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Data 03. もう一つの邂逅



<新たなアチーブメントを獲得しました>


 様々な実績を獲得したな。

 こんな風に、戦闘中の行動がアチーブメントの獲得。

 そしてスキルや職業の開放に繋がっていくのか。


 俺は……幼いころから高校に上がる前までは日本古武術や武道を習っていた。

 強き心や、日々の生活を健やかにするため健全な肉体を養う事を目的として習わされたけど……。

 それがアチーブメントを埋めることに影響している面もあるのだろうか?


 一覧を眺めていると、日常生活やゲームプレイで簡単に獲得できそうなものから……。

 取得内容が謎に包まれた未開放のものまでさまざまだ。


<チュートリアルを終えて新たなスキルを獲得しました! 確認してみましょう!>


 初のスキル獲得!

 見てみると……これはおそらく冒険者の基礎スキルだろう。

 自分で行動を行う、アクティブスキルの速度強化や防御力アップ。

 バフが中心のアクティブスキルだな。

 その他にも投擲能力アップ。

 使用法は……。


<スキルを使うには指定したものを強く念じましょう。 プレイするうちに体が覚えていきます>


 なるほどね。

 きっと、状況によって反射的に発動させたり、意図的に駆使したりと。

 そこら辺はプレイヤーの腕次第ってところだろうか。

 スキルによっては発動が難しいものや、条件付きのものまでありそうだな。



――――――


Data 03. もう一つの邂逅


――――――



「ガウウ……」


「!?」


 も、モルモットの魔物……?

 いつの間にか周囲には凶暴な面をしたモルモットの軍勢が唸りを上げ、俺を取り囲んでいた。


 一瞬、数に物怖じしてしまったが……これなら、いけそうだ。


「きゃうん」


 早速スキルを駆使して敵を倒していく。

 なんか少しかわいそうだけど……怒髪天を噴火させた猛犬の様に飛び掛かってくるもんだから、仕方がない。

 死しては大地へ融けるように消えていくが、消える直前の血や死体が……こうなんていうか、エグい。


 動きが、止まった……?

 モルモットたちは一目散に逃げていく。


「狼の群れ……?」


 まずいな、三頭ほどの狼の魔物に囲まれた。

 興味本位で立ち往生していたが……逃げたほうが良かったか?

 完全に俺へと牙を向けている、やり過ごすことはできなさそうだ。


 まぁ、これもゲームの醍醐味か。


「やってみるか」


 狩りをするように慎重に俺へ距離を詰めてくる。

 剣を警戒しているな。


 俺は即座に石を拾い投げた。

 剣を警戒させてからの石投げ、それに投擲能力アップが効いている。

 石はヒットし、俺は狼に向かい駆け出す。


 きた……!

 仲間への攻撃を食い止めるように他の狼が多角的に俺へと飛び掛かってくる。


 スキルを……念じる。

 それだけじゃない、体の動きを、敵を薙ぐ動作をイメージしろ……!


 自分へと言い聞かせ、俺はモルモットを倒した時に得ていた新たなスキルを念じた。

 敵に囲まれ、それに対処するために解放された範囲攻撃スキル。


「うりゃぁ!!!」


 回転切り……!

 目の前のヤツには避けられたが、二体に当たった!


 これはかなりのダメージのはずだ。

 

「……ってうわっ!」


 まずい、慣れない回転切りでバランスを崩したところでその斬撃を避けた狼が俺へと飛び掛かってきた。

 なんとか剣で防いだが……やばいな……馬乗りになられて、剣を牙で咥えられて……!


 そして、回転切りの餌食となった一体の狼は横たわっているが……もう一体は立ち上がった。

 これは死んだか? 死んだらゲームオーバーになるのだろうか?


「流石に、厳しいか……?」


 なむさん。

 

「ちょっと! 諦めたらもったいないよっ!」


 増援!?

 他のプレイヤーがいたのか!


 これは魔法……?

 光る球が俺の上に跨る狼へ直撃した。

 怯んだ狼は避けることもできずに、続けて二発目も入った。


 ……まだだ。

 俺は手の平で地を押し返してすぐに起き上がった。


 立ち上がって俺を狙っていたもう一頭の狼は、方向転換して魔法使いのプレイヤーに突進していく。

 俺の足じゃぁ、これじゃ間に合わない……!


<投擲スキルレベルアップを実行します><投擲スキルレベルアップを実行します><投擲スキルレベルアップを実行します>


「きゃっ!」


 イチかバチか……!

 くらえ!

 

 俺は剣を投げた。


「当たった……!」


 生きてる……。

 なんとか、生き残ったみたいだ。


 切れていた息を整えながらも、俺は尻もちをつく魔法使いの女の子へと手を差し出した。


「ありがとう、助かった」


「わ、私こそ……! ありがと!」


 彼女は桃色の髪を揺らしながら、爽やかな表情で俺の手を取った。


 なんだか、仲間と共に試練を乗り越えたような。

 そんな達成感があるな……。


 手を引き上げて立ち上がらせそのまま握手を交わした後、彼女はウインドウを操作し始めた。


「ちょっとまって、連絡しないと……よし」


「俺は……」


「とりあえず、ここは危ないから離れよ!」


「あ、あぁ。 分かった」


 そして、二人で始まりの森から脱出して草原にできた道を歩いていた。


「私はMariaマリア。 よろしくね!」


「俺はIrukaイルカ。 よろしくMariaさん」


「Mariaでいいよ~」 


「じゃ、こっちもIrukaでいいよ」


 やはり彼女は魔法使いらしい。

 黒いローブに杖を持っている定番の姿だ。


「狼の異変を調べるっていうミッションをやってたんだよね。 まさか三頭もでてくるなんて……」


 そして、彼女はミッションをこなすために始まりの森にいたそうだ。

 そこでたまたま俺と遭遇し、助けに入ってくれたとのこと。

 あの森を脱出した今は、始まりの街Christownクリスタウンへ向かっている途中だ。


「クリスタウンってさ、どんなところなの?」


「……え?」


 ……?


「最初に辿り着く始まりの街だよ! ゲームにログインしてプレイヤー達の拠点の後につくさ……」


「なにそれ……? 初耳だ」


 ……俺がログインするとき。

 何かしらのエラーが起こっていた。

 あれのせいで開始地点がズレてしまったのか?


 それのせいで起こった変なバグかなんかかもしれないと、俺は彼女へ説明した。


「ふ~ん、変なの。 まぁテスト期間だし、そういうのもあんだね~!」


「それのせいであんな目にあったけど、君のおかげでやっとスタート地点に立てそうだよ」


「へ? スタート地点?」


「うん」


 ……な、なんだ。

 さっきから、目を丸くして。

 驚くことは何もないだろう。


「君、最初期テスターじゃないの!?」


「今日初めてログインした新米プレイヤーだよ」


 このテストはフェーズが分けて行われている。

 俺は最期にヘッドギアが発送されてからログインしているから、後期テスターとでも言うべきか。


「噓でしょ……それってめちゃすごいじゃん! スライムも普通はあんなスムーズに倒せないし、狼三体に囲まれたらホントはすぐ死んじゃうんだから!」


「なんか照れるなぁ」


 スライムを倒すのにはいまだに苦戦するプレイヤーが多いらしい。

 狼に関しても本来ならば、一頭を複数人で対処するのが現在のプレイヤーの基準なんだそうだ。


「そだ! フレンド登録しよーよ! 君と組めば楽しそーだし!」

 

 テンション高いな。

 まるで俺に縁のない人種を相手にしているみたいだ。


「んじゃ、これからよろしくね!」


「あぁ、よろしく」



――――――



(噂は……ただの噂だよね……!)



――――――



<観察対象Mariaが被検体に接触しました>


<Mariaから依頼の放棄が連絡されました>


<引き続き対象への観測を続けます>



――――――




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