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―Ⅲ―
それから二日後。
田中は旧友の冨永と飲んでいる。随分と古臭そうな居酒屋だ。おつまみを口にしながら、冨永から話をする。
「ひさしぶりだなぁ。」
「あぁ。」
「何ヵ月ぶり?」
「半年は行ってるんじゃね。」
「そうか。」
「あぁ…」
冨永は肥えた顔で田中を見つめながら訊ねる。
「佐易さんは元気なのか。」
「あぁ、その事なんだが…」
「喧嘩でもしたのか。」
「いや。」
「何だね。」
「冨永、第八株式会社の、亜奴田辰彦って知ってるか。」
「亜奴田…あいつがどうかしたのか?」
「知ってるのか。」
「同僚だ。何があった。」
「いや、まあ、大したことではないんだが、佐易さんが奴から『あなたは救世主だ、何者だ』とか『うちゅうじんによればこの世は滅びる』とか、意味の分からない事迫られたんだわ。」
「…。」
「あいつってどういう奴なんだ?」
「いや、ごく普通の人間、だと思ってた。だが最近になって訳の分からない事を言い出して…お前が言ったような事な…そのあと、一週間前くらいに突如消息不明になった。」
「何を言ったんだ?亜奴田って奴は。」
「それがな…」