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騎士団長と拾われ姫の攻防  作者: 朝野とき
あらすじ2・登場人物(第5章まで)
73/104

第5章までのあらすじ・登場人物

前回の更新より期間が長くあいておりますので、章の区切りが良いところで「あらすじと登場人物」をまとめました。活用していただけると幸いです。

【第5章までの主な登場人物と用語】

※「5章までのあらすじ」は、下スクロール後にあります。

※第5章までの内容についてのネタバレを含みます。



〈主な登場人物〉

● ミカ(美香)

 異世界のフレア王国にトリップしてしまった女子大学生。19歳。姿勢が綺麗。黒目黒髪。

 心に辛さを抱えていても、微笑みでかわして隠してしまうところがある。父を小学生の時に亡くし、母と二人暮らしだった。

 異世界のフレア国に吸い込まれるように落ちてきて、以後アランの館に監視の上の軟禁状態に。しかし近衛騎士団長アラン・ソーネットとの婚約が決まり、アランからも想いを告げられ、じょじょにアランの気持ちを信じ、その立場も受け入れつつある。

 アランに多くを失わせたくないため、国やディールのやり方に従う覚悟をしている。



● アラン・ソーネット

 近衛騎士団長。およそ29歳。金髪碧眼で整った顔立ち。亡き母との約束で、老人と婦女子には特に優しく接する。騎士の鍛錬に関して超真面目で「堅物アラン」のあだ名付き。両親は共に他界。

 父から双剣をもらい、常に身に着けている(衣服の内側)。近衛騎士団長としての長剣も外出時は常に帯剣している。

 ソーネット家の別宅に住み、美香が異世界より到来してから監視を兼ねて住まわせている。

 美香と接するうちに心惹かれていくものの、距離感がつかめないままだった。執事やマーリなどのはからいで、美香の話を聴きその心を知っていくようになる。同時に、自分が何を守ろうとしているのか、守りたいのかについて考えはじめる。

 


● セレン皇太子殿下

 フレア王国の皇太子。国内を視察にまわり、また諸外国との外交をとりもつ活動をしていることから「和平の殿下」と称される。特にアランが護衛していることが多く、アランのことを剣のライバルであり、学友ディールの弟としても大切に思い、騎士として信頼していた。

 4代前の王の時代にフレア王国が隣国ガタールとの戦いにあり、その戦禍のしこりを取り除き、戦乱のないフレア国にすることを第一の使命と考えている。



● ディール・ソーネット

 アランの兄。フレア王国で伯爵位をもつ。いずれ母の血筋より、侯爵位も賜る予定。セレン皇太子殿下とは同じ年で仲が良い。ソーネット家当主として王城近くのソーネット家本家の屋敷に住まう。

 亡き父母を敬愛しており、継いだソーネット家を存続させ繁栄させることに重きをおいている。

 


● リード・ソーネット

 アランの弟。魔術師。冷静沈着、無表情。ふだんは片目を眼帯で覆う。

 現在、フレア国随一といわれる膨大な魔力を内包している。だがその魔力の量と技術ゆえに、上級・高位の魔術師の集団である聖殿では嫉妬もまじり、「異質な存在・化け物のような存在」として捉えられている。弦楽器のヴィオリノの名手。

 キースの異世界から到来、バレシュ伯に養われていたことなどを聞き、何かに気付いたようす。



● キース

 アランの館の庭師。特に薔薇を扱う。フレア王国ではかなり珍しい黒目黒髪。年齢不詳だが、ミカから見るとアランと同年代。

 古語を話せたこともあり、キースの黒目黒髪が懐かしいこともあって、ミカはよく話しかけていた。だが、ミカが日本からフレア国に到来した直後から古語を話せたのは、キースがミカに魔力を流していたからだということが判明する。

 実はキース自身も異世界の到来者。約10年ほど前、突然フレア国に落ちてきてしまった。魔術師バレシュ伯に拾われ養われていた。バレシュ伯には恩義を感じている。



● アルトゥル・バレシュ(亡)

 バレシュ伯。すでに亡くなっている。稀代の魔術師であり、貴族であった。聖なる島(フレア国のかつての聖域)の魔術的守護にもあたっていたこともある。妻と幼い息子を亡くし失意の中、年を重ねるうちに記憶がまばらになり、幻と夢と現実が混ざるようになり、王都の屋敷はたたみ国のはずれの森奥に引っ込む(魔術師や貴族たちにはめられたという噂もある)。

 約10年前、キースが自分の領地の森に落ちてきたので、幼き頃に亡くした息子が「生きて育って戻ってきた」として迎え入れ、養う。記憶が前後し、幻や夢の中のようなことを口にするが、魔術の研究はずっと続けており、キースにさまざまなことを教える。

 死に間際、自分の持つ魔力をキースに与え、キースがもし異世界からの到来者に出会うことがあればキースに流した魔力を分け与え、古語を話せるようにしてやるよう伝える。(その魔力をキースから分け与えられたのがミカ)



● マーリ

 ミカの侍女。才色兼備。ミカを諭したり、いろいろ察したりとミカより年上のようだが、実は若く十代後半。古語が話せる。

 キースが古語を巧みに話せることを知り疑問に感じていた。ミカを半ば無理やりに自分の館に連れてきたディールに対してよく思っていない。ディールの館で軟禁状態となったアランの世話に回る。

 


● グールド

 アランの館の執事。有能。アランの幼い頃から館の執事に仕え、その成長を慈しみ深く見守っている。年齢は五十代半ば。



● ユージン

 アランの旧友。現在、騎士見習い寮の指導長。体格大柄で精神的にも懐が大きい。槍を得意とする。平民出身。三十代前半。



● ロイ・アスカム

 騎士見習い寮の寮生の代表。純情、真面目。平民出身。十代後半。



◇フレア国(正式にはフレア王国)

 美香が吸い込まれるようにして来てしまった異世界の一国。

 

◇聖晶石

 魔力がたまった石。採掘するだけではただの石。磨くと光るものもあるが、魔術を使わない限り、綺麗な石でしかない。魔術師が術を施すことによって力が発揮される。


◇魔術(フレア国において)

 魔力を引き出し何らかの効果を表出させる術式。呪文を用いるもの、手指や腕の動きによる行動によって術を完成させるものなど様々ある。基本的に古き魔術師が考案し、それらを引き継いできた。時折、魔術を研究し続けることによって、新しい術式を完成させる者もいる。


◇近衛騎士団長の長剣

 希少ともいえる純度が高い聖晶石がはめ込まれた剣で、代々の近衛騎士団長が所持してきた剣。

 はめ込まれている聖晶石には、騎士団長は転移できないように(常に王族を守るように)あらかじめ高等な魔術が仕込まれている。

 

◇(アランの)双剣

 アランが子どもの頃に父親からもらった、ごくごく小型の一対の剣。右手用左手用がある。アランは騎士としては長剣を使うが、私的な訓練として双剣の練習を重ねてきている。小さいので専用のホルダーにおさめ、常に身に着けている。


◇ガタール

 フレア国の隣国。フレア現王より四代前の統治の頃、フレアの聖晶石を狙い、聖なる島を占領しようとしたとされる。国交が断絶していたが、セレン皇太子殿下の働きにより、国交が回復しつつある。


◇クオレの実

 すっぱい果実。ミカにとってはレモンを思い出す。


◇バラ

 フレア国は古語と一般共用語があり、花の名前は基本的にミカの知らない名前。しかし「バラ」だけは「バラ」。ミカがアランの館やソーネット家の本家で見ているバラは、基本的にモダンローズの形をしている。


 

 ****



【 第5章までのあらすじ】 


 日本に住む、大学に入学してまもない19歳のミカは、ある日突然すいこまれるようにして見知らぬ異世界に来てしまう。空から落下してきたミカを受け止めてくれたのは、金髪に青碧の瞳、白い騎士服に身を包んだ男性――アラン・ソーネットだった。

 アランは近衛騎士団長で、ミカは監視も含めてアランの館に借り暮らしという名の軟禁状態になる。そうして一年後、なぜかそのアランの婚約者になることを唐突に告げられる。


 ミカは元の世界(日本)に「帰りたい」という想いを断ち切ることができないでいた。

 父を幼い頃に亡くし、母と二人で暮らしていたこともあり、母への強い思慕があった。いつか帰られたら――その願いを抱えつつも、立場上、意思表示できないままに暮らしていたのだ。

 それなのに、近衛騎士団長アランとの「婚約者」の発表はフレア王国内で正式にされてしまう。さらにミカは好意を伝えてくるようになったアランの眼差しに、ミカは戸惑うこととなる。

 

 だが、最初はぎこちなく一方的に思えたアランの行動や言動も、周囲の者の計らいもあり、共に話す時間を過ごすうちに理解するようになっていく。

 気持ちが打ち解けあい、ミカも自分の名前が父が薔薇の花の美しい香りから「美香」と名付けてくれたなど、日本での大切な想い出についてアランに話せるようになっていった。

 また、騎士見習いの寮の見学などからアランの立ち場の重要性を知り、美香の視野も広がった。美香の名誉のためにと、後輩バリーと一戦を交えるアランの姿を見て、アランの想いの強さも表現の不器用さも目の当りにしたのだった


 アランの近衛騎士団長の位を示す豪華で強い長剣。 

 それは、かつて美香にとって、いつ自分を反逆者・無用な到来者として刃を向け命を奪ってくるかわからない恐怖の剣だった。

 しかし心通わせた今、アランがその剣で自分を守ろうとしてくれることを全身で感じられ、アランを信頼できると心の底から思えるように。

 そこでやっと美香は、アランへの想い、愛情、今までの不安や悲しみも含め、素直に表に出すことができたのだった。

 目の前に青い海が広がる丘の上で心を通じあわせ口づけを交わす二人。


 しかし、このように二人の心が寄り添っていくのと同じころ、美香には誰かから魔力が与えられ古語が話せているという事実が判明していた。さらに、その魔力の出所がアランの館のキースが流したものではないかとの疑いまで浮かび上がってきていた。

 

 フレア国からみれば美香は前歴不明な不審人物であることには変わりはない。

 空から落ちてきたのを、たまたま殿下やアランなど貴族たちが目の当たりにしていたから拘束がアランの館で済んだだけだった。

 フレア国からみれば美香の存在は他国からの間者である可能性、もしくは誰かの傀儡である可能性をもっている。

 それは、美香は一生疑いをもたれながら生きていかねばならないのだということ。

 ゆえに、騎士団長の婚約者(ゆくゆくは妻)という逃げも隠れもできない立場で集中監視される状況が作られているのだった。

 

 自分に魔力が流されていることを知ったミカは、今後もフレア国からの監視、指示、支配下の元で生きていかざるを得ないことを悟る。

 アランと共に生きていくということは、それらを受け入れるということだと覚悟し、国に従順に生きることを決意するミカ。

 だが、アランはそれはミカにとっての本当の幸せなのかと悩むのだった。

 

 表面的には穏やかに日々が過ぎていき、アランと美香の正式な婚約披露のための夜会の日は近づいてきていた。

 そうしたある日、アランがセレン殿下と視察に出た不在を狙い、美香とマーリはディールによって本家のソーネット家に移されてしまう。

 表向きはアランとの婚約披露のための夜会の準備という名目。

 しかし実は、美香に流れる魔力の出所を確実につきとめ、さらに美香に不審な背景が無いかを記憶をこじあげて調べ上げるためだった。

 

 この記憶開示の魔術をリードから半ば強制的に受ける美香。

 自分の記憶を他者からこじあげられ、心の内部に触れられる屈辱に美香は深く傷つく。後から知るが、この魔術は時に気が触れてしまったり死に至るほどに危険な魔術であった。

 

 このような扱いにも従順にならなければならない、今後もこういうこともあるのかもしれないという苦しみの中、独り眠りにつこうとした美香の元に――その暗い部屋に、突然現れる気配。

 怯える美香の前に姿を見せたのは、セレン殿下を退けて夜道を駆け抜けてきたアランだった。 

 アランは、セレン殿下との視察先で執事グールドからの手紙を受け取り美香の身の異変に気づき、助けに来たのだった。

 

 アランは美香に「誰も知らないところで共に生きよう」と手を差し出す。

 アランは、美香が一見幸せそうな立場を与えられながら、実は「異世界からの到来者」としてこれからも監視され、間接的に支配され、暴力的な魔術にも一方的にさらされる状況から救いたい一心だったのだ。


 しかし美香はアランの手を取らなかった。

 手を取れば、アランが今の地位も名誉も――家族も友人もすべてを失わせることになってしまうことがわかっていたから。

 異世界に唐突に来ることになって、家族もそれまでの暮らしもすべてを一気に失った美香には、自分が味わった悲しみをアランに味わってほしいとは少しも思えないのだった。

 

 美香が断った瞬間、二人を引き離すように現れるディール。

 ディールはアランを捕らえた。正式な貴族社会での婚約披露まではソーネット家の一室に謹慎させるためだった。

 

 フレア国に盾を突くな……とディールから諭されるアラン。

 そして美香は、リードの監視の元、アランのゆくゆくは妻となるため貴族の人間関係の知識を得るようにと促される。

 美香は胸を痛めつつも、アランとこの先もフレア国の中で共に生きていくために、フレア国やディールをはじめとする貴族に従順であるようふるまおうと、顔をあげて貴族の名簿に向かう。

 また、それらの勉強の中で、少しだけ美香もリードの想いや表情を知っていくのだった。

 

 しかしすぐさま状況は変化し、聖殿に捕らえられたというキースが魔力を暴発させており、リードの助けが必要だという情報が入る。

 聖殿の上位魔術師達では対応しきれないというのだ。

 キースが異世界からの到来者の可能性もあることから、ディールの指示の元、リードと共に聖殿に駆けつける美香。

 そこでは亡きバレシュ伯の膨大な魔力により荒れ狂うキースがいた。


 膨大な魔力量を誇るリードの結界の元、なんとかキースの力の爆発は収まる。

 すべてをさらけ出したかのようなキースは、自分が10年ほど前にこの世界に落ちて来たこと、そしてバレシュ伯に拾われたことを話し出す。また美香と自分はそれぞれこの世界の別のところから落ちてきたが、元の世界の国や時間は違うのではないかと指摘する。

 

 驚く美香に、さらにキースはフレア国には今までにも異世界からの到来者がいた可能性を語りだすのだった。

 そのキースの話には、フレア国の闇を孕んでいた。歴史として伝えられている聖晶石を乱獲したガタールの行い……けれど、実際にそれらを大量に消費したのは昔のフレアだった可能性が高いこと。またその代償として、空間が異世界の人間をフレア側に引きずり込むという状況が生まれたかもしれないということを……。


 美香とともにキースの話を聴き終えたリードは、キースやその背景について少し調べたいことがあるとして自分は聖殿に残ると申し出る。美香のみをディールのソーネット家の館に返すよう部下の魔術師に命じたのだった。

 

 リードからディール宛ての手紙を託された美香は、フレア国のこと、異世界からの到来についてのこと、魔力と聖晶石との関係などを心に留めながらソーネット家の屋敷に戻った。

 キースの話から美香との関係が薄いことは判明したものの、ソーネット家ではアランはまだ拘束され、美香は夜会まではアランに会わせてもらえないという。

 美香は、会えないならばせめてと、ディールに、バラ一輪をアランに渡して欲しいと頼む


 フレアにも咲く「バラ」の花々。

 なぜかフレアでもこの花を日本語の「バラ」と呼ぶ。その理由。

 キースの話では、このバラはもともと「異世界からの到来者」によってもたらされフレア国で広がったものかもしれないということ……。

 途方も無い可能性に憂いながら、美香はアランに会いたい願いをおしこめ、花に想いを託すのだった。









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