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第一話 異世界転移

「毒の能力かあ」

 異世界転生した私、荒巻詩織は毒の能力を手に入れた。

 元々私は現実世界に飽きて毒を飲んで死んだ女子高生だ。

 前世では軽い毒を作って、陰キャに飲ませてたからこうなったのかもしれない。

 まあ、それはいいや。


 そし王様から「実は今、とある組織が暗躍しており、千年前に封印されし破壊神、ヤキラグマーダを復活させようとしているらしいのです。それでその復活を阻止してもらいたいわけなのです」と言われている。この異世界初めてのミッションだ。

 でもさあ、


「毒って敵側の能力じゃない? 私はバーと、炎の魔法とかで倒したいんだけどさー、ねー神様、ほかの能力とかないの?」


 そう聞いても答える声などない。


「仕方ないね。この能力で組織を倒しに行くしかないわ」


 それに私には不死身の能力もあるのだ。

 そして組織に向かっていく。その中で、最初に入り口を守る、守備兵と思われる人がいた。


「あ、そうだ。毒ってそういうこと?」


 早速毒を使ってみよっか。


「ここへ何の用だ。このヴァルトリオへ」


 ここそんな名前だったんだ。まあ、いいや。


「ダストシュート!!」


 私は早速毒を飛ばす。

「うわあ、目がああ」


 目に当たったみたいで痛そうにする。あーあ、かわいそうに。

 その見張りのおじさんは毒で総じて苦しんでいる。この姿、ハマりそうだ。

 まったくいい苦しみ方をしてくれるね。


 さてと進もう。そうして、進んだ後、いろいろな人を毒で苦しめながら進むこと暫く。

 スキンヘッドの左頬に傷を負っている男がやって来た。


「はあ、貴方がボスですか?」


「ボス? まあとりあえずこの組織の長をやっている者だ」

「名前は?」

「言う必要はない。お前はどうせ死ぬからな」


 厨二病みたい。さっさと毒で終わらそう。


「行きます!」


 毒の刃を空に複数生み出す。


「はあ! ベノムスラッシュ!」


 毒の刃をぶつけにいく。


「ふん! その程度か!? 部下は倒せてもそんなちんけな刃じゃあ私は倒せんぞ!!」


 そう言って奴は剣で毒の刃を弾いた。っち、当たらなかったみたい。さっさと倒したいのに。


「今度はこちらからだ!! はあ!」


 剣を持ちこちらに向かってきた。面倒くさいなー。さっさと死んで欲しいんだけど……


「えい! ポイズンソード」


 毒でつくられた剣を手に持つ。


「えい!」


 上から飛び掛かる。スキンヘッドは見事に私の剣を防いだが、


「油断したらだめだよ。ポイズンショット!」


 その攻撃がスキンヘッドに当たり、彼は軽く顔をしかめる。


「くそ。っだがこの程度の攻撃で」

「当たった時点で負けだよ」

「何?」


 スキンヘッドの体は段々と毒で浸食されていく。これからの断末魔が楽しみだ。


「うわあああ、なんだこれは」


 スキンヘッドの体がどんどんと溶かされていく。


「やめろ、痛い痛い痛い」

「ふふふ、これが私の力よ!!」


 あんなにイキってたのに小物みたいになってておもろ。


「ぐああああ! こうなったら不完全だが、仕方がない。我が身を生贄に、出でよ破壊神」


 あれ、体が消えた。


「うがあああああああああ!」


 なんか三つの首を持った化け物が現れた。自分の体を生贄にしたのか……覚悟決まってるなあ。

 だけど、不思議なことに化け物の体はどんどんと溶けていく。


「まさか、毒で侵された体を生贄にしたから……」


 化け物はどんどんと体が溶けていき、そしてその場に倒れた。


「嘘、毒チョー強いじゃん」


 まさかここまで強いとは思っていなかった。


「この力さえあれば、私がこの世界を取ることができる。これからが楽しみ!」


 そんな時、私の体が焼けるように痛くなってきた。


「ねえ、これ何?」


 体が痛い。焼けるように痛い。ねえ、これ何なの?

 痛みは治まる様子などを見せない。

 ああ、なんで、こんなに痛いの?

 ふざけないで。こんな痛いのに死ねない。

 だめだ、体が回復して、また痛みに襲われる。ああ、いやだ。痛いのなんて嫌だ。




 死にたくない、死にたい、死にたくない、死にたい。そんな思考が巡ること五〇年。私はまだ死ねないで毒に苦しめられている。そんな中、私は毒に適応した。 


「痛いけど、たてる。痛いけど、動ける」


 なら、毒を収める力を手に入れないと、毒で鬱憤を晴らす方法を探さなければ。

 私は近くのアリゲルト王国に向かっていった。

 アリゲルド王国にはたくさんの平和そうな人たちがいた。   

 ああ、うらやましい。なんでそんな元気なんだよ。

 私はこんなに苦しいのに。

 そう思うと、イライラする。

 全員死んでしまえ。

 町に大量の毒を流し込む。この毒マスター、詩織様の攻撃を喰らってよ!


「ポイズンウェーブ!」 


 一応技名を叫ぶ。そして町の人たちは毒に巻き込まれ、段々と体が紫色になって死に至る。

 阿鼻叫喚の声が聞けて私は嬉しいよ。


「あはははは、このままみんな死になさい!!」


 街下の人々の叫び声は気持ちがいいなあ。こんなに苦しんだ私にとって、仲間がいるっていうのは良いよお。


 だが、そこで体に違和感を感じる。体が痛い。体が痛い。なんで痛みが増していくんだ?

 だめだ、どんどんと痛みに耐えきれなくなってくる。

 痛い痛い痛い痛い痛い。ああ、痛い。

 どんどんと強まる痛みに体が対抗できない。


「あはははははは、なんで?」


 最近は慣れてきたというのに、こんなの想定外だ。

 ふざけるなよ。畜生ども。

 そして、この痛みの法則性が分かってきた。この毒でみんな死んでいくたびに、私の毒がどんどんと強まっていくんだ。


 じゃあ、これは私が苦しむために自分で自分を追い詰めていたの?

 馬鹿みたい。本当にばかみたい。

 こんなにばからしいことはない。なんでなんでなんでなんでこんな不条理なの?

 ああ、痛い。ああ、痛い。


 とりあえず、「毒よ消え去れ」

 毒を消し去ると、痛みが少しだけましになった。


「あはははははははははは。痛みに耐えながら、人も殺さずにこの痛みに耐え抜けってことね? 本当にばからしい。神様がいるなら殺してやりたい。ねえ、神様。出ておいで? 私が殺してあげるからさあ!」


 そう言ってもその声は空にかき消される。


「ふふふ」


 本当に、この苦しみから脱する方法はないらしい。


 ああ、もう、じゃあ、とことんやってやろうじゃないの。


「私が人を殺したらダメだって? じゃあ、人を殺してやる。あいにく私は反抗期だからね」


 そして、再び毒水を町に流し込む。それも先程よりも大量に。

 どうやら人を殺したら殺すほど、私の毒も強まって、私の放つ毒も強まるらしい。


「ポイズンポンプ!!」


 毒水をポンプのように大量に町に贈る。


「いた」


 ああ、人が死んだ。


「痛い痛い痛い痛い。ふふふふふふふふ」


 あははははははは、この痛みの分だけ人が死んだってことだよねえ?

 いいじゃないの。毒を味わえ愚民ども。私も苦しむからさあ。

 いいよ良いよ。毒で苦しんでよ、君たちはこのまま毒で悶え死んで、私の悦びに変わりなさい。

 そして、何時間が経っただろうか。町の住民は全員駆逐したようだ。


「まだ足りないわ。この痛み。まだまだ殺せる人がいる」


 私はドМじゃない。でも、私は運命をぶち破らないといけない。

 私は神の思惑をぶち壊さないといけない。


「神様見てなさい……私はあなたの思惑を無視して、この世の全員を殺してやるわよ」


 そう、高らかに宣言して「あははははははははは」盛大に笑った。

 そして、そのあとは毒の苦しみで暫く立てなかったけど。


 その頃、町に毒の魔王、ポイズンデビルキングが現れたという情報がまちまちを巡った。

 その毒でいちいち足らずであの商業王国アリゲルド王国が滅んだという物だ。

 それも、異世界転移者によって。


 民を救うために、存在するはずの異世界人が民を苦しめる。

 国々が会議の場に集まった。


「皆のもの」


 アース帝国の皇帝ラドル・B・アースだ。


「今日は集まってくれてありがとう。私は今、新たに表れた魔王詩織に対して危機感を持っている。あやつはただの殺戮者だ。いつかすべての国を滅ぼしに来るだろう。だから今総力を結集させて殺すしかないのだ。皆の者数百年前の太古の魔王の時みたいに力を貸してはくれぬか?」


 その言葉にそれぞれの国が沸いた。


 そして話は戦果関係の話だ。勿論彼らはズル賢い国の為政者だ。詩織を倒すことを目的としながらも、互いを出し抜こうと画策している。


 その結果発案者のアース帝国が全体の軍備の五割を占めることとなった。

 あとは詩織が来るのを待つのみだ。


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