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三国志遊戯  作者: 三十四
184年4月
3/14

第二話

 劉禅の外交の結果が分かるのは、十日後だ。つまり、三十ターンが経過すればである。

 ターンを進めて……俺は思った。

 そういえば、食事はどうすればいいんだ?

 ゲームでは、一日が経ったのだが、俺は寝ていないし、飯も食べていない。そう考えていくと、空腹になってきた。


「まさか、リアルに飢え死にするんじゃないだろうな……?」


 俺は、この世界に来て初めて執務室を出ることにした。

 これだけリアルなんだから、食べ物くらいはある……はずだろう?

 政庁は、結構入り組んだ作りだった。きょろきょろとあたりを見回しながら歩いていく。


「これは、太守様、どちらへ?」


 警備兵が、俺を呼び止める。


「ああ、えっと……ご飯とかないのかなって」

「ご飯、ですか? ああ、そういえば、太守様は、昨日は劉禅様の家を訪問した後、一日中執務室にこもりきりでしたね。後で運ばせましょう」


 あるのか……!

 良かった。

 とりあえず飢え死にはせずに済んだようだ。


「うん……?」


 ちょっと待ってくれ。気になることを言っていた。


「君、さっき俺が一日中執務室にいたとか言ってたな」


「はい」


「その間、君は何をしていたんだ? もしかして……ずっとこの政庁にいたのか?」


「私は、警備の時間が終われば家に帰りますが……」


 ということは――さらに俺は質問する。


「君は、昨日は寝たのか?」


 兵士は不思議な顔をする。


「勿論です。寝ずの番など、よっぽどのことですし」

「何時間くらい? あ、いや、どれくらい?」

「そうですね……昨日は少し夜更かししましたので、深夜から早朝にかけてですね」


 うーん。どうやら……俺の流れている時間と、彼らの流れている時間は違うようだぞ。

 しかも、劉禅も言っていたが、俺は、『劉禅の家を訪問したらしい』。

 そんな記憶もないのにだ。

 つまるところ、過程がすっとばされている。まるで某漫画のボスキャラの能力のように。俺が、ターンを送る間、この世界の住人は、普通に飯を食べ、寝て、通常の生活を送っているようだった。

 ということは――うーむ。


「太守様? 何かお調べですか? 不審な点でも?」

「あ、いや。何でもない。食事を執務室に運ばせてくれ」


 後にしよう。

 時間が来るとターンが進むのだ。時間を有効に使わなければならない。

 俺は急いで執務室へと向かった。

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