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Project Potechi  作者: teresi-
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第三十五章 海苔塩生産工場

「流石にこれは開けすぎじゃないか?」

「まぁどれくらいでもいいわよ。ね!ドライス?」

 俺達はドライスがいる方に視線を向けた。

 しかし、ドライスは自分の手をまじまじと見ている。そこには手が焦げるほどの火傷を負っていた。


「おい大丈夫かドライス!?」

「……まぁ大丈夫だ。このまま脱出するぞ!」


 俺達は扉を開けた。そこはなんと俺達が穴を開けて見つけた通路だった。

「ここは牢屋だったとはな……」

「とにかくバレないうちに逃げましょう!」

「ダファキン。お前は今のうちに仕事に戻れ」

「わかりました」

 そうに言われてダファキンは即座に出て捜索を始めた。ダファキンの姿が見えなくなると俺達は息を殺して動き始めた。廊下は相変わらず果てしなく続いている。


「出口がいつになっても見つからねぇ」

「そんな事なら破壊した方が早いんじゃないかしら?」

「何言ってんだ脳筋馬鹿力。そんなんじゃバレるぞ」

「何よ?脱獄した時点でアウトでしょ?」

「……まぁそれはそうだな。なら任せる」

「いくわよ……。はぁ――――っ!!」

 

 入夏いるかが思いっきり壁に拳を突き刺す。壁に段々と亀裂が生じてそのまま大きな音を立てて壁は崩れた。

「なんという力……!入夏様!一生ついていきます!」

 彦一ひこいちが言う。こいつの馬鹿力のどこが良いんだ?穴の先は何とテレカによって荒らされた倉庫だった。

「ここに繋がってんだな……」

「いくぞ」

 颯が先陣を切って歩き出す。それに続いて俺達は後ろからついて行った。



 ◆ 草野くさの 照馬しょうま ◆


「帰りましたよー!」

「お帰りシャチ蔵!」

 嵐がいつになったら止むか待っていると入口からシャチ蔵がやって来た。

「晴れたら船は出せますよ!」


「いや今回船はいらないかな」

「……わかりました!では何をしたらいいでしょうか?」

「それなら一緒にKAIZINと戦ってくれない?」

「別にいいですよー!皆さんの力になるように頑張りまーす!」

 新たにシャチ蔵が仲間に加わった!


「この人数なら怪王人と戦いやすいかも!……それにしても嵐はいつまで続くんだよ!?もう夜だぞ!」

 僕が不満をまき散らしていると鮫子ざめこさんの後ろに隠れている沙羅子ざらしさんが少し自信が無さそうな顔で言った。

「…………明け方ごろには嵐が止むと……思います……」

「それなら一旦家に帰って寝るとするかのう」

「そうしよう!そうしよう!」

「明け方に戻ってきなさいよ――!」

 おじいちゃんの提案を聞いてウキウキで帰ろうとする僕達へ鮫子さんは言った。僕は軽く返事をした。



「「「わーぷ!!」」」



 僕達は家へ戻った。



「なんか久しぶりに帰ってきた気がする!」

「ただが三日で何言っとる!」

 僕とおじいちゃんは家に帰ってきてから雑談をしている。ちなみに三日間も帰ってこなかった。修行でMPが尽きて帰れなかっただけだけどね……

「まぁ今日はハンバーグでも作るかのう」

「やった――!!」

 おじいちゃんがスタスタと台所へ向かう。僕は自分の部屋へ戻ってベットにバフンと音を立てて座った。

「あ―……。なんか一気に疲れたな……」

 時間が久しぶりに残った僕はベットの前にある本棚に目を付けた。

「そういえばまだ読んでない本があったなぁ……。ついでに読むか!」

 僕はまだ見たことない本に手を付けた。これはおじいちゃんが都市へ行った時のお土産だ。僕は本に目を通す。


『これは異世界語で書いてあった本を翻訳したものである。


 仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、ただひとり、徒歩より詣でけり。極楽寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。


 さて、かたへの人に……』


「なんだこの物語?何が言いたいのか全く分からないんだけど?」

 仁和寺?いやどこだよ!?

 そんなことを考えていると階段の下から声が聞こえた。


「できたぞ!!」

「はーい!!」

 おじいちゃんの声を聞いて僕はすぐさま階段を下りてリビングへ行った。


「おおっ!」

「今日はかなり頑張ったぞい!」

 リビングのダイニングテーブルには二皿のハンバーグとおかずが置いてあった。僕はすぐに椅子に座りハンバーグにかぶりつく。

「どうじゃ?」

 ハンバーグが口の中に入ると溜まった肉汁が出て来て口の中に広がって行った。

「美味しいよ!!」

「本当か!?」

 おじいちゃんが喜びながらこちらへ来る。そしてもう一皿のハンバーグを口に入れた。

「これは!?」

 おじいちゃんは目を丸くする。僕達は気がつない内にすべてのハンバーグを平らげていた。

「今まで食べた中で一番美味かったよ!」

「その通りじゃな!」

 おじいちゃんはテレビの電源を付けた。するとちょうどニュースをやっていた。ニュースキャスターはゆっくりとした口調で喋り始める。


『本日なんと都市に突如として現れる謎の物体の発生源を突き止めました!!こちらがその現場です』


「なんじゃと!?」

 おじいちゃんはテレビに向かって叫ぶ。テレビの映像は切り替わり研究室のような場所が映った。


『そしてこの人が発見した研究所の教授です!』


 ニュースキャスターは丸眼鏡をかけたオッサンを指した。見るからに研究所に居そうだなこのオッサン!?


『現在研究中なので詳しいことは分かりませんが……』


「そうなんだー」

「もうこんな時間じゃないか!風呂に入りなさい!」

「はーい」

 僕は洗面所へと向かった。



 風呂が済むと自分の部屋へ戻った。もう少し時間があるからおじいちゃんが買ってきた本でも読もう。


『メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは……』


 この話もよくわかんねぇ……。次はこれだ!僕は『国語』と書いてある本を手に取った。


*


……どれもよくわからなかった。異世界の本ってなんかよくわからん単語が出てくるんだけど?どうやって解析してるの?

 内容が全く分からなかった僕は諦めてベットの上の布団に入って眠りについた。


*


「うぅーん」

 僕は目を覚ます。そして目を疑った。なぜなら僕の目の前に怪王人がいるからだ。

「怪王人!?何でお前がここにってここどこ?」

 一面には暗い空間が広がってた。そしてここにいるのは怪王人と僕だけだ。怪王人が口を開く。

「今日、館に来い。そろそろ殺しちまうぞ?」

「なんだと!?ふざけるなぁーっ!」

 僕は怪王人に殴りかかった。しかし僕の拳は怪王人の体をすり抜け空を切った。

「これは単なる招待状だ。さぁどうする?」

「そんなの助けるに決まっ――」

 僕は去り行く怪王人を追いかける。しかし足が前に進まなかった。


「――てるだろ!」

 僕が話し終えるといつのまにかベットの上に戻っていた。

「あれ……?」

 もう朝だった。僕はいつも通り着替えてリビングへ降りた。

「おはよう!」

「おはよう。早いじゃないか」

「……昨日行った時間ってどれくらいだっけ?」

「……明け方じゃ」

 窓から空を見るとギラギラと太陽が光り輝いている。

「遅延だぁー!!」

 僕達は口にパンを咥えると庭へ出た。



「わーぷ!!」



 僕達は急いでわーぷでアクウルへ向かった。


*


「ギリギリだぁ……」

「アウトよ!」

 鮫子さんが突っ込む。すでに僕達以外全員集まっていたようだ。僕は口にくわえたパンを咀嚼し飲み込むと僕は言った。


「みんな少し言いたいことがあるんだけど……」

「ん?どうしたんじゃ照馬君?」

 上吉さんが僕に問う。僕は今日見た夢のようなものを伝える事にした。

「なんか夢の中に怪王人が出てきて言ったんだ。

『今日、館に来い。そろそろ殺しちまうぞ?』って!」

「なんじゃと!それは本当か照馬君!?」

 僕は「おそらく」と言う。

「でもただの夢じゃろ?」

「いやでも人の意識の中に入り込む技が存在するって聞いたことがあるわよ」

「ならあれがその類なら……」

比奈斗ひなと達が危ない!」

「なるべく急ぐんじゃ!」

「出発だ!」

「シャチ蔵!行くよー」

「わかりました!」

 城からシャチ蔵がやってくる。僕達は隕石型の乗り物の置いてある方へ向かった。みんなは乗り物を見て驚愕する。


「なんなんじゃこれは照馬君!?」

「隕石型の乗り物だよ。正式名称は……。知らん」

「とにかく乗ってみましょう!」

 僕達は隕石へと入る。中は思ったより広くていろんな操作する用の機械が並んでいる。僕は操縦席へと向かう。他のみんなはそれぞれ椅子に座った。

「みんなー!シートベルトはちゃんと閉めた?」

「「OKじゃよ!」」

「いいよー!」

「大丈夫です!」

「出発だー!!」

 僕は電源ボタンを押した。機体が宙に浮かぶ。

「浮かんだぞ!」

「すごいですね!」

 エンジンのレバーを奥に押す。機体はbike JT(ジェット)並みのスピードで進んで行った。

「うわぁ――――っ!?」

「早すぎます――っ!?」

「助けてくれ――――ぇい!!」


 ◆ 畑堀はたぼり 比奈斗ひなと ◆


「なんだ……これ……?」

 散乱した倉庫を探っているとどこかへの隠し階段があった。

「…………行ってみる……?」

 入夏が行きたそうに聞いてくる。颯は少し悩んでから言った。

「まぁ少しくらいはいいんじゃないか?」

「行こうぜ、早く!」

 ドライスが興味津々で降りていく。よくあんなにズカズカと行けるな……アイツ……


 俺達はドライスに続いて階段を降りて行った。

「かなり下まで続いてるな……」

「でももうすぐで着くでしょ?」

「……そうですね入夏様!」



――数分後

 俺達はまだ永遠に続く階段を降りていた。

「いつになったら終わるんだ……」

「足が死ぬぞこれは!」

 俺とドライスが呟く。さすがにそろそろ限界だぞ。

「もうここまで来たから戻れないわね」

「そうだな」

 俺達は階段をまだ降りていた。もう景色も見慣れた。そこにある物が見えた。


「あれなんだ?」

「もしかして!?」

「やっと出口に来たのか?」

 俺達が見たのはなんと踊り場でまだ階段は続いていた。。

「このクソがぁぁぁ――――っ!!」

「一旦ここで休みましょうよ!」

「そうしようぜ」

 俺達は入夏の意見に賛成した。俺たちは階段に座る。


「誰だよこんなクソみたいな階段作ろうって言ったやつは!?」

「でもこんなに長いなら何かあるんじゃないかしら?」

「入夏の言う通りその可能性が高いな」

「でもよ颯さん。この無限階段に終点ってあるのか?」

「あれを見ろ」

 颯が指を指す。よく見るとそこには一つの扉があった。

「あれって……?」

「ああ……。終点だ」

「よっしゃー!」

 ドライスが叫んだ。その声が階段中に木霊する。彦一は階段から立ち上がった。


「行こうぜ!この館の秘密を探りによぉ!」

「そうだな。そこで何かすればこの館の攻略も楽になるかもしれないからな!」

「さぁ、行くわよ!」

 俺達は階段を全力で駆け下りた。すると瞬く間に扉の前に来た。扉はかなり整備されており今でも使われていると思う。俺が扉に手を掛ける。


「3、2、1で開けるぞ……。せーの!」

「「「「3、」」」」

「「「「2、」」」」

「「「「1」」」」

 俺達は勢いよく扉を開けた。そこは無人の工場だった。

「なんだここは……?」

 俺がつぶやく。隣でドライスが言う。

「何だあの生産されている奴は!?」

 機械から緑色のパッケージの袋を量産していた。

「あれってまさか……!」

 ヤバそうな薬品とかを生産してんじゃねぇのか!?早く止めないとまずいぞ!


「早く機会を破壊し―――」

「ポテチじゃないか!?」

「……は?」

「ポテチをここで生産して魔王カエ~ルに送ってたんじゃないのか!?」

「なるほど!」

 何がなるほどだよ!?一ミリも理解できねぇよこんなもん!?


「しかもこれって海苔塩ポテトじゃないか!?」

「いらねぇよ!?そんなこだわり!!」

 俺以外の全員が機械へ近づく。俺は他の奴らが機械の前で盛り上がってるのを眺める。俺はみんなに歩み寄る。

「だから台所にあんなたくさんのポテチの袋があったわけだな」

「その通りだ」

 不気味な声が背後から聞こえる。俺はすぐに背後に振り向き、杖を構えた。

「その声は!?」

「そうだよ、この俺様だよ!勝手に抜け出しやがって!俺のショー(処刑)を邪魔するんじゃねぇよ!」

「そんなの抵抗するに決まってんだろ!」



「フレイムブレス!!」



 ドライスが口から炎を吐く。怪王人は手刀で炎を切る。そのままドライス腕を跳ねた。

「野郎ども、行け!」

 部屋の壁から無数のKAIZINが現れる。彦一の顔が青ざめる。

「くっそ!どうする?」

 彦一が聞いた質問にドライスが口を開く。


「俺が足止めをする」

「何言ってんだ……?お前!?」

 俺はドライスに言うのであった。


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