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Project Potechi  作者: teresi-
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第三章 5680円のニンジンプラモデル

 目的の街『ハンドジャイ』を行っている途中、再びブタンクに遭遇した。

 僕はおじいちゃんに教えてもらった特技を使いたくて、木刀を取り出してファインを唱えた。


 ……すると木刀が燃えてしまった!



 バカな!?普通剣に炎系魔法を使ったら剣に炎がまとうのが普通だと思っていたのに木刀が燃えてしまうとは想定外だった。


 そんなことをしているとブタンクが殴りかかってきた。僕はブタンクの拳にクリーンヒットして数メートル先まで吹き飛んだしまった。倒れた僕に向かってブタンクがそのまま走ってきたので顔面にファインをお見舞いした。


 ブタンクの顔が炎上している間にどうにか立ち上がることができた。そしてブタンクを蹴り飛ばし顔面に手を添えて



「ファイン!」



 ファインを唱えた。ブタンクは野太い唸り声を上げてジタバタ動いていたがやがて動かなくなった。



 しばらく歩いていると街が見えてきた。街にたどり着くと看板があった。看板にはご親切に『ハンドジャイへようこそ!』と書いてあった。


「ついに着いたぞ!……とりあえずおじいちゃんに頼まれた人を探そう」

 町の中心に行くと、たくさんのお店が並んでいた。ちょうど、宿屋に人が二人いたから、話しかけようと思った時……!


「何で買ってくれないんだ!」

「そんなプラモデルいらんじゃろうが!」


 どうやら揉め事をしているようだ。一人は僕より20cmほど高い身長で茶色いコートを羽織った男だった。もう一人は僕と同じくらいの背をしている。年齢はおじいちゃんに近い。

 なにで揉めている話なのかとりあえず聞いてみることにした。


「新作のニンジンプラモデルだ!《《ニンジン》》!買わなきゃ損だ!損!」

「え?」


 聞き間違えかと思い、二人の話をしっかりと聞いてみた。


「ニンジンプラモデルなどいらんわい!そもそも何にそんなもの使うんじゃ!」

「観賞用」

「なら二つもいらんじゃろうが!」

「いるぜ!俺用とおじいちゃんの分だ!」

「わしはそんなプラモデルはいらん!」


 あの二人はどうやら家族で高身長の男がニンジンプラモデルを買おうとしている所を老人が引き留めたと言うことだ。


「おじいちゃんがいらないなら誰かに渡せばいいだろ!」

「誰かそんなプラモデルいるか!」


 僕も流石にいらない。ていうか誰だよ「ニンジンプラモデルを作ろう!」って言い始めたやつ……。


「お前なんか知るか!!」

 老人はそう言うと宿屋に入っていった。

「あのー。何かありましたか?」

 僕は高身長の男に話しかけ、状況を知ることにした。



 高身長の男は畑掘はたぼり比奈斗ひなとと名乗った。


「最近の人気会社『NINZIN』って会社が作った新作商品……それがニンジンプラモデルだ」

「NINZIN?」

「NINZINは今までニンジン人形やただのニンジン、ニンジンドリルなどを作ってきたニンジン専用会社だ!」


 ニンジン専用会社……。まじでそんなの作る会社があるんだ……。しかもニンジンドリルってなんだよ全く利用価値が見当たらない……。


「へー。そ、そうなんだ」

「しかも今回のニンジンプラモデルはなんと!食べれるんだ!!」

「は?」


 それってただのニンジンと一緒じゃね?しかも食べて何になるんだよ!


「それに腐ることがないんだぞ!」


 胡散臭いにも程がある……。僕はあの老人が怒っている意味がようやく分かった。


「買ってあげるから、後で質問に答えてくれない?」

「いいのか!?」


 この町の店はどんなものがあるかわかるし、ついでにおじいちゃんが言っていた上吉っていう人の手がかりも知ることができると思う。



 僕達はニンジンプラモデル(ゴミ)が売っている道具屋へと向かった。


「比奈斗ってなんかできることある?」

「機械開発とかしているな」

「例えばどんなの作ったの!?」


 僕は比奈斗に問いかけた。


「ニンジンドリルを戦闘用に改造したり、特技を作ったりした」

「すげー!!」

「特技って作れる物なの!?」

「特技はちょっと魔法の知識が必要だけどな」

「作りたい!」

「照馬にできるか分からないぜ」

「この僕にかかれば簡単だって!」



 そんな雑談をしていると道具屋に着いた。


「あれだ!」


 比奈斗が指を指した先には商品棚になれべられた『新登場!ニンジンプラモデル!』と書いてある箱が並んでいた。僕の所持金は10000円、しかしニンジンプラモデルはなんと5680円、これを二つ買えと比奈斗は言っていたのだ。比奈斗のおじさんの気持ちが痛いほど伝わってきた。


「所持金足りてないけど大丈夫か?」

「それなら大丈夫!ほら!」


 僕は持ち物からフサフサした毛皮を取り出した。


「ブタンクの毛皮~!」


 隣町へ行くときに戦ったブタンクの毛皮を取っておいたのだ。


――道具屋で売ってみたら合計5000円になった。一応残ったお金で僕は薬草を買って先程ブタンクにやられた傷を直した。ブタンクは弱い割には金のためには結構使えるってどういうことなんだろう?

 その後僕は店の商品を全部見たがポテチ棚に並んでなかった。どうやら本当にポテチがなくなってしまったようだ。



比奈斗の家に行っている時に比奈斗が僕に話しかけてきた。


「そういえばさっき何か質問しようとしていたけどどうしたのか?」

「今この街でとある人を探していて、知ってる?」

「この街の人の名前は大体分かるぞ」

「そう?なら聞いていい?」

「この街のことならなんでも聞くといいぜ!」

「今上吉って人を探しているんだけど……知らない?」

「は?上吉ィ?」

「そう!知らない?」

「……知ってるぜ」

「ならどこにいるの?その人に渡したい物があるんだけど……」

「最終確認だけど上吉って言うじじいか?」

「そうだよ」


 少し考えた後、比奈斗が言った。


「俺のおじいちゃん。あれが正真正銘、畑掘はたぼり上吉うえきちだ」

「え?」


 比奈斗が言った途端、僕は時が一瞬止まった気がした。


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