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Data 11. 新パーティ結成



Data 11. 新パーティ結成



<Higurashiからメッセージが届きました>


 視界の片隅でウインドウが開きメッセージの着信を告げた。

 不気味の男との邂逅の次の日に、未制圧だったゴブリンの拠点を共に攻略した少年だ。



――――――


 Higurashiヒグラシです。

 βテストではお世話になりました。

 そして、先日はフレンド登録してくれて嬉しかったです。

 ありがとう。


 本題ですが、サービス開始記念のイベントが告知されましたね。

 お邪魔でなければ共にパーティーを組みませんか?


 僕の友人であるAkiも一緒です。

 ぜひ、ご検討のほどをよろしくお願いします。


 P.S.

 お世話になっております。 Akiアキでございます。

 Mariaさんとは出会えましたでしょうか? 彼女にもよろしくお願いします。

 Iruka様とパーティーを組めること、心から楽しみにしておりますわ。


――――――



 それにしても、相変わらず礼儀正しい二人だ。

 AkiアキさんはHigurashiヒグラシさんとリアルで幼馴染だと言っていた。

 連携も取りやすいだろうし、以前の二人は粗削りだったが運動神経は良さそうな動きをしていた。

 ゲームそのものに不慣れな印象も受けたが、磨けば光る逸材だ。

 上手くいけば魔物討伐も効率が良くなるだろう。


 そして何より大事だが、二人とも人柄が良い。


 Mariaへ話を通して、二人と会う事に。

 俺はHigurashiくんへ返事をして、Mariaと共にChrisクリス townタウンへと足を運んだ。


 英雄の銅像が建てられた噴水広場へ到着。

 そこには濡れ羽色の美しいストレートヘアをなびかせ、少しばかり品が漂う冒険者衣装を身に纏う少女と。

 爽やかな風貌にメガネをかけた大人しそうな少年が待っていた。


 向こうも俺たちに気づいたようだ。

 MariaとAkiは互いに両の手の平を繋ぎ合わせ、再会を喜んでいる。


Akiアキちゃーん! 会いたかったよ~!」


「Mariaさん! また会えて嬉しいです!」


 久々に顔を合わせた俺たちはカフェへと移動した。

 休憩がてらこれまでの互いの経緯を話し終え、Akiアキさんが感嘆の声を上げる。


「すごいです、お二方はもうそこまで進んだのですね!」


「俺たちは実は、オールしたんだよ」


「おーるとは……なんでしょうか?」


 淑やかな雰囲気で頬へ手を当てて、Akiアキさんは頭に?マークを浮かべていた。

 Mariaはそれに対して好機とばかりに口を開く。


「友達同士で夜が明けるまで遊ぶことだよ! Akiアキちゃんも今度一緒にやろーよ!」


「それは……! とっても楽しそうですわ!」


 Akiさんは、両手の平を重ね嬉しそうに瞳の奥を輝かせていた。


「Akiさんて、上品でお淑やかなんだね」


「そ、そんな……いけませんわ、まだ陽が出ていますのに……」


「え……?」


 な、なぜ頬を赤らめているんだろうか。


「ちょっと、Iruka。 いきなり口説かないでよ!」


 Mariaに背中をはたかれ、俺は一言謝罪し空気を誤魔化すために皆へ茶を見せてそれをすすった。


「ごめんな茶い、なんちゃって」


「まぁ……!」


「……」


「……」


 ……なんだこの空気、誰か責任とれよ。


 ひ、Higurashiヒグラシさんは、前もそうだったがあまり喋らないな。

 彼は物静かで人の話を聞くのが好きなのかもしれないな。

 俺も自分からあまり喋る方ではないから、気持ちは分かるつもりだ。


 Mariaはそんな彼を見かねたのか、会話にいれようと矛先を彼へと向けた。


「そうだ! Higurashiヒグラシさんのこと、ヒーくんて呼んでもいいかな?」


「え? は、はい! 僕はなんでも、大丈夫です……」


 Akiさんも氣にいったようだ。


「良いですね! ヒーくん! ワタクシもこれからはそのように呼びましょう」


 確かにHigurashiさんだと堅苦しい感じがするな。

 俺もそう呼ぶか。


「よろしく、ヒーくん。 俺はIrukaイルカでいいよ」


「……! は、はい! よろしくお願いします!」


 契約を始めて取った営業社員のあいさつのようだ。

 そんな彼の初々しいすがたに、俺たちは微笑みあった。


「ところでヒーくん。 Irukaさまへ聞きたいことがあるのではなくて?」


「そ、そうだった……!」


 何かを思い出したようにヒーくんは画面共有して皆へあの動画を見せる。


「これ……」


 プレイヤーの拠点であるサルバトーレの街頭モニターで流されていた動画。

 顔は見えないが、俺がゴブリンから幼い兄妹を守っていた動画だ。


「これって……Irukaくん、ですよね?」


「なんでわかったんだ……?」


「え……? あ、すみません……!」


 ……。


「Iruka、目怖いよ。 ごめんね! ヒーくん!」


「あぁ、ごめんごめん。 ちょっと色々あって……確かにこれは俺だよ」


 一瞬警戒し、この二人はあの不気味な男と繋がっているのか? と。

 そんな思いが脳裏に浮かんだんだ。


 だが、この二人に限ってそれはない……だろう。


「ワタクシからも謝罪します。 動画は消されていましたもの。 事情があるなら何か協力できないかと思いまして……」


「俺もちょっと神経質だったよ。 ありがとう、二人とも」


 ヒーくんは動きを見てこれがすぐに俺だと分かったみたいだ。

 共にゴブリンの拠点を制圧した時に見られているからな。

 しかし、あの1回きりでそれを見抜くとは見事な観察眼だ。


「やっぱり、すごいですよ。 あの動き……Irukaくんさえ良ければ、僕たちにVRMMOの動きを教えて欲しいとも思ったんです」


「ごめーん、私は休憩したら眠くなってきちゃった」


「悪いけど、俺も……少しはしゃぎすぎた」


 ゲームを十何時間も続け集中力や精神力を使えば、疲労は蓄積されるみたいだ。

 キチンとログアウトして本休憩、本睡眠を入れた方が良いな。


「二人はどうする?」


「では僕たちは、クリスシステムの開放を目指します」


「お二方に追いついて、必ず役立って見せます!」


 ……二人へと謝罪し、次に必ず共にプレイしようと約束をして俺はこの夢の世界からログアウトした。



――――――



弓照ユミテルさま。 全プレイヤーへの告知を終えました」


「あぁ、ご苦労」


 人類を繋ぐ集合的無意識。

 その深層意識の元に存在する場所と世界を繋ぎ、フルダイブシステムを確立させた風雲児【武内タケウチ 弓照ユミテル】。

 開発とテストを急ピッチで進め、来るべき日に備え一準備終えたことに仄かな息を吐いた。


(今日からが、本当の勝負だ……)


(この物語は、我々が存続するための……聖戦だ)



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