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プロローグ

*残酷な描写があります。


更新が不定期になってしまうかもしれませんが、極力週一更新を心がけていきたいです。


結構説明要素が多くて会話が無駄に長い場所がありますがご容赦ください。

深夜の博多、人通りが全くと言っていい程ない寂れた裏路地。

そこには、そこに似つかわしくない高価そうな衣服を纏った美少女の姿があった。


数分が経過して、その少女の背後から数人の影が現れた。


「ねえ、君一人?お兄さん達と遊ばない?」


髪を金髪に染め上げ、特攻服を着た三十くらいの男が声をかけて来た。


「臭い…」


少女は、彼らの口から放たれる酒と男の口臭が混ざった悪臭に僅かに顔を顰めながら言った。

その言葉は、彼の逆鱗に触れたらしく突然激高した。


「ああ?なめとんのかこのガキぁ。俺は、この博多でバリ有名な黒鼠のもんなんやぞ、あん?」


「はいはい、自己紹介どうも。……久々に狩りの時間ね……」


少女は、さっきまで真一文字に結んでいた口を僅かに歪めながら言った。後半は、彼らには聞こえなかったらしく、自分達をを馬鹿にされたと思い懐に隠していたナイフを抜き放った。


「さっさ言う事聞かんと痛い目見るぞ。」


後方に控えていた

数人もナイフを取り出した。

それを見た少女は、俯いていた顔を上げ髪で隠されていた耳のピアスを見せた。

男達はそれを見て怒りに燃えていた顔を、真っ青に変化させた。


「さて、ファイル17のNo,28 博多の黒鼠のお掃除をしますか。」


「お、お前、ACSなのか?」


「はい。対犯罪組織、Anti(アンチ) Criminal(クリミナル) Syndicate(シンジケート)、通称ACSの国内部第二小隊A(アルファ)隊 隊長の蓬莱(ほうらい) 弥子(みこ)です。どうですか?冥土のお土産になりましたでしょうか?」


そう言ったら、一人平然としていた男がおそるおそるさっきまで弥子と話していた男に頭に疑問符を浮かべながら声をかけた。


「お頭、ACSって何ですか?」


「阿呆!そんな事も知らずに今まで人殺しよったんか!ええか、ACSはなあ、防衛省直属の特殊部隊で、政府公認で銃の発砲が認められて、ファイルっちゅうもんに名前が載っとる組織や密入国して来た外国人を射殺する事が出来るんや。」


「な、なんでこんなガキが。どうせデマですよ!」


「ド阿呆!中学校卒業後、犯罪組織に因縁のある者は申請すれば誰でもなれるんやぞ!」


それを聞いた男は、顔が真っ青になった。


「ま、説明までしてくれたあなたに免じて抵抗しない者は武器を置いてくれれば殺しはしないわ。」


それを聞いた黒鼠の頭は、直ぐにナイフを床に放り投げた。

それに続いて数人は後に続いたが、頭にACSの事を聞いていた男と後二人はナイフを構えた。


「武器なんてどこに持ってんだよ!どうせその話も脅しなんだろうが!死ねっ!」


男のうち一人が、啖呵を切って襲いかかって来た。

弥子は、服の袖に手を入れた、手を袖から出した彼女の右手には、一丁のH&K USPが握られていた。


H&K USPは、ドイツのH&K社が開発した特殊部隊向けの九㎜拳銃でサプレッサーとライトの付いたダブルアクションライフルで、装弾数は15+1の拳銃だ。


「はあ……彼がせっかく警告してくれたのに…さようなら。」


言葉が終わると同時にサプレッサーで押さえられた銃声が重なる様に二発の9×19㎜パラベラム弾が放たれ、襲いかかって来た男の額を貫いていた。弾丸は、男の脳漿を撒き散らしながら後方へと飛び去っていった。


「ひっ!降参だ頼む!命だけは助けてくれ!」


男は真っ青な顔をしてナイフを地面に置き顔中の穴という穴から体液を流して懇願した。


「それは無理だな。」


突然男の野太い声が響いた。

男達が視線を向けた先には、戦闘服を着た185㎝程の細身ながらもしっかり鍛え抜かれた体つきをした男が、M4カービンを向けていた。

M4カービンは、口径が5,56㎜で装弾数が三十発。弾丸は、5,56×45㎜NATO弾だ。

その銃口をナイフを持っていた男に向けると、容赦なく発砲。彼もまた、脳漿を撒き散らしながら死んでいった。


「お疲れA2。」


「お疲れ様です、隊長。」


弥子がA2と呼んだ男は、堅く結んでいた口を緩めて言った。

その頃には、他の仲間の4人が隠れていた建物から姿を現していた。彼らは、事後処理のために警官と話をしていた。


ACSは、国内部と国外部に別けられており、国内外それぞれに十個小隊がありさらにその中にA (アルファ)B(ベータ) C(チャーリー) D(デルタ) E(エコー)の五つの部隊があり1部隊6人で構成されている。国内部は、主に国内の犯罪組織の撃滅に、国外部は海外の特殊部隊と共に大規模な犯罪組織やテログループと戦っている。

また、各隊員の呼称は基本的に所属する部隊の後に1〜6を付けて呼ばれる。これは、敵に名前を知られて万が一逃げ出されたら、個人が特定されその人が憎悪の対象となり私的な空間で襲われる事を防ぐためだ。


「隊長〜。本部から招集で〜す。明日の昼に福岡支部に来いって〜。」


パトカーのサイレンが鳴り響く中場違いのような間延びした高い声が響いて来た。声を発したのはやはり場違いさを増させる黄色のワンピースを着たショートカットの利発そうな16歳の少女だ。


「分かった。A5」


弥子は、直ぐに荷物を持って深夜の博多を後にした。






「君には、神橋島(しんきょうじま)に向かってもらう。そこで学校に通いつつ働いてもらうぞ。」


薄暗いとある一室、そこでは白い髪をオールバックにし、黒いスーツに身を包んだ初老の男性とスーツを着た弥子が向かい合っていた。


弥子が博多の黒鼠を捕まえた翌日の正午、福岡県庁の最上階の一室にあるACSの福岡支部のさらに奥にある支部長室に彼女は招集された。

そこで、福岡支部長に真っ先に言われた言葉だ。


「えっ?神橋島ですか?あそこには既に第1小隊がいるのでは?」


神橋島は、太平洋に浮かぶ島で、貿易の拠点として発展して来た島だ。気候は、南国とは言えないが海が美しく夏は涼しく冬は暖かい。この島は、過ごし易さや物流の良さから多くの人が集まり、埋め立てを繰り返し、東京都程の大きさまで広がった。

今では、神橋大都市圏となるまでの成長を遂げた。しかし、過ごし易さから多くの密入国者や犯罪組織が跋扈しているため、最精鋭である第1小隊が担当しているのである。


「それが、自爆テロの際に付近で見回りをしていたEが全員死傷すると言う事案が発生してな、この機会にお前も高校へ転入していろいろな物を学びなさい。それがいずれお前と母親の悲願であるお前の父ブルフラス・アスカムの組織アメリカ最大のギャング『Blood Blue(ブラッド・ブルー)』の壊滅への足掛かりになる事じゃろう。」


弥子は、少し考え込むと直ぐに返事を返した。


「引き受けましょう。」


初老の男性…ACS福岡支部長は満足げに頷いた。


「では、明日発ちなさい。貴女のお爺様の別荘を使って良いそうじゃ。」


そう言いながら、彼は別荘までの地図と神橋島支部長への紹介状、飛行機のチケットを渡して来た。


「はじめから行かせるつもりじゃないですか。」


弥子は、頬を膨らませて彼を軽く睨みながらも渡された物を受け取った。

彼は、それを聞いて笑い始めた。


「元々お前は上司の頼みを断りきれんじゃろうが。まあ、頑張ってきな三年後には、シカゴに行けると良いのう。」


「いえ、三年経つ前に行って、卒業後は祖父の仕事を継ぐつもりです。」


「そうかそうか。がんばりなさい。」


「はい。では、失礼します。」


弥子は、敬礼をして支部長室を退室した。

読んで頂きありがとうございました。

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