第四章 ステータス覗き見メガネ
「俺の祖父。あれが正真正銘、畑掘上吉だ」
「え?」
「だから俺の祖父の名前が上吉だ!」
「マジで?」
「まじで」
まじか……。
初めから聞いていればよかった……。そんなことを僕が思っていることも知らずに比奈斗が話しかけてきた。
「それで?あの上吉がどうした?」
「渡すものがあるの!」
「あぁ――っ!そんなこと言ってたな!」
「記憶力ゴミ過ぎないか!?」
「まぁまぁそんなこと言わずに、とりま家に来な!」
「ならそうするよ」
*
比奈斗の家に着いた。家に入ると老人が夕飯の準備をしていた。
「ただいま!じいちゃん!」
「帰って来たんか、比奈斗」
「見ろよ!照馬がこれ買ってくれたんだぜ!」
「マジで買ったの!?……それでおぬしが照馬か」
「こんにちは!今日比奈斗と知り合った草野 照馬です!今日は上吉さんにおじいちゃん。茂蔵じいちゃんから頼まれた手紙を渡しに来ました」
「どれどれ?」
「これですよ」
僕が上吉さんに手紙を渡す。上吉さんは手紙を見始めた。
「最近老眼のせいかよう見えんのじゃ」
「そうなんだ……」
「やっぱじいちゃん。そんな眼鏡よりもアズキルーペ買えよ!」
「この愛用メガネのほうがよい!」
「そうか……」
「それより手紙だよ!」
「ほうじゃほうじゃ。どれどれ……」
――少しの間、上吉さんはおじいちゃんの手紙を読んだ。そして比奈斗に吐き捨てるように言った。
「比奈斗」
「なに?」
前、おじいちゃんが言ってたから大体どう言うか察した。
「照馬と魔王をしごきに行け」
「なんでだ?」
「ワシの友、茂蔵曰く照馬はポテチがずっと食えなくなると禁断症状に近いものを起こすらしいからのぉ」
「もはや依存症じゃないか!?」
「ということでしごきに行ってほしんじゃ」
「……まぁいいぞ!」
「すんなり引き受けやがったコイツ!?」
「そんなことより僕の部屋に来いよ。例のやつ見せてやる!」
「まぁいいけど……先に上吉さんに聞きたいことがあるから先に行ってて!」
「わかった。だけど……早く来いよ!」
比奈斗が二階に上がったことを確かめると上吉さんに聞いた。
「上吉さん。比奈斗について聞きたいことがあるんですけど……」
「あれじゃろ?比奈斗の知能が急激に下がるやつじゃろ?」
「はい。あれって結局何なんですか?」
「比奈斗が強いショックを感じたときに起こる現象じゃよ。ちなみにIQが200ほどから75ほどに下ごうとるらしい」
「いやなんで!?」
「昔何があった知らんがなんかそうなっておる」
「吞気だなぁ」
「あと一つ。比奈斗は知能が低下した時のことは覚えておらん。治す方法はただ一つ……」
「それは……一体……?」
「しばく」
「へ?」
*
僕が二階にある比奈斗の部屋に行く時にときあるものが目に止まった。
「あれ?これってわーぷくん?」
「ほうじゃ」
「そういえばわーぷくんは大体の街にあるって言ってた!これでいつでも家に帰れるぞー」
「いや帰ってどうすんじゃよ……」
比奈斗の部屋に着くと沢山の機械か転がっていた。段ボールには“4,600馬力エンジン”とか“遠隔操作型爆発装置”とか、物騒なもん作ってんなぁ。
「見ろ!俺の開発品。『ステータス覗き見メガネ』だ!」
「なんだよその犯罪感ある名前……」
「とりあえずかけてみろよ!」
「どれどれ……」
メガネを試しにかけてみた。
度が合ってないとかはないな……
僕は比奈斗を見る。するとステータスが浮かび上がってきた。
Lv.8
HP 100
MP 357
攻撃力 1
防御力 4
素早さ 94
魔力 288
才能 土魔法(大) 雷魔法(中)
特技 わーぷ、ロック、イナ
おー!見えた……ってえぇぇぇぇぇ!?
「お前レベル8のくせに攻撃力と防御力一桁だぞ!?」
「それがどうした?」
「どうした?じゃねーよ!そんなんじゃスライム一匹に殺されるわ!?なんでそうなったんだよ!?」
「昔、友達から結構殴られてたからじゃねぇのか?」
「その成長ルート、どうなってんだよ……僕の人生、目茶苦茶甘かったわ」
そんなことを話していると、上吉さんの声が聞こえた。
「ご飯できたけぇ照馬くん今夜は泊まっていきんさい!」
僕達は一階のリビングへ行った。
「この世界、ほんとに魔王いるのか?呑気に夕食用意してくれているけど……」
*
いつも間にか夜になっていた。僕はベットに着いた。
寝ようとするがいつもと違うベットで全然寝れない。そして僕は思った。
「帰って寝よう!」
うん帰った。もちろんわーぷで。
*
――翌朝。比奈斗の家に行くと比奈斗がやってきた。
「どこへ行ってたんだよ!」
「ベットで寝ずらいから帰った」
「何も言わずに帰るなよ!?あと理由しょうもねーそんなんじゃ旅にもいけねーよ!?」
「安心して!いつでも帰れるから!」
「安心できるか!?」
そんなことを話していると上吉さんがやってきた。
「地図じゃ。こやつを見とけりゃ次の町へと行けるじゃろう……」
次の街への地図を渡してくれた。
――そして比奈斗と一緒に次の街へと向かった。
「じゃ、行くか! ジャムパンと、ポテチと、ついでに世界を守る旅――だっけ?」
「一応、魔王倒すってことにはなってるんだよね……」




