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利己の風【改訂版】  作者: メイシン
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第36話 従魔戦1回戦


お待たせしました。エルの従魔戦開始です。

長くなってしまったので切りの良いところで切らせていただきました。






 武闘大会第1日目、個人戦の予戦が終わった。俺たちは順当に?勝ち抜き、天野も勝ち抜いた。ある意味、女王達の目論見通りだろう。ブロックも操作していた感が否めない。だがそれについては特に言うつもりもない。言い方は悪いが、自国の有利に操作するなど当たり前だと思うし。

 それよりも、明日の従魔戦だ。予選なしの本戦からなので予備知識の無い状態では、どこまでの選手がどれほどの実力を持っているか分からないから。

 まあ、今更感もあるのでそこそこの実力を出して戦っても良いと思う。




「申し訳ありませんでした!」


いつも通り?ユミンが土下座して謝っている。ちなみに今回はジャンピング土下座だった。


「予戦では(わざ)は使わないとの約束を破ってしまいました。」


「まぁ本戦で闘うような招待選手が、まさか予戦に出て来るとは予想して無かったしな。試合に出る以上、負けるよりは良いんじゃないかな。」


「ありがとうございます。」


「明日はエルの試合もあるし、今日は早めにご飯食べて休もう。ユミン、マイア今日はお疲れ様。」


「はい。」


「ん。」







「クレア、光牙様。本戦出場おめでとうございます。そしてお疲れ様でした。」


「「「お疲れ様でした。」」」


「予戦はバトルロイヤルだったから万が一があるかも知れないって思っていたけど、クレアがたまたま(・・・・)一緒のブロックだったから特に問題無く本戦まで駒を進められたね。」


「まぁ光牙様ですから。」


「私も一緒に出場してたんだから、光牙様に負ける要素が見つからない。」


「予戦はふるい落としだから。光牙様が本戦へ行くのは予定通りというものでしょう。」


「それより予戦で、目ぼしい選手はいたかな?」


光牙がカノンに、予戦で仲間にできそうな選手はどうだったかと聞く。


「光牙様がお目を掛けていたユミン・マイアは、流石と申しますか。即戦力としてすぐにでも仲間として迎え入れたいですね。光牙様の御慧眼には鑑定スキルも真っ青ですね。」


「やっぱりあの二人は思った通りだったか。」


光牙がニヤリと、自分の審美眼に酔うように笑みを浮かべる。


「まあ性格は兎も角として、戦闘能力だけを見ればかなりのモノでしょう。」


「招待選手はロイザー選手以外、姿を見せていませんので何とも言えませんが、対人戦闘に慣れていないせいか、絡め手に弱い側面がありますね。」


「獣の頭は単純だからな。魔物との闘いだけならともかく、対人戦は頭を使わないと勝ち進むことは難しいのであろう。」


「明日はネオンが出場する従魔戦の一回戦だけど準備は万端?」


「双頭狼がいれば、どんな敵であろうとも問題なく勝ち進めるさ。なんせ、ガバル家の代々継承している魔獣だからな。」


もともと、ガバル家は魔物使いとして代々反映してきた一族で、強力な魔物を使役してきた。その中で複数の魔物を使役するものもいれば、ネオンのように一匹の強力な魔物を使役したり様々であったが、ネオンの場合は当(あるじ)であるミンゴット・ガバルより双頭狼を譲り受けた。

 ただネオンの場合、自身のレベルが低かったことと、従魔する双頭狼のレベルの高さから従魔契約が出来ず、獣魔契約として無理やり使役している。当然、獣魔の縛りによってレベルダウンを起こし本来の能力よりも低くなってしまっているが。(第29話・双頭狼レベル参照)


「さて、明日はネオンと双頭狼に頑張ってもらいますが、勇者一行の名に恥じない様お願いしますね。」


「それはもちろん!」


「それでは今日は早めに休みましょう。」







「さあ!それでは武闘大会2日目。昨日は個人戦の予戦が行われました!

 今日は従魔戦となるぞ!本日も本気で勝ち進む方や、単に自分の従魔を自慢したいバカ親ならぬバカ飼い(あるじ)の登場だ!」


従魔戦は予戦が無いため、32組の従魔(獣魔)と(あるじ)が試合場へと、登場してくる。俺とエルは最初のほうで、昨日個人戦の本戦出場を決めた際、顔が売れたのであろう。少なからず俺への歓声が起こっいる。

だが相変わらず、実況がヒドイ。何か恨みがあるんだろうか?

しかし、武闘大会と名が付く大会で、仮にも従魔戦と銘打って行うのに、自分の従魔を自慢したいがゆえに、可愛がってる?従魔を出場させるんだろうか?


 とりあえず、全選手と従魔(獣魔)の紹介が終わり(※内容はあまりにも(あるじ)の心を抉る言葉のため割愛)一度控室へと戻る。俺とエルも第1試合であったのだが控室へと戻された。何かの準備があるのだと言う。


「なあエル。」


「みゃうん?」


「ひょっとして従魔戦って互いの従魔が戦うんじゃないのかな?」


「みゃうぅぅ…」


エルと従魔戦について話していると、


「それでは第1試合のユウ選手、エル選手・バン選手、メルメル選手の2組は試合場までお越しください!」


結論の出ないまま試合場へと足を運ぶと、…そこには試合場いっぱいに広がるアスレチック場があった。







「それでは今年もやってきたバカ飼い(あるじ)…もとい、(あるじ)と従魔の共演の時間だ!

 第1試合は昨日の個人戦の本戦出場も果たしたユウ選手と珍しい白銀の体躯のエル選手と、今回で連続10回の出場となるバン選手、メルメル選手の登場だ!


 今回の1回戦はタイムトライアル競技!様々な障害を越え、早くにゴールした方が2回戦へと進むことが出来ます!従魔との絆・指示の正確さを試されるのが1回戦。


 と、ここまではいつも通りの1回戦ですが、今回は(あるじ)にも見せ場(笑)がございます!」


何か悪意のあるしゃべりだな。


「今回はパートナーである従魔が、コースを走る際に障害や罠にはまったりすると自動的に(あるじ)に色々な仕掛けが発動することになります。」


どうやら(あるじ)である俺たちはお立ち台のような場所で従魔に指示しながらゴールを目指す。しかしコースには色々な仕掛けがあり、罠のスイッチを踏んだり一定時間その場に留まっていると(あるじ)に、罰ゲームのような仕掛けが行われるようだ。


「こんな競技なら出なかったのに…」


「みゃうぅん」


なんだかエルも申し訳なさそうな顔をして俺を見つめている。




「メルメルちゃ~ん!頑張ってね~。今年こそ2回戦に進むのよ~!」


隣で従魔に向かって叫んでいるバン選手がいる。いや、バカ親がいる。


試合場にいるメルメルという従魔は、身長は100cmくらいか。顔はゴリラのような感じだが、床まで届いている長い腕が4本もある姿。言葉だと凄そうだが、なんだか縮尺がおかしい。2頭身なのだ。つまり頭が直径で50cmもあるのだ。

きっとあの床まで届く長い腕は頭が大きいため重く、支えるために進化したのではないだろうか?その前に首の骨が心配になるが。

そんな身体には、可愛いフリルのついたピンクのワンピースに、頭には大きな水玉のリボンを付け、唇には赤い口紅をたらこのように塗ってある。センスは兎も角、可愛がっているのは良くわかる。


「ゴギュウ~♪」


メルメルも(あるじ)であるバンに向かって小さく手を振っている。行為だけ見れば仲睦まじく、癒されるモノなのかも知れないが、何かが違う気がする。



「ユウ選手と言ったわね。貴方のパートナーも中々可愛いけど、うちのメルメルは『最強』だわ!絶対に負けない!!」


「…はぁ。」


すでにやる気は失せている。というより罠の仕掛けが気になってしょうがない。

お立ち台に立たされた俺達には身体にベルトを巻かれたり、逃げれないようになっている。罠の発動が前提となっている所が憎々しい。カリス女王の趣味だろうか?




「両選手とも準備は宜しいでしょうか?それでは…スタート!!」


スタート位置の囲いの柵が持ち上げられ、コースが解放された。最初は30mほどの直線のタイルのコースだ。所々色が違うタイルの上には美味しそうな肉が置いてある。…あからさまに誘っている。


最初は警戒していた2匹だったが、色の違うタイルに近づくと、美味しそうな匂いに引かれ、スンスンと鼻で匂いを確かめている。


「エル!食べちゃダメだ!」


「メルメルちゃんはベジタリアンだから問題ないわ!早く先に行くのよ!」


あの容姿でベジタリアン??驚愕の事実だが、それよりも問題はエルだ。メルメルよりも早めに進んでいたが今は肉を食べるか否か格闘中だ。チラっとこちらを向いた後、タイルには触れないように、肉だけを素早くかみ付いて飛び退る。…肉には糸が付いていた。


「あーっとエル選手。肉の魔力に逆らえなかったぁ~!!第1の罠が発動だ!」


実況の声に被るように、いきなり俺の足元から腕が生えて、がっしりと掴まれる。


「おぉ?!」


俺のベルトからヒモで繋がっている2つの柱が、いきなり30mほど伸びた。

繋がっているヒモはゴムのようだ。そして俺の足はがっしりと掴まれている。


ギリギリと音をさせながら、いつ飛び出すのか分からないのが恐怖と、観客にとっては期待の瞬間を今か今かと待ちわびているようだ。


「お!おぉ!お゛ぉぉぉぉぉぉぉぉ!」



そしてその時はいきなり訪れる。俺の足を掴んでいた手が離れた瞬間、俺は空へと飛び立った。


「お゛わ゛ぁぁぁぁぁぁぁ!」


勢い良く飛び出した俺が最高地点に達した時、何故か横には巨大なハリセンを持ったスタッフの姿が。


「う、嘘だろ?」


パコーンと振りぬかれたハリセンに吹き飛ばされ、前方の地面に向かって飛ぶと、そこにはまた巨大なハリセンを持ったスタッフの姿。


何回か巨大ハリセンの餌食になった後、最後にお立ち台にいつの間にか設置された水槽に頭から突っ込んだ。


 ゴムの力で水槽から引き上げられた俺は、いそいそと水槽を片づけるスタッフを見た後、ゆっくりと2つの柱が縮み、お立ち台に降ろされた俺は恨めしそうにエルを見ると、その表情は若干申し訳なさそうにしながらも、目が笑っているのが分かる。ちなみに肉はすでに完食したようだ。


「今回も最初のトラップは派手に行われましたが、まさか、こんなお約束のトラップに引っ掛かってくれるとはエル選手も中々役者です!これは次のトラップも期待が出来ます。

おぉっとユウ選手を笑っている間にメルメル選手が次の関門へと足を運んでいるぞ!」


見ると、メルメルが30mを走り終え、階段のステップを器用に上がりながら次のステージへと向かっている。所が見えた。







誰が従魔戦が従魔同士で闘うと言った。

これが利己クウォリティです。



期待されていた方、申し訳ありませんでした

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