表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/21

7月30日 異変の前兆?

深夜、一匹の猫が町を歩く。常人には”見えない”その猫は、見えない者にも感じられるほどの異質な気配を纏い、目は妖しげに赤く光る。彼は混濁した意識の中、精霊憑き(天敵)を抹消すべく、あるいは精霊憑き(獲物)を探し、あるいは精霊憑き(救い)を求め、フラフラと町をさまよう。

ふと、彼が空を見上げる。空洞の中に赤い光が灯るだけの目には何も映らないが、彼はたしかに感じた。・・・獲物であり天敵であり救いでもある、精霊憑き(レイ)の気配を。半ば自我を失い、目的、存在、時間さえもわからない彼だがその存在を感じたとき、言いしれぬ喜びを感じ、その口をニィッと不気味につり上げる。そして再び歩を進め・・・











「___ッ!」


目を覚まし、周囲を見回す。いつもの部屋、同じベッドの上にルナの姿。・・・ん?


「レイ、うなされてたみたいだけど大丈夫?」


「うん、怖い夢を見てた気がするけど・・・何でルナが隣で寝てるの?」


何か、すごく怖い夢を見ていた気がする・・・なんだったかは思い出せないけど。


「それは・・・えへへへへ・・・」


「笑ってごまかすなっ!」


「いいじゃん、レイの近くって落ち着くし」


「理由になってないよ・・・」


まぁ、ボクもルナが近くにいると落ち着くというか、安心したりするけど、ちょっと気恥ずかしいからそれは言わないでおこうっと。

ふと視線を向けた窓の外、塀に乗った猫と視線が合う。猫はこちらに気づくと、ニイッと口をつり上げ・・・


「レイ?さっきから顔色が悪いみたいだけど・・・」


「え?あ、大丈夫だよ」


さっき見た夢、猫と関係あるのかな・・・・・・夢は夢、気にしても仕方ないよね。


「それならさ、レイ、海に行こうよ~。ほら、この前のコンテスト用に水着買ったでしょ。せっかくだからさ、海行こうよ~」


「え~・・・暑いじゃん・・・」


ルナは相変わらずのんきだな~・・・


「暑いからこそ海に行くの!水に入ってれば涼しいよ?」

「う~・・・じゃあ、また今度ね?今日は準備とか何もしてないし・・・8月に入ったあたりにしようよ」


海に行くならいろいろ準備した方がよさそう・・・あ、パラソルとかは貸し出ししてたっけ。


「仕方ないな・・・忘れないでよ?」


「はいはい・・・」


忘れてても連れ出される気しかしないんだけど・・・。


「あ、夕飯の材料買いに行かなきゃ」


今日の夕飯は何にしようかな・・・


「ボクもついてく!」


「じゃあ、準備してから行こうかな」


今日の服はホットパンツにシャツ。この前ルナが着てたらしいから、(無理矢理)借りたんだ。男だったときのものほどではないけど動きやすいし、スカートよりはましに思える。


「レイって何着ても似合うよね~」


「そうかな?」


たしかに、自分で言うのも変だけどこの身体は美少女といえるものだと思う。どうせなら美男子がよかったけど。美ってつかなくても男がよかったと思うけど。


「何着ても似合うなら男物を着たいな・・・」


「それはダメ!もったいないじゃん!」


「えぇ~・・・」


何着ても似合うって言ったのはルナのほうじゃん・・・それに、もったいないってなんなんだろ?


ルナと手を繋ぎ、買い物に行く。・・・手を繋いでるのはルナに頼まれたからであって仕方なくだからね?









買い物から帰る頃には夢のことはすっかり忘れていた。家の周りを徘徊する猫にも気付かず、ミゾレの姿が見えないことも、精霊は気まぐれなものだから、と気にとめなかった。








・・・彼は満足げに笑う。昨晩、精霊(邪魔者)を一人排除することに成功したからだ。これで、精霊憑き(獲物)に一歩近づいた・・・と、満足しつつ、じっと機を待つ。日中ではダメだ。力の大半が使えない状態では、精霊は相手にできない。夜であれば、力を使える。故に、精霊であっても単体なら勝てる、と彼は確信していた。だから、日中は寝ていよう。力を蓄えるため、精霊憑き(獲物)を守る精霊(邪魔者)を確実に排除するため・・・

なにやら不穏な気配ですがレイ君は平常運行です

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ