第十一話 最後の手紙
「私の名前は『桃宮結花』。よろしくねっ!」
「かわいい名前だね。私は小林晴香。」
「じゃあ『晴香』って呼んでいいかな?」
「うん。私も『結花』って呼んでいい?」
「もちろんっ!」
結花は私の手を握り、こう言った。
「同じ痛みを知っている者どおし、支え合っていこうね!」
「うんっ!」
この時、『永遠の親友』に会えた気がした……
『桃宮結花』という親友に───…
******
家に帰り、自分の部屋に入った。
…その時──
いくつもの羽が舞い上がった…
急いで窓にかけより外を見た。
しかしそこには、もうなかった……
兄の姿は───…
その代わりに、机の上に手紙があった。
私は手紙の封を開ける。
『晴香へ
ごめん、晴香。
手紙はこれで最後になる。
兄ちゃんには、もう…力がないんだ。
天使の力が……
本当にごめん……
でも「サプライズ」があるんだ!
新しい出会いがある。
とても、特別な出会い……
「桃宮結花」という少女との出会いだ。
その出会いを大切にしなさい。
二人はきっと、とてもいい関係になれる。
晴香の幸せを願ってるよ……
兄・隼人 』
次の瞬間、その手紙は光となって消えてしまった。
床に散らばっていた羽と共に───…
その時、私は感じてしまった……
兄が…消えてしまった、と───…
「あ…あぁ…あぁぁあああ!!!」
涙が滝のように流れ落ちる。
もう…自分の感情をコントロールできない。
何も考えられない……
ただ…『悲しみ』という感情だけが、私の心を渦巻いていた。
『悲しみ』という感情が、私の心を乱してしまった。
あの優しい兄が…どんな時も、私を支えてくれた兄が……
いなくなった…?
それどころか。
消えてしまったというの……?
信じられない…信じたくない…。
私はずっと泣き続けた。
ずっと…ずっと──…
******
…───何時間たっただろう。
今までの兄の手紙も、羽も、全部消えていたことに気づき、呆然と立っていた。
───その時だった。
光が集まり、一通の手紙と、羽が現れた。
そのうち光は消え、手紙羽だけになった。
私は手紙に手を伸ばし、手紙を開いた。
そこには──
『兄ちゃんは、晴香の心の中で、生き続ける。
晴香の兄・隼人』
そう、書かれていた。兄の字で……
「お兄ちゃん……」
そしてその時、気づいた。
もう一通、手紙があることに……
それは、兄が助けてくれた時の手紙。
ある一文が、私の心に響いてきた。
『晴香は一人じゃない。』
その一言に───…




