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第三十章 責任と復讐

「残念だがお前達はこの館で死んでもらう。少しは生かしてやるがな……」

 怪王人はにやりと笑う。そうさんは僕に言う。

「俺が時間稼ぎをするから逃げろ!お前にはわーぴーがある!」

「でも!そんなことしたらみんなが!」


 怪王人が僕達の前に触手を叩きつける。僕と颯さんはうまく避ける事が出来た。

「逃げる気か?無駄だな。そんなことをするとこいつらがどうなるかが分からんぞ?」

 怪王人は触手で捕らえた皆をひらひらと見せびらかす。そこで僕は一つ思いついた。僕は剣を取り出す。

「ほう?戦う気か?おもしろい」

 怪王人は構える。颯さんは戸惑ったような表情をしている。

「お前……!まさか戦うつもりか?」

「そうだよ颯さん……僕は仲間を置いて行けるほどの勇気はないんだよ!」

 僕は怪王人の比奈斗ひなとを掴む触手に全力で斬りかかった。触手がボトリと地面に落ちる。

「やった!」


 僕が行ったその後、僕が気付いた時には怪王人の拳が腹部にあった。その拳が僕の腹に突き刺さる。僕は廊下の壁に勢いよく激突した。腹から全身へ痛みが走り僕は立ち上がれない。怪王人は比奈斗を再び捕え僕の元へと来た。そして顔面を掴み持ち上げた。

「所詮はただの子供、我の足元にも及ばんな……」

 怪王人の手に加わる力が段々と強くなる。その時、怪王人の手の力は一気に抜け、僕はその場に崩れ落ちた。怪王人は別の方向を向いて戦闘態勢をとった。そこにはロックを放った颯さんが立っていた。

「そいつは殺されては困るんでな」

「颯さん!」

「早く逃げろ!」

「僕も戦うって言ってるだろ!」

「何度言ったらわかる!?お前が死ねば確実に全滅だぞ!」

「だからってみんなを置いて行けと!?」

「ああ、そういうことだ」

 颯さんはウォンシーを怪王人の足元に放つ。

「ふざけるな!初めてあった人もいるけど皆、大切な仲間なんだぞ!」

「俺の仲間になった理由を覚えてないのか?」

 僕は脳裏に颯さんの言葉がよみがえった。『私には家族がいた。妻は早死にし、娘はあの怪物にやられた!』

「俺との同行を許可したのは誰だ!?」

 怪王人の攻撃を受けても立ち上がり、魔法を打ち続ける颯さんを見ながら、僕は胸が痛くなった。

「お前は許可した後になんて言った?」

 怪王人に叩かれ、踏まれ、締め付けられている颯さんの質問を聞いて自分の言ったセリフをもう一度言った。


「……その覚悟があるから今ここに彼はいるのだろう?」

「大正解だ……!お前に俺の気持ちがわかるなら協力してくれ……俺の敵討ちに……!」

「……ああ。僕が許可したんだ……だから、僕が責任を取る」

 僕は颯さんに返事をすると立ち上がりイナを回避した怪王人に攻撃を仕掛ける。



「フォール!!」



 僕はフォールを唱え怪王人の進行方向を塞ぐ。フォールとイナは怪王人に上手くヒットした。

「行け!」

「……うん!」

「おいおいまさか逃げる気か?お前の仲間さんはどうなっちまうのかなぁ?」

 怪王人は入夏いるかと比奈斗を捕えている触手に力を入れる。比奈斗と入夏が苦しむ。

「これでも仲間を捨てて逃げるというのかぁ!?」


 怪王人の行動に僕は迷う。仲間を置いて逃げるのか、このまま戦うのか。僕が悩んでいるその時颯さんがイナズスを唱え、怪王人に直撃した。怪王人の触手の力が少しだけ緩む。比奈斗がその間に口に巻き付いた触手を取り払い僕に叫んだ。

「お前には俺が渡したアレがあるだろ!道具袋は俺が持っているがアレは《《道具袋に入れてないだろ》》!!あれの使い方はなんだったっかなぁ!?」

 僕は緊急用のあれを持っていることを確認した。そして僕は特技を唱える。



「わーぴー!!」



 僕の体は光に包まれ、気付くと僕の家の前にいた。丁度庭の整理をしていたおじいちゃんが僕に気づく。

「どうしたんじゃ照馬しょうま?すこし慌てているような表情だが……?」

「おじいちゃん……今調子はどう?」

 僕はおじいちゃんに問いかけた。


◆ 蛙王 颯 ◆


「逃げちまったのかぁ……ったくもっと面白い反応を見たかったのになぁ……」

 照馬がいなくなった今、戦闘可能なのは俺だけだ。すこしはここまで連れてきてくれたアイツらの為にも頑張らないとな……


「さぁ……復讐でも始めるか」

「ほう?まだやる気か?降参すれば痛い思いしねぇんだけどなぁ?」

「そんなことを言えるのは今の内だぞ。俺が命を懸けたのは、ポテチのためじゃねぇ。娘のためだ」

「あぁん?なんだってぇ!?」

 俺は奴の懐へ入り腹パンをかます。怪王人の腹には俺の拳が突き刺さっている。怪王人は吐血をすると血走った眼で俺を睨んだ。


「お前ぇ!よくもやってくれたな!」

「いいこと言うじゃねぇか」

 俺は怪王人へ指で挑発をすると俺は言った。

「その言葉……そっくりそのまま返してやるよ!」

「貴様ァ!!」

 怪王人はさらに背中から触手を生やし、俺に襲い掛かる。俺は襲い掛かる触手を全て叩き潰した後、俺は比奈斗のヤツからもらった100円高いただの薬草の詰め合わせを地面に叩きつけた。地面から大爆発を起こす。


「逃がすかぁ――――!!」

 俺が逃げようとした途端に煙の中から怪王人が出てくる。俺が攻撃を繰り出す前に奴は俺の背後に辿り着き、攻撃をかました。俺は地面に叩きつけられた。段々と意識が薄れていく。俺は照馬への願いを込めて無意識に言っていた。

「照馬……後は……頼ん……だ」

 俺の意識段々と薄くなっていった。

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