悲鳴と命
俺の名前は、ギリアス。
俺は今、この世界で1番幸せじゃないかと思う。
俺は常に自分の喜びを体感することができる。俺が望めば、俺は幸せになれる。快楽に浸れる。笑いが止まらない。幸せな人生、最高な人生を手に入れた。
俺が求める喜び、快楽、それはーー
《生物の悲鳴》
生き物が俺の目の前で悲鳴を上げる。
これだけで俺の心は満たされる。
馬鹿げてると思うだろう?
そう思えばいい。
俺を止められるものなんていない。
さぁ、今日も始めよう。
この世界を、俺の世界を悲鳴で満たそう。
なぁ、喰人竜。
俺の最高のパートナーよ。
人に飢えた鋭い目、全ての命を奪う大きな爪、恐怖を与える屈強な両翼、屈強な尾。
さらには、絶望を物語る漆黒の身体だ。
まさに、完璧。
ギリーがいることで、俺が存在できる。
今日も最高の悲鳴を聞かせてくれ。
「ギャオオオオオオオオオオオオ」
「そうだ、ギリー。飢えろ、飢えるんだ。人を食べる竜はお前だけだ。敵などいない。お前の好きなだけ喰え!喰人竜!」
俺はギリーの背に乗り、生物の悲鳴を聞くため、飛び立つ。悲鳴を聞くことを想像するだけで鳥肌が立つ。
今日はどんな悲鳴が聞けるんだーー。




