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8月9日 「そんな趣味は無いっ!」

いつも通りの朝、いつもより少し早く目が覚めた気がする。


「流星っていうんだけどね、あそこのオムライスがおいしくて………」


「私も行きましたけど、パスタも美味でしたわ」


「でしょでしょ!今度みんなで行きたいな~って……」


朝の静けさと、爽やかな感じっていいよね。


「それでな、修行中にレイが…………」


「どうなったのです?」


「それはそれは、私も興味がありますな」


「ジーヤ、いつ現れたんだ…………?」


「フレイ様が夢中でお話になられている間にでございます」


そう、静かな感じが…………


「あ~!暇だぜ、オイ!」


「クレイ、そなたはもう少し落ち着きをもてぬのか」


部屋に人型の精霊がたくさんいて、すごく騒がしい。家にいるのはいいんだけど…………


「…………なんでみんな部屋にいるのさっ」


「あ、起きた?」


真っ先にこちらに来るルナ。いつものことだけど、顔が近い…………。少し機嫌の悪いボクはルナにデコピンをしてから精霊達に向き直る。


「人が寝ている部屋で騒いでた理由を聞かせてほしいんだけど…………」


「あ?ここに居ろって言ったのはテメェじゃねぇ。」


こっちを睨むクレイ。でも、絶対に向こうに非があるんだから退かない。


「家に居てとは言ったけど、部屋に居てとは言ってない!」


「レイが寂しがると思ってだな…………」


「そんなに子供じゃないよ!」


シルフィが言い切る前に言い返す。見た目は子供だけど、精神まで子供なつもりはない!


「そんなに怒らなくてもいいじゃん…………昨日も邪霊がでたし、みんなレイのことが心配だったんだよ」


デコピンから立ち直ったルナになだめられる。そう言われると怒りづらいな…………


「お嬢様、食事の用意ができました」


ジーヤが部屋に入ってきて食事の準備ができたことを告げる。…………って、あれ?


「ジーヤ、さっきまでそこにいなかったっけ…………?」


「食事の準備のため、先ほど部屋を抜けさせていただきました」


「いつの間に…………」


いつの間にか抜け出していたミゾレも戻ってきて、そのまま朝食にすることになった。







テーブルの上に並ぶ食事。内容は朝食らしいものだけど、ホテルとかで出るような豪華なもので、明らかに家には置いていないような果物や料理まである。


「……これ、ジーヤが用意したの?」


「左様でございます。昨夜の仕込みはミゾレ様にもお手伝いいただきましたが」


仕込みって、朝食のためにそこまで…………


「わぁ、豪華だね~」


「うむ、流石じゃな」


「お~、すげーな!」


精霊達ははしゃいでるけど、気になることがある。


「これだけ作るための食材、どこで調達したの?」


「足りない分は商店街等で調達してまいりました。私、こう見えて稼いでおりますので」


「稼いでるんだ…………?」


どこで稼いでるんだろ…………?


「機会がありましたらお嬢様もご来店してみてはいかがですか?隣町の、執事カフェ”白鳥(しらとり)”というところなのですが…………」


「ボクにそういう趣味はないっ!」


「左様でございますか」


ニヤニヤしてるし、絶対わかって言ってるよね…………


「あ、私としたことが、お伝えするのを忘れていたことがありました」


伝え忘れていたこと…………?


「お嬢様のために新しく服を購入いたしました。クローゼットに入れましたので、是非お召しになってください」


服?なんとなく、嫌な予感が…………


「…………変な服じゃないよね?」


「それは、ご自分の目でお確かめください」


そう言って楽しそうに笑うジーヤ。ますます嫌な予感…………


「とりあえず、見に行くしかないよね…………」










恐る恐るクローゼットを開けると、普通の服、浴衣、ゴスロリ?等、大量の服で埋め尽くされている。


「えっと・・・これ、ジーヤが買ってきたの……?」


「左様でございます。あ、浴衣は水着コンテストの際の賞品でございますね」


なんでジーヤコンテストことを……?


「それと、いくつかは自作のものでございます。お気に召しましたか?」


「お気に召さないよ……」


こんなもの着て出歩くのはちょっと……


「あ、皆様と相談いたしまして、こちらの服をお召しにならないのであれば”今回の件”に関してのお手伝いは一切いたしませんし、させませんので」


「へ?」


「こちらの服すべてに少し細工をいたしまして、お嬢様の安全をお守りできるように加工を施してあるのでございます。ですので、こちらの服を着ない以上は外出を制限させていただくことになりますので」


「えぇっ!?」


どうせならジャージとかに細工してくれればよかったのに。でも、ボクの身を守るためのものなのか……


「そう言うことですので、留意しておいてくださいませ」


「むぅ……」


仕方ない、普通そうなのを探して着ようかな


「全種、真心を込めて加工いたしましたのでお召しになっていただけると幸いでございます」


「う……」


逃げ道を塞がれた気分……。


「れ~い~、何の話してるの…………わぁ、きれいな服だね~♪」


「これはこれは、ルナ様。これはお嬢様のために集めた服ではありますが、ルナ様にもお似合いになると思いますよ。それぞれ2着ずつは用意してありますので、お揃いにしてみるなどいかがでしょうか」


「うん、そうする!レイ、どの服がいいかなぁ?」


…………着ることは決定なの?


「はぁ…………仕方ない、ルナが選んでよ。同じのにするから」


「うん!」







「レイ、これなんてどうかな?」


「えと、これはちょっと…………」


「お嬢様、先ほどルナ様にお任せすると言っていたのではないのですか?」


「うぐ…………むぅ、わかった、コレにするよ」


結局全部着ることになるんだし、早いか遅いかの違いかな。…………はぁ…………


「そうと決まれば早速着替えようよ!」


「うん、そうだね…………じゃあ、一度部屋に戻って…………」


「ジーヤ、ちょっと向こうに行ってもらっていいかな~?」


「承知いたしました」


「えっ…………えと、ここで着替えるの?」


「うん、そだよ?誰も見てないし、いいでしょ」


ええと…………そういう問題じゃないんだけど…………


「ボク、この前まで男だったんだよ?ルナと同じ部屋で着替えるのはいろいろ問題がある気がするんだけど…………」


「今は女の子じゃん。それに、ボクとレイはそっくりな見た目だし、一人で着替えることはあるでしょ」


「それはそうだけど…………」


一人で着替えるときは、鏡とかみないようにしてるし、目の前でルナに着替えられると…………たぶん、いま顔が赤くなってる気がする…………


「いいから、早く着替えようよ。ほら、レイも!」


「わっ!?」


いつの間にか近づいていたルナに服を脱がされる。器用だけど、どこでこんな技術を…………?


「で、コレに着替えてね!」


「むぅ…………」


裸のままなのも嫌だから、渋々着替える。こういう服って着心地が悪いのかと思ったけど、以外と不快感もなく肌触りも良いように思う。ジーヤが加工したって言ってたし、そのおかげなのかな?


「うん、似合ってるよ~」


「ルナも似合ってるよ。…………なんでだろう、微妙に嬉しくない…………」


服が黒いから髪の色が少し目立つけど、それはそれで綺麗に見える。どちらかというと、かわいいって感じかな?…………自分も同じような見た目って思うとちょっと複雑だけど。


「せっかく着替えたんだし、今日は出かけようよ!」


「えぇっ!?」


こんな格好で出歩くなんて絶対嫌だ!


「レイが寝てる間に、みんなで”流星”に行こうって話になってたんだ。せっかくだから、ついでに商店街とかも見ようよ~」


「むぅ…………じゃあ、着替えてから行こうよ」


「だめ!この服で行こうよ!」


ルナ、この服が気に入ったのかな…………たしかに着心地は良いけど。


「では、この服でお出かけになられるのであれば食事の際にデザートを付けさせていただく、というのはいかがでしょうか」


「…………仕方ないから、このまま出かけようかな」


食べ物に釣られたわけじゃないからねっ









その日、町でちょっと変わった雰囲気のゴスロリ服の双子が居ると話題になったとかなってないとか。

…………ボクにそんな趣味はないっ!

綺羅ケンイチ様より、ビストロ流星の名前をお借りしましたー。

レイ君、しばらくはこんな感じの服装になりそうです

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