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上野東京ライン乗車記

作者: 19

 平成27年3月13日、JRグループはダイヤ改正をした。その中で北陸新幹線金沢開業と対を成す改正の目玉となったのが「上野東京ライン」開業である。

 上野東京ラインとは、上野と東京の間に新しく中距離電車用の線路を敷き、東海道本線と東北本線、高崎線、常磐線を直通させた路線ネットワークの名称である。

 今回、新たに線路が敷かれたわけであるが、ここに直通用の線路が敷かれたのはこれが初めてではない。国鉄時代に東北縦貫線と呼ばれた線路がここに敷かれていた。多客時の東北方面への急行などがここを通り、東海道本線まで直通していた。しかし、東北新幹線敷設の用地問題で昭和58年に撤去されている。跡地は東北新幹線に使われているが、今回の新線は東京から秋葉原まで東北新幹線の上を走っている。


 平成27年3月17日、赤羽発14時28分の熱海行に乗車した。次の列車は伊東行で、赤羽駅で熱海や伊東の行先表示を見るのは違和感を覚えた。

 この列車は前橋始発なので、両毛線2.5km、高崎線74.7km、東北本線30.3km、東海道本線104.6kmの合計212.1kmを走ることになる。これは東海道本線だと東京から大井川鉄道との接続駅である金屋に至る距離とほぼ匹敵している。国鉄末期より鈍行列車は短距離化が進んできていたが、ここに来て長距離鈍行のオンパレードになるとは思わなかった。もっとも、国鉄の鈍行短距離化は短編成化とあわせて鈍行の運転間隔を狭める為のものだったので、頻度はそれなりにある上野東京ラインの場合は問題ないのかもしれない。

 14時40分、上野発車。ここからが未知の区間だ。並走している山手線と京浜東北線の電車には幾度も乗っているが……。

 上野駅を出た電車は徐行で新線に入る。元々は電留線に使用されていた。秋葉原の留置線にいる東北本線だか高崎線の車両を何度も幾度と無く見ている。そこに乗れる日が来るとは思いもしなかった。駅のホームには撮影している人がいる。

 線路は御徒町から三線になっている。わりとと珍しいと思う。御徒町のホーム半ばあたりで外側の線路から内側の線路に転線した。外側の線路は電留線に繋がっている。なかなかややこしい。

 御徒町を通り過ぎた電車は速度を上げ、坂を登ってゆく。結構急だ。これで東北新幹線の上に出る。

 周りより一段高い高架を走り、長い直線の勾配を下ると、今度は東北新幹線と並走する。ここは元々東海道本線の機回し線だった。両開き分岐機を通り、東京駅10番線には14時46分に着いた。

 これで上野東京ラインの乗車は終わったが、東京駅で少し佇んでいると、上野方面のホームに特急「ひたち17号」が入線してきた。上野東京ライン開業で常磐線の特急は大半が品川始発になったのである。東京で常磐線特急の電車を見るのは慣れない。違和感がある。

 上野東京ラインの開業により、東京駅と上野駅は中間駅となった。特に上野駅は、石川啄木が短歌を詠んだように、北の玄関口、ターミナルであった。それが今回、上野を素通りする列車が増え、ターミナルとしての機能を半ば失ったようなものである。新幹線はとうの昔に東京へ延伸している。地上ホームがある限り、ターミナルとしての印象が消えることは無いだろうが、多かれ少なかれ没個性化していくことであろう。特徴のある駅が失われていくことは悲しいことである。

 いずれにしても新線の開通(厳密にはそうではない)は良いことだ。次の首都圏における新線開通はJRと相鉄の直通線になると思うが、それを楽しみにしたい。

                                 (完)


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