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alter code  作者: にょた
1/1

絶望は既に側にある

初投稿となります


趣味でいくらか書き溜めていたのですが、この度なろうにて投稿してみようと思った次第です

自分は基本長編のみ執筆するのでよろしくお願いします


ジャンルにこだわりはないので、興味をもってもらえたらぜひ贔屓にしてください


初投稿ですので、特にはっちゃけることもなく終わりたいと思います

次回投稿からは人が変わったように喋ると思いますが、安心してくださいそっちが素です

怖いくらい明るい夜だった。

ここ数十年、頻繁に日蝕が訪れている

誰もが世界の終わりを確信していた

それでも不思議なもので、人間は抗うのをやめない

命あるモノの性か。あるいは生存本能か。

いずれにせよ、人間に残されたのは

「生き残る」というただ一つのみ。

それがどんなに難しいことか、想像もつかないだろう

だが、たとえ困難でも。世界が絶望しても。我々に出来ることはこの一つだけ

なればこそ、人として、生ある者として

そして、この世界の希望として。

我々が戦わねばならない



-この地球(ほし)に、安寧を取り戻すために-




爽やかな朝とは言えなかった

毎朝の日課のように、起床のベルが口うるさく響く

それと同時に聞こえてくるのは喧騒

これももう日課のようなものだった

朝は苦手だ、とばかりに、寝癖のひどい少女は布団を被った

「ちょっとアンタ!まだ寝るつもりなの!?また教官に怒られるよ!」

声が聞こえる。これもまたいつも通りのこと

「……もうちょっと」

「もう!また私まで怒られるんだから!早く着替えなさいよ!」

「うー」

観念したように寝ぼけた少女は身体を起こす

「起きたなら着替えくらい自分でしなさいよ。私は先に行くからね」

そう言って飛び出すのは活発な少女

おいてけぼりの寂しそうな少女は

次いでゆったりと着替え始める

「あと3分だよ!急ぎなさい!」

「うー」

わかっているのかいないのか、適当な返事で少女は返した



世紀末2099年。今日の日付は6月9日

遅刻ギリギリで寝癖の少女は隊列の端に並ぶ

「憂木。髪型を整えてから来いと何度言ったらわかるんだ」

「さーせん」

欠伸をしながら憂木と呼ばれた少女は答える。実にやる気の無さそうな応答だが

これでも彼女は反省しているのだ

「訓練ではしっかりやれてるからあまり厳しくは言わんが、もう少し一人前の ゛兵士 ゛としての自覚を持ってくれ」

「はーい」

憂木が返す。教官が溜め息をつく

周りの者はこの光景に親しみすら覚えているだろう

「よし。全員揃ったところで今日の訓練を開始する」

「「Sir,Yes,Sir!」」

胸に拳を宛がう国への忠義の証

それは、この世紀末において悲しい忠義であった



日も暮れる頃。訓練を終えた士官生達がそれぞれの寮に帰っていく中

憂木だけが一人、夜の街灯の下を走っていた

寝坊の罰。憂木は慣れていた

むしろ彼女は、この時間を得るために毎朝寝坊をしているようなものだった

この寂れた世界。何もかもが崩壊してしまった地球の中で、唯一心を落ち着かせられるのが

変わらず光る星の下だった

息を切らして走っていたのも最初だけ

今では何の苦も感じずに

気付いたら寮まで帰っている

「憂木、もういいぞ」

今日も同じように、頃合いを図った教官に呼び止められ、寮まで帰る

「また寝ぼけて男子寮に来るんじゃないぞ」

「あはは…すみません」

「女子寮はあっちだからな」

「はーい」

教官に促されるまま憂木は女子寮に帰っていく

今の時間帯は本来、全寮生の就寝時間だが

この時間に戻ってきた憂木が向かうのはまずシャワールームだ

風呂は兵士の憩いの場、風呂にいる間は戦いを忘れられる

「ふぅ……」

熱めの温度が心地よい

シャワーを浴びながら憂木は思った

実戦なんかじゃない、平和だと錯覚するような訓練の日々が続けば幸せなのに、と

「お母さん……私頑張るから」

遠い世界の恋人に馳せるような想いで天井を見上げた

もちろんそこに何かがあるわけではない

憂木はその先の、自分にしか見えない何かを見ながらただ呟いた



_暦___年 _月_日_時_分

少女は誕生日を迎えた

残念なことに外は雨だった

「__、お誕生日おめでとう」

「はい、パパからのプレゼントだよ」

少女は飛び跳ねた。全身で喜びを表した

「よかったね__。ずっと欲しかったネコのストラップ、買ってもらえたね」

「うん!お兄ちゃんはもらった?」

「はは、僕はまだ誕生日じゃないよ」

蒼色の髪をした青年は、少女の5つ上の兄だ

青年は、はっと思い出したように、そしてわざとらしく少女に告げる

「あー、兄ちゃん忘れ物しちゃったー」

「えー!どこー?探すの手伝うー!」

「えっとねー、多分そこのクローゼットの奥かなー?」

「ここー?」

「かわいい袋があると思うんだー」

「うーんと……あった!」

「そー、それだ!ありがとう__。兄ちゃん嬉しいよ!」

「えへへ」

少女はかわいらしく微笑む

「あれ?何か入ってるよ?」

「開けてごらん」

「いいの?」

「いいよ」

少女は不思議そうに袋の中を覗きこむ

「わー!かわいい!」

「誕生日おめでとう、お兄ちゃんからのプレゼントだよ」

そこには蒼い髪の中でも栄えそうな紅い髪留めとリボンが入っていた

「お兄ちゃんがつけてー!」

「はは、いいよ。つけてあげる」


そこには何とも微笑ましい普通の家庭があった

あったはずだった



_歴___年_月_日_時_分

人々は阿鼻叫喚の中にいた

雪の綺麗な小さな村は

白い世界を赤く染め上げていた

「逃げるんだ__!」

「ママのことはいいから!早く行きなさい!」

「嫌だよ……お母さん!お父さん!」

崩れた瓦礫を前に、少女は泣いていた

下敷きになっていたのは、少女の両親だった

「アルト!__を連れて逃げなさい!」

アルトと呼ばれたのは少女の兄だ

「父さん…」

「今は君にしか、その子を助けることが出来ない!」

「……わかったよ、父さん」

アルトは何かを決意したように鋭い眼差しで、目の前の父親を見下ろす

「行くよ__。このままじゃ僕たちまで死んじゃうよ!」

「お兄ちゃん!ママが!パパが!」

少女は混乱していた

アルトは少女が安心出来るように優しい眼差しで微笑んだ

出来るだけ落ち着いた声音で、まるで自分にもそう言い聞かせるように

「大丈夫。必ず助かるよ」

「…うぅ……お兄ちゃん…」

アルトはそう、言った

それを見ていた両親は、瓦礫の下で不思議にも微笑んでいた

「__。お父さんたちは必ず助かるから、今はお兄ちゃんの言うことをしっかり聞くんだよ?」

「うん…パパ……帰ってくるよね?」

「ああ、ママも一緒に帰るよ」

それを聞いた少女は薄く頬を上げた

「アルト……わかってるね?」

「大丈夫だよ父さん、__は僕が守る」

そう言ってアルトは少女の手を引いた

アルトはただひたすらに走った

どこかに必ず身を隠せるところがあると

そう、願って、走り続けた

けたたましい怒号や悲鳴が雨の中に溶けていくのが、アルトを不安にさせた



「……っ!?」

憂木は自分でも気付かないうちに気を失っていた

「疲れてるのかな……」

最近、まともな休養をとれていない

「シャワー浴びながら寝るとか大丈夫かな私…」

そういうと憂木はシャワーの温度を高めた

「あっつ……」

ぼやきつつも頭からシャワーを浴びる

「ハルさん元気かな…」

ここのところ、何かを考えるたびに過去のことを思ってる気がする

「あちゃー、私ってこんなに陰気だったっけ。こりゃゆずに怒られちゃうな」

一人で苦笑いをしながらシャワーを止めた

その時、自分のおかれている状況を初めて憂木は理解した


ギチギチギチギチ…


「ッ!!」

関節を折り曲げるような不快な音が、シャワールームのすぐ側から聴こえた

憂木は慎重に窓に近付き外の様子を伺う

「嘘…!?」

そこからは遠目でもわかる。巨大なナニかの影が蠢いている

「節足種…どうしてこんなところに……」

それは、言うところの蟲だった

脚部の発達したムカデのような外見をしているそいつは、木々の間を滑るように移動していた

「(場所が悪い…銃も部屋に置いてきちゃったし……誰かを呼んでる間に気づかれる…)」

憂木は窓の外に注意をはらいながら思考していた

が、それも長くは続かなかった


ガチガチガチ…グチュ…


蟲が憂木に気付き、態勢を変えた

開かれた蟲の口内は、不気味な襞と歯で埋め尽くされている

「ちょ!?やばっ……!」

憂木はバスタオルだけ手に取りすぐさまシャワールームから離れた


ピシュッ…


ガァァァァァァァ………


「危なかった…」

憂木の立っていた場所には、蟲の口から放たれた刺々しい巨大な針が壁を貫いて刺さっていた

寮の壁が壊されたことにより、続けざまに警報が鳴り響く

『警告!ワームの襲撃に遭いました!

各員は直ちに装備を整え応戦してください!』

外では先程の蟲が大きく身体を捻らせていた

「ひえー、これはまずいっすなー」

憂木は身の危険を感じ、タオルを身体に巻くとそのまま右に身を投げた

次の瞬間、憂木の背後の壁に蟲が衝突した

憂木は構わず廊下を駆ける

「とりあえず誰かと合流しないと」

必死になって走った

視界の先では武装した仲間たちが銃撃しているのを確認できる

迫ってきていたはずの蟲もいつの間にか姿を消していた

「いない…」

憂木は脚を止め身構えた

どうにも周囲の空気が澱んでいる

「下手に動けない…勘弁してよ…」

自分の周りに身を隠す場所もなく、武器になるような物もない

「シャワールーム遠すぎ、困るっての」

愚痴を溢す余裕なんてない

ないのだが、憂木は不思議と自然体で居られる

どうしてなのかは本人にもわからなかった


グギギ…


頭上から何かを擦る音

反射的に前方に跳躍した

「はは……意地でも私を食べようって感じね」

蟲は天井を破壊しながらそのしなやかな骨格で憂木を囲んだ

「私、肉付きはいい方だから美味しいと思うよ」

いつものような場をわきまえない言葉

死への恐怖がないわけではなかった

「(まだ諦めちゃいない…)」

蟲が開口し、粘着質な音をあげながら身を上げた

今にも喰われるであろうという時でも、憂木の眼差しは力強かった

「喰いたきゃ喰えばいいよ、多分無理だから」

その言葉に重なるように蟲は眼前の餌に食い付いた



~了~

この度はalter codeを読んでくださりありがとうございます

早速ですが、codeなのかcordなのかわかっていないまま投稿した一作目、いかがでしょうか

正直カタカナでアルターコードとやっても良かったんですが、そっちだとカッコ悪いので一か八かで英語にしてみました

やっぱり横文字はカッコいいしロマンがありますよね

エターナルフォースブリザードみたいなやつ好きですよ


そういえば自分の作品を書いていて気付いた悪い癖があるんですが

どうやら自分、意地でも自分の性癖を満たせるようなシーンを入れようとする癖があるみたいなんですよ


今後よくわからない展開が起こったり、女の子が滅茶苦茶にされてるような表現が出てきたら僕の性癖だと思ってください


執筆中も女の子の尿に溺れたくなってしまい集中出来なかった…非力な私を許してくれ



とりあえず一回目ですので

特に面白いことも思い付かないのでこの辺であとがきを終わります


ではまた次もよろしくお願いします


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