7月22日 転入
__レイ、朝ですよ。起きてください。
この声は、ミゾレか……
「ぅ~……もう少し寝かせて……」
はぁ……仕方ありませんね。死なない程度に凍らせて……
「うわっ、ちょっと待った!起きる、起きるから!」
この前それでひどい目に遭った記憶が……!て、あれ?
__おはようございます、レイ。
「……なんでミゾレがここにいるの?」
ミゾレは前の町に住んでいた氷精霊のはず。ちなみに、見た目は着物を着た和風少女言ったところ。大きさは80センチくらいだけど。
__レーナに頼まれたので、様子を見に来たのです。私だけでなく、あの町の精霊ほとんどがこの町に向かっています。
母さんめ、余計なことを……!もしかして、この家が大きいのははじめからそのために……?
「ボク、もう一回引っ越そうかな………」
__何をいってるのですか。今日は学校があります。でかける準備をしてください。
優雅にお辞儀をして立ち去るミゾレ。………学校、かぁ……。ボクは一応高校生だけど、見た目は完全に小学生。だからこそ、中学に編入するわけだけど(手続きとかは母さんがなんとかしたらしい。方法は……深くは考えないでおこう)……それでも、クラスで馴染める自信が全くない……ッ!
「……はぁ……準備、するか」
当然、ボクは女子用の制服な訳だけど……スカートは苦手だな~……。どうせなら下をズボンにしてくれればよかったのに…。まぁいいや。
手早く朝食を食べ(ミゾレが簡単なものを作っておいてくれた)学校に向かう。かなり早い時間だし、職員室に人いるかなぁ……
「………学校、どっちだっけ?」
またも道に迷ったボクは精霊や町の人に道を聞いて(天狗のおめんをかぶった変な人がいたけど……あれ、精霊じゃなくて人の方だよね?)結局、無事に学校についた頃にはギリギリな時間になっていた……職員室にかおを出した方が良さそうだけど、ちょっと急いだ方がいいかな。
新入生の紹介、として先生(名前は覚えてない)について教室に入る。教室に踏み込んだ途端、視線が集まるのを感じて顔に熱が集まる。……そりゃ、こんな変わった見た目の人が入ってきたら注目するだろうけど……とと、自己紹介しなきゃ……
「えと、如月 レイです。よろしくお願いします」
当たり障りのない自己紹介を済ませ、指定された席につく。集まる視線は気にしないことにして、授業の用意を済ませ、早々に教室を抜け出すことにした。質問攻めは嫌だからねっ
「………疲れた……」
放課後、夕飯の材料を買いに商店街に足を運ぶ。
結局、放課中に囲まれて質問攻めにされたよ……はぁ……
__あ、レイ見っけ!疲れてるみたいだけど、どしたの?
「ん、ルナ………久しぶり。やっぱり来てたんだね……」
ルナは前の町でかなり中のよかった月精霊。見た目は銀の狼だ。
__レイに会いたかったからね~♪あ、レイに伝えておきたいことがあって追いかけてきたんだけど…………
「追いかけてきたってことは……ルナ、教室にいたの?」
__そだよー?で、伝えたいことって言うのはね、あの教室に"力"の強い人がいたってこと。
「もしかして、ボク以外にも精霊憑きが?」
__うぅん、妖怪……狐かな?そんな感じの人と……巫女とか陰陽師みたいな感じの人かな?そんな感じ。もしかしたらボクにも気づいてたかもね~。だからどうってこともないんだけど。
「ふぅん……まぁ、危害を加えてこなければいいけど……」
__レイに何かするようだったらボクが仕留めちゃうからさっ
「ちょっ、仕留めちゃダメだから!事件にしないでよ!?」
ルナなら巨大な狼になって大暴れ、とかしかねない……!
__えー……まぁ、レイが言うならおとなしくしておくよ。何かあったら言ってね~
そう言い残して去るルナ。ふと、ルナとの会話に夢中になって声を大きくしたせいで周囲から視線が集まっていることに気づく。うわ、ボク、完全に不審者……。
恥ずかしくなって、急ぎ足でその場を立ち去る。結局、夕飯の材料を買い損ねたボクはその日の晩をコンビニの弁当で済ませることにしたのだった
寺町 朱穂さんより直接ではありませんが稲荷山さんと芦屋さん、三衣 千月さんより天狗仮面さんをお借りしました~。問題がありましたら連絡お願いします