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閑話 「憧憬」下 (ロイ)

引き続き、ロイ視点です。

 

 父の手を突き放して全力で走った僕は、荷馬車から降りようと大声をあげる父の声を背中に聞いたが、すべて耳をふさいでいた。

 走って走って走って、街の中心を通る大通りに出て、振り返ると――……もちろん荷馬車は見えず、父もいなかった。


 月一回来るぐらいの街で、九歳の僕が知っている場所というのは本当に限られている。

 ズボンのポケットにこづかいの小銭が二つ入っていたので、僕はそれを握りしめながら、初めて大通りを一人で歩いた。


 たしか、喉がからからなことに気付き、露店で売っていたクオレの果汁を買ったはずだ。二つの小銭はあっというまになくなった。


 果汁を飲み切った僕は、行くあてもなく、僕は街を一人でうろうろと歩いた。

 だんだんと日は傾きはじめる。まだ明るさはあったが、涼しい風が頬をかすめるようになり、子どもの頃の僕は心細くなった。

 父の逞しい手がしきりに想いだされ、僕たちの帰りを待っているだろう母のふっくらとした手、疲れをいやしてくれる塩味のきいたスープも頭に浮かんだのをよく覚えている。

 だが同時にまだ腹が立っていたことも。


 ――……父さんは、僕の嬉しかった気持ちをしぼませた!

 ――……アラン様の剣の動き、美しかった。綺麗だった。素晴らしかった!すっごく楽しい気持ちだったのにっ!


 父の言葉を卑屈な態度だと、責めていた。

 それを僕に聞かせたことにも腹を立てていた。

 父として立派な態度でいて欲しいのに!――……そんな風に思っていた。


 だからどうしても僕の足は、素直に僕の村に帰る道にむかなかったのだ。


 そして結局大通りをぐるぐると何周もしている間にどんどん日が傾き、夕暮れの赤い空になりはじめ、空腹と歩き疲れた僕が行きついたのは、先ほどの騎士団の稽古場だった。

  

 稽古場の門はすでに閉まっていた。隙間から見える稽古場には誰もおらず静かだった。

 門の前でぴょこぴょこと覗いていたのを怪訝に思ったのか、隣の村役場の前の戸締りをしていた役人が近寄ってきて声をかけてくれた。


「おい少年、もう騎士団の稽古場は人がいないはずだぞ」

「帰ったの?」

「あぁ、なんでも剣技で有名な騎士が来ていたそうだが、それらの歓迎会で、ずいぶん前に街の南にある食堂に皆で連れだって行ってしまったぞ」

「……食堂」

「あぁ……そんな高名な騎士様のお口にあうのかどうかわからんがなぁ。この街で一番うまいといっちゃ、南の食堂だからな。寝泊まりはこちらでなさらないみたいだし、ここにいても仕方ねえぞ。早く家に帰りな」


 そういって役人は手を振って僕のもとを去って行った。

 食堂と聞いて、僕の腹はぐぅぅとなった。

 

 日はまだ落ち切ってはいない。

 ありがたいことにその晩は満ちた月がのぼり始めていたが、月明かりがあっても夜が訪れることに違いなかった。


 ――今晩、僕はどうしたらいいのか――……。

 

 九歳の僕は途方にくれていた。

 父さんはきっと荷馬車に乗ったまま、帰っただろう。

 僕一人で歩けない距離じゃなかったが、夜に歩けば獣が怖い。夜が明けるのを待ってから、明日帰ろうか――……。そんな風に迷っていた。


 腹が立って、とにかく街の通りを歩いていたときには強気の気持ちだったのに、涼しい風と夕暮れが僕の気持ちをどんどん弱らせていた。


 かといって、役場のとなりの騎士団の正面玄関の閉まった門前に座っているのも、家路を急ぐ街の人たちの目線が気になった。

 僕はすごすごと騎士団の稽古場の高い塀に沿ってあるき、稽古場の裏手の僕の背丈ほど伸びきった草の茂みに座りこんだ。


 空の暗さが増す。月の光が空に際立つようになってきた。

 僕はすべてから隠れるように茂みで膝を抱えて座っていた。


 ――……どうしよう。ここで、僕、夜をすごせるかな。

 ――……おなかすいたな。

 ――……盗人とか、こないよね?


 不安でとにかく小さく身を縮こまらせていたとき……。

 そのとき、稽古場の裏手に誰かが歩いてきた。


 僕はきゅっと茂みの中にはまりこむようにさらに身をちぢこめた。草と小枝がちくちくと肌に当たった。

 僕は草が触れるかすかな痛みを我慢しつつ、草のあいまから、広場に歩いてきた人の動向を見ていた。

 その人は高い塀に沿って歩き、稽古場の裏口の小さな木戸の鍵を開けているようだった。 

 長身なことは遠目でもわかった。


 ――……あ、もしかして。


 僕がその人物の名を思い浮かべた瞬間に、その人は、すっと稽古場へと入ってしまった。

 木戸の閉まる音が軽く響いた。けれど、内から鍵を締める音はしなかった。

 僕は、そっと茂みから這いでて、木戸の方へと静かにそろそろと歩いた。そして、鍵のかかっていない木戸の隙間から稽古場をのぞいた。


 稽古場の中央に立つ人は――……僕の思った通りだった。


 ちょうど、月の光が増して、その人の金の髪を柔らかく照らした。


 ――アラン・ソーネット様だ。


 僕は息をのみ、木戸の隙間から、稽古場の中央にたった一人で立つその人を見つめた。

 アラン様は、立ってしばらく静止した後、ふっと顔をあげた。

 その瞬間アラン様の両腕が自分の腰当たりに移動したかと思うと、キラリと月光に輝くものが空を切った。


 ――……双剣!


 アラン様は、昼間に騎士団員たちに見せた騎士の長剣とは違い、小ぶりの一対の双剣を両手に持っていた。


 そして一瞬、歩を進め、まるで舞いのように回転し、腕を振りあげ、また交差した。

 キラキラと刃が光る。

 金の髪が揺れる。

 どうやら騎士服の上衣は着ていないようで、ブラウスのようで袖が軽く風になびく。



 一人で動いているのに、まるで何かと対戦しているかのように、屈み、飛び、歩をすすめ、また後退していた。


 当時の――まだ九歳の剣技を何一つ知らない僕にすら、アラン様の動きは秩序だっていて、緩急があり「誰かと戦っている」ということを想像させる動きだった。

 それはつまり、アラン様の鍛錬には厳密な「想定」があるということだった。

 相手がどんな技を使ってくるときに、どう動くか。

 相手がどの姿勢でどう攻めてくるときに、いかに応じるか。 


 咄嗟に対応できるように、自分の身体にあらゆる状況を具体的に課して鍛錬する――……。

 一番の使い手となるということは、今いる人間の力量に合わせる練習ではいけないのだった。

 常に自分の力量を上回る相手、今だかつて出会ってない実力をもつ者といかに戦っていくか――……想定の上の稽古。

 それを、当時、19歳だったアラン様はすでに知っており、自分に課していたということになる。



 そういったことまで知らないにしろ、当時の僕はただただ、月明かりの下でたった一人で剣の稽古をするアラン様を見詰めていた。

 綺麗だった。華麗だった。――目がはなせなかった。

 

 どれくらい見ていたのか、僕は今でもよくわからない。

 アラン様の剣の舞いが止まったのは、僕が覗く裏口の木戸と反対側の正門の方から、数人の人が稽古場に入ってきたからだった。


「アラン、ここにいたのか」


 親しげに声をかける男がいた。

 きっと、あれはアラン様と共に来たという貴族の息子だったんだろう。そして一緒にいるのは、同じくアラン様と共にきた近衛騎士団の人たち。


「今日の鍛錬は時間不足だったので……」

「おまえなぁ。歓迎会を主賓が抜け出てどうする」

「ですが、食事はおいしくいただきました。酒の席での話は苦手ですし、近衛騎士としての勤めがありますから、酒を飲むわけにもいきません」

「……皇太子は離宮にいるはずだろ?」


 ――あのひと、皇太子殿下を『皇太子』のみ呼ばわりしてるっ!

 木戸の影から僕はそう思ったが、アラン様はそれを軽く流して、


「ひとまず日課にしている双剣の方は終わりましたから」


と、答えた。


「まだやるのか……」


 呆れたような男の声がしたが、「はい」というアラン様の返事を聞くと、その男は軽く溜め息をついていた。


「まぁ、ほどほどにして、ひきあげるぞ。私は先に戻っておく。馬は、入口の横につないであるからな」

「ありがとうございます」


 アラン様が礼を言うと、話していた男と控えるようにしていた騎士達が去っていった。

 今想いだしても、あの男がどの貴族の息子だったのかよくわからないが、かなり高位のものか有力貴族の息子だったのだろうと思う。


 その後、アラン様は長剣の稽古を始められた。

 それは基礎的な剣の動きで、僕があの街の騎士団や騎士見習いたちの稽古でもよく見知っていた動きだったし、今、騎士見習いとなった僕たちも最初に身体にしみこませる剣の型だった。


 その本当に基礎的な剣の型をこなし、その変形を幾つかこなし――……アラン様の稽古の時間は終わったようだった。


 すでに夜となっていて、月明かりでそれらをのぞきみていたことになる。

 僕は、アラン様の動きが止まっても、剣を鞘におさめても、目がはなせなかった。立ちっぱなしで、足がガクガクしていたのに、心は興奮していた。


 その時の僕が心を満たしていたのは、剣って凄い!ということだった。


 そして、そんな木戸の隙間からのぞく僕の方に――……

 こちらにアラン様は向いて。


「……父親はどうしました?」


 そう声を放ったのだった。

 

 僕は驚き、言葉がでなかった。

 覗き見していたことがばれていた。

 そして、アラン様に声をかけられた。

 どちらに驚いていたのか、自分でもよくわからない。


「あ……」


 とまどって、言葉をつむげない僕の方に……アラン様は歩いてきた。

 そして、木戸をぐいっと開けた。


 月明かりに金の髪が煌めいていた。

 僕が見上げていると、小さなため息をつきつつアラン様は言った。


「昼間の少年ですね。ロイ・アスカムだったかな」

「は、い」

「ずっとそこにいましたが――まさか、父とはぐれましたか?剣を見ていただけなのかと思っていました。放っていてすまなかった、不安だったでしょう」


 草だらけの僕をみてはぐれて迷ったあげくにここにいたと思ったのか、アラン様はすまなさそうに謝った。


「いえ、あの……はぐれたわけじゃ……」


 まさかあやまられるとは思わず僕が戸惑っていると、アラン様はふっと笑った。


「剣技をずっと見ていたくて、家に帰るのを忘れる子どもが、時々いるんです」

「え?」

「……子どもの頃の私もそうだった」


 僕がアラン様の言葉にびっくりしていると、アラン様は「ちょっと待っていて」と言って稽古場にもどったかと思うと、上着らしきものと少しの荷物を持って戻ってきた。


「あの……?」

「馬があるから、送りましょう」

「いえ、でも」

「私もひきあげるつもりだったから」


 アラン様は、そう言ってから、ふっと私に眼差しを落とした。


「ロイ君には、心配してくれる人がいるでしょう?」

「……」


 僕が答えずに見上げると、アラン様はふっと笑った。

 月明かりでは、その表情の細やかなところまで見えなかったけれど、柔らかな雰囲気がした。



**************


 茶色の毛の馬の背に、僕はアラン様と一緒に乗った。

 アラン様の前に座っているものの、とにかく怖い。

 でも、そういう怖さを知られるのは恥ずかしくて、とにかく僕は歯をくいしばって怖いのを我慢した。

 

 街の大通りはもうすでに静かだった。

 村の方角を聞かれて答える。アラン様とたどる道は、父の手をふりきって僕が走り抜けた道だった。


 静かにゆっくりと馬をすすめてくれる。けれど、あんなに一生懸命走った――……息が切れて長いと思った距離は、馬の足だとあっという間で。



 そして。


 背中で、ふっとあたたかな声がした。


「ほら、やはり、ロイ君には心配してくれる人がいる」


 目をこらすと。

 舗装されていない、村につづく土道の傍――……。

 父の大きな石に腰かけている姿があった。


「父さん……」


 呟くと、腰かけていた父は立ちあがって馬上の僕を見上げた。

 父を見下ろしたのは――……たぶん、それが初めてのことだった。


 逞しいはずの父が、小さくて。

 でも、やはり、月に照らされたその盛りあがった肩や腕は力強く見えて。


 安堵なのか悔しさなのか、嬉しさなのか苦しさなのか――……よくわからないけれど、とにかく僕の目に涙が浮かんできた。


 そんな僕を、アラン様は自ら降りて馬から下ろしてくれた。

 

「稽古場で、熱心に見てくれていました。心配なさったことでしょう。私がもう少し早く気付いて送ってこればよかったのですが」 


 アラン様が父にそう話してくれながら、僕の肩にそっと手を添えて父の方に押しだした。

 父はしばらく僕のことを見ていたようだった。

 僕はもう父に顔を向けられなかった。

 涙が――……ぼろぼろこぼれでていて。


「何がなんだかわかりませんが……とにかく、ここに連れてきてくださって、ありがとうございました……」


 頭上で父が礼を言っているのが聞こえた。

 

「では、私はこれで」


 アラン様が端的にそう言って、また、馬に乗ろうとする気配があった。

 僕はその時、咄嗟にアラン様の方に顔をあげた。


「あのっ!僕、僕、騎士になります!剣を使う騎士に!」

「……」


 アラン様は、すでに馬上の人となっていた。

 僕の叫びは、涙が交って、まさに涙と鼻が詰まった声だった。

 けれど、アラン様は笑うこともなく、月に照らされた髪をゆらして、すこし頷いてくれたのだった。


「……ならば、まず騎士見習いからですね」

「はい!」

「楽しみにしています」


 アラン様はすっと父の方にも礼をしてから、去っていった。

 僕がじっとアラン様が消えた道の先を見ていると、隣で父が言った。


「帰るぞ」

「うん」

「騎士になるのか」

「うん」

「……そうか」


 もう父は、アラン様のことも、平民がどうだとかも、何も言わなかった。

 ただ、しばらくして言った。


「母さんを悲しませることだけにはならねぇようにな」


 ――……。

 その夜、月に照らされた道を、僕と父は時間をかけて歩いて帰った。

 獣に出会うかとびくびくしていた僕を、父は「獣より人間の腹の中の方が怖いぞ」と言って寂しそうに笑った。

 帰りつくと、母が家の前に立っていた。

 泣きはらした後の僕の顔と、父の顔を見た母は、


「生きてて良かったよ」


と言って、塩味の効いたスープをあたためなおしてくれたのだった。


**********************




「なぁ、ロイ、ミカ様と話したんだろ!どうだった?可愛かった?」

「黒髪はよくわかったけどさぁ、黒の瞳ってのは遠くからじゃよく見えなかったんだよなぁ」

「いいよなぁ、ロイ」


 がやがやと騎士見習いの親しい友達に食堂で話しかけられる。

 すこし前にミカ様とアラン団長はこの寮を去って行った。

 当人たちがいなくなったので、今やみんな二人の話題でもちきりだった。いや、それに加えてバリーとの一戦も……だが。 


「う……ん、黒というか……」


 ――ミカ様の瞳は、黒といっても、真黒な瞳なわけじゃないんだ……。

 黒に近い茶色に、いきいきとした表情があって。

 きらきらした明るさがある。 

 

 僕は、ミカ様の顔を思い出す。

 目をそらしたりしないところが、貴族の女性らしくなくて、ちょっと気の強い街娘を思い出させて、親しみがあった。

 よく見ていると、アラン騎士団長の一挙一動に表情を緩めたり、照れたりしていて――……あぁ、素直な人なんだなぁと思った。

 それから……。


「おい、おい、ロイ?」

「え?」

「匙が止まってる」


 僕は食べかけのスープの匙を見ると、皿から少しこぼれでていた。

  

「なんだよ、やっぱりそんなに可愛かったのか?」

 

 友人の言葉に、僕の口はぽろりと言葉を落とした。


「綺麗だった――」

「え?」

「綺麗だったんだ――アラン様の剣みたいに」

「はぁっ?剣っ?」


 友人は「意味わかんねーっ」と叫んでいる。

 僕も自分の言葉の意味のわからなさに苦笑した。


 けれど。

 本当に――……。


 最初の挨拶の時、ユージン指導長が騎士見習いたちに一言かけて欲しいと願った。それに対してミカ様は意を決したように顔をあげて、僕と指導長を見た。

 すこし震えるように聞こえた声。けれど、逃げずにこちらに届けようとしてくれる言葉。

 『私は、こちらフレア王国についてまだ知らないことが多く、また騎士団についても未知なのです――……』

 あの表情。

 そして風のいたずらに舞った髪。

 

 ――……綺麗だった。


 他意がなくて、真摯でひたむきで。

 言葉どおり、私やユージンに向き合おうとしてくれる姿。

 それは――……。


 アラン団長の月明かりの稽古の誠実な鍛錬と――……よく似ていた。


 まっすぐで。

 綺麗。


「おーい、ロイ?心、どっかいっちゃったか?」

「おっ、もしかしてミカ様に惚れたか?アラン団長に惚れこんでるロイだからなぁ、女の趣味まで似るのかよ?」

「やばっ、そこまでだ」


 友人たちの小声ではやし立てる声が突然止まった。


 何事かと思って顔をあげると。

 ユージン指導長が夕食のトレーを持って僕のテーブル前に立っていた。

 僕の顔を少し眺めていたユージン指導長は、ニヤリと笑った。


「ロイ。……わきまえとけよ。殺気、浴びただろ」

「……」


 そう小さく手早く言ったユージン指導長は、そのまままた歩いて食堂奥の定番席へと移動してしまった。


「殺気って!?」


 僕の周囲はまた騒がしくなる。

 僕は笑って皆の声をかわし、スープを一口飲んだ。母さんの作るものより、甘い。


 ――指導長、僕は、わきまえてます。


 僕は、忘れていない。

 九歳の時の昼間のアラン様の剣技も。その夜に覗きみた、月夜の双剣の稽古も。

 初めて乗った馬の上の怖さも。

 そこから父が小さく見えたことも。

 でも、やっぱり逞しい父でもあったことも。

 見送ったアラン様の馬上の背中も。  


 そして、僕が、晴れてあの小さな街の騎士見習いとなり――。そこで二年間、頑張って頑張って頑張った結果。成績優秀者として、この王都の騎士見習い寮に進めて――。


『……君は、あのロイ・アスカムか?』


 六年後、騎士団長に就任したばかりのアラン騎士団長が初めてここに視察に来た時に――気付いてくれた、あの一瞬を。


 僕は、忘れはしない。



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