕事多くない?」

全部押し付けられてるよね、コレ・・・。

『褒美、あげる。仕事、援助、あげる』

ぽわん、と光が一際強くなった。その光が収まると、ふわふわと浮かんでいる物体が、俺のほうに流れてきた。

『あげる、武器、あと、道具』

「それはありがとう。遠慮なくもらっとく」

右手で掴むと、するりとそれは腕にはまった。白いエナメルっぽい光沢の、金線でツタの模様が描かれている、所々に色石の付いた腕輪。見るからにお高そう。

『能力、いろいろ、あげる』

「え、能力?」

勇者体質以外に、何か?

またもやその子は・・・子どもにしか見えない女神サマは光を生み出して、その光はマコトの体に触れるか触れないかの所で消えた。たくさん。数えるのは途中でやめたが、20個は超えてると思う、確実に。

「何をくれたか、説明してほしいんだけど」

『わかる、機能、ある』

「・・・説明なくてもわかるってこと?」

こくん、と頷かれた。

「それは便利で助かるけど・・・」

うーん、イマイチこの子のことが信用できない。嘘は言ってない。言われてないと思う。けど、なんか・・・なんだろう、まあ、イキナリ全部話すとか、わかるとか無理だとは思うけど、俺のキャパからいっても。けど、なんだろう。何か引っかかるんだけど。

「ああ、そういえば、自己紹介してもらってないな、君の名前は?」

『光』

「ひかり?」

『光の女神』

「えーっと」

『ラーシア』

「あ、そう呼ぶのか。日本語では光の女神ね、意味的に。なるほど」

光ってことは、太陽神とか?そんな感じ?アマテラス、だっけ、日本の太陽の女神さま。

『時間、もう無理。また、あとで』

「えっ、もう!?」

慌てたが浮いているので身動きがおかしい。手を伸ばそうとしたが滑るように体が落ちていく。

「まだ聞きたいことも確かめたいこともあるんだけど!!」

やわらかな風に流されながら声を張り上げたが、返事はなかった。

そのまま光に飲み込まれるように周囲が白に塗りつぶされた。




浮遊感覚がいきなり消えて、重さを感じる。大きく口を開けて息を吸っていた。

勢いよく開いた目が天井を映す。ほのかに明るいのは朝になったからだろう。

ほっとして息をゆっくり吐いた。

体に力を入れてみる。うん、ちゃんと入る。動く。

もぞもぞと動いて右隣を見ると、気持ち良さそうに寝ているハルヤの顔が見えた。

すやすやと規則正しい息遣い。まだよく寝ている。

起こさずに済んで良かった、と、またホッとする。

音を立てないように、ハルヤを起こさないように、そろそろと起き上がる。

もう寝る気分じゃなかった。胃が落ち着かない。どこか疲れた感じもあって、水が飲みたかった。

窓際のテーブルを見ると、夕べの水差しとコップはまだそこにあった。

ベッドを降りて、そのテーブルまでは5歩。

すとん、と大きい背椅子に腰掛けてから、水差しから新しく水をついで一気に飲んだ。



夢の中の出来事・・・というか、話し合いというか。

新しく知った情報を再確認する。

「あとで4人だけで話せるかな・・・」

ポツリと小声で呟いた。

さすがにこの内容をこの世界の人には知られたくない。

「今日中に話せるといいな」

カーテンを少しだけ開けて外を見る。天気は快晴のようだった。


4人順番に書いてますので、次はトモカさんかなー。

それぞれちょっとずつ、新情報が出てきます。

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