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最終話 生還と虚無


 それから、どれだけの時間が経ったかは知りません。


 気づいたら私は、再びコロシアムへとワープさせられました。


「それでは、1回戦第8試合だぷる。よむふみけらたら君vs浅井走ちゃんのバトルだぷる。お互いの世界を賭けてよーいドンだぷる。」


 私は、全てがどうでもよくなっていました。

 両親が居ない世界ななんで帰りたいと思いませんし、どうなってもいいのです。


 ここで、死んで相手の世界が助かったほうがいいのでしょう。


「"あはらかたばかなは"」


 目の前の相手が謎の言葉を放つと私の左足が撃ち抜かれました。


「がぁぁぁぐぁぁぇぇ。」


 痛みには慣れたつもりですが、正気な身体に対しての欠損はかなりの痛みが伴います。


「だ、ず、げ、」


 千切れた左足を見て、思わず助けを呼びます。


「"あはらかたばかなは"」


「ぐぇぇぇぁぁあだだぁ」


 次は、右腕が吹っ飛びました。

 どうやら、相手は簡単には殺してはくれないようです。


「クソぉぉぉ、"マイナスワン"!!!」


 相手には、命中しましたが、ピクリともしません。


「"マイナステン"!"マイナスワン・サウザンド"!」


 それでも相手にはダメージが入りません。

 そして、ふと考えます。

 今の一瞬で1011人もの命が失われたことを。


 しかし、私が死んだら82億人もの命が失われるのです。

 そんな事、考えるだけ無駄です。


 先ほどまで死のうとしていたくせに、私は開き直ります。


「"マイナスワン・ミリオン"!!"マイナスワン・ミリオン"!!"マイナスワン・ミリオン"」


 それでもまだ、相手はビクリともしません。


「"あはらかたばかなは"!!」


「ぐえぇぇぇ!!!!」


 そして、右足までも吹き飛びました。


「"マイナスワン・ビリオン"!!」


 そう叫ぶと相手の身体が蒸発し、目の前から消え去りました。


「勝者は、浅井走ちゃんだぷる。」


 私は控室へと再びワープさせられます。

 すると、千切れた手足は、もとに戻りはしませんでしたが、血は止まりました。


 それからは、2回戦、3回戦、そして4回戦と何とか勝ち残ることができました。


 しかし、それまでどれだけの人の命を使ったのはわかりません。


 そう、わかりたくもないのです。


 遂に、決勝戦の時間が来ました。


 両足、右手、左目、右耳……


 これが今の私にないものです。

 それでも戦います。

 今の私にまともな考えなどできません。


 ただ、戦う。

 誰のためでもない。

 ましてや自分のためでもなく……


 いや、死ぬ前に元の世界に戻りたいという気持ちはあったのかもしれません。



「それでは、決勝戦だぷる。浅井走ちゃんvsたたたたたた君。最後のバトル、よーいスタートだぷ…」


「"マイナスワン・ビリオン"!」


 プルルが合図をしたと同時に私は、唯一残っている左手で攻撃をします。

 ビリオン……

 つまりは、10億人の命を消費した攻撃。


 相手は無ずすべなく蒸発しました。


「優勝は、浅井走ちゃんだぷる。」


「これによって君の世界と住人が守られたぷる。さぁ、君の世界に戻してあげるぷるよ!!」


 心も身体も完全に擦り切れた私ですが何とか元の世界に帰ることができたのです。



 元の世界に戻ると、私の両足と右手、左目と右耳はもとに戻っています。


 そして、戻った足で周りを歩いてみました……


 残念ながらそこにあるのは死体だけでした。


 恋人と抱き合いながら死んでいる者、親子ででお繋ぎながら死んでいる者、絶望の表情を浮かべ死んでいる者。


 この全ては、私が殺したのです。


 それでも私のおかげで生き残った人いると信じていました。

 信じないととても正気では居られません。


 ある程度、探し終えた後、プルルが現れました。


「無駄なことはしないほうがいいぷるよ。せっかく生き残ったのに……」


 なんと、うざったらしい顔でしょうか。


「うるさい!!!」


「残念だけど、この地球上に生きているのは君だけだぷる。ちょうど最後の攻撃でみんな死んじゃったぷるよ。」


「…………」


 そんな予感はしていました。

 しかし、信じたくはなかったのです。

 ならば、私は何のためにあれだけ犯され、殺され、殺し、穢れきったのでしょうか?


「さぁ、この世界を楽しむぷ……」


「聞かせて…」


 私はプルルの言葉を遮り話かけます。


「私は、なんであのゲームに選ばれたの?」


「適当だぷる。」


「なんで、あんなゲームと世界を賭けた戦いなんて始めたの?」


「楽しそうだったからだぷる。」


「お前は何なの?」 


「ぼくは、プルルだぷる。」


「そう。」


 プルルへの質問を終え、私はプルルに指を向けます。


「残念ながらもう使える命はないぷるよ。ぼくを殺したいのは分かるぷるけど、ほんと残念ぷるね。」


「まだ、1つだけこの世界に命があるでしょう?」


「何を言ってるぷる?」


「"マイナスワン"」


「ぐぇぇえ、やめるだぷるぶる。ぷるぅぅぅ。」


 前までの可愛い声では無く汚い悲鳴。

 そんな断末魔をあげ、プルルは蒸発して死にました。


「おぇぇぇ……」


 私の口から血が吹き出できます。

 そうです。

 最後に消費した命は、私の命です。


 それでも後悔はありません。

 私は清々しい気持ちで息絶えました。




 世界は今日も平和です。

 綺麗な青空、清々しい空気。

 そして、夢と希望の生活。


 私は、元気いっぱいにドアを開けて今日も学校へと向かうのでした。


「いってきます!!!」


 軽快なステップで家から飛び出し、横から来たトラックに轢かれて無事にお空へと旅立ちました。


 めでたし、めでたし……


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