第二十九章 無駄なエコ要素
「……あれ?」
崖の上にたどり着いた途端にテレカが急に動かなくなってしまった。
「どうなってんだ?」
彦一が問う、僕は操縦席に映し出されているメーターを見た。メーターはちょうど0だった。
「燃料切れだ!」
「燃料切れかよ!……それで燃料は何なんだ?」
「太陽光だけど?」
「無駄にエコだな!?」
「そうなると……動かすことができませんね……」
「誰か太陽作成できる?そうしたら動くんだけど……」
「「「「「「作れるか!!」」」」」」
*
――結局僕達は徒歩でこのまま進むことになった。
「ごめんね、テレカ……お前がもうちょっとエコじゃなかったら……」
「その後悔はいらねぇーよ!」
僕は収納カプセルにテレカを入れた。
「……あれなんだ?」
「「え?」」
ドライスが指をさした方には民家がそびえ立ったいた。
「なんでこんなところに民家があるのかしら……」
「これはあまりにも怪しすぎるな……」
「颯さんの言う通りよ。無理にいかない方がいいわ」
「行こう!」
「人の話を聞け!」
僕は民家へ近づく。僕は気づいた。
「待って!」
「急にどうしたんだ?」
「民家から……声が聞こえる!」
「ならだれか生存者がいるのかも!」
「一応外から話を聞こう。そっちの方が安全だろう」
颯さんの言う通り僕達は民家から聞こえる声を聴いた。
『お前、侵入者が出たってことは本当か?』
『ああ、怪王人様から聞いた話が合って入ればだな』
『でもこんな広い館からどうやって探すんだよ!』
『それなら俺にいい考えがある』
『どんな考えがあるんだ?』
『生存者がいる所をマークすればいいんじゃないか?』
『生存者がいる所って……お前、場所を知っているのか?』
『いや知らねぇ。だが俺にはこれがある……』
『なんかあんのか?』
『これだ!』
『なんだこのレーダー?』
『これは人間がいる場所を示すレーダーだ、館の奴らは確実にわかるだろう……』
聞こえる声を聞いて僕は皆に言う。
「居場所がバレたかもしれないよ!」
「どうする!」
「奴らに報告される前にどうにか阻止したらどうだ?」
「確かに!」
『ん?なんかこのレーダーこの家の周辺を指してないか?』
『へ?』
「まずい!来る!」
途端に民家から二体のKAIZINが現れる。今はテレカを収納しているため睡眠薬を使うことができない。
「どうしよう!」
「任せろ!ウォーバー!」
颯さんがウォーバーを手に持ったレーダーにかける。
「ん?ハハハハハ!!このレーダーは防水性があるんだよ!」
「チッ、さすがにそんな甘くないか……」
「フレイムブレス!!」
ドライスの口から炎が吐き出される。KAIZINは腕で顔を守っていて前に進めない。
「行きますよ!彦一さん!」
「ああ!」
その間に彦一とダファキンがKAIZINの懐に入り腹パンをかました。KAIZINの巨体が宙へ舞い上がる。
「エアコンプ!!」
そして僕はエアコンプでKAIZIN達を圧縮する。KAIZIN二体とレーダーは共に球状となって宙を舞った。
「逃げるよ!再生するわ!」
僕達はレーダーを破壊すると一目散に次の部屋へ行った。
*
「これは……二階じゃないか!」
「本当に!?」
彦一はつぶやく、そこにドライスも言う。
「ああ、ここは確実に二階だ……」
「ついにか……」
「そんなに突っ立ってると見つかるわよ!」
入夏に手招きされ、僕達は二階の部屋の一角で隠れた。
「さぁここからどう動く?」
「そうだな……あまり大勢で行動するのもな……」
「私達四人で行きましょう!」
「それじゃあ入夏様達が危険なのでは……」
「この私がそんなすぐに捕まると思うの?」
「なら危険になった時はいつでも呼んでくださいよ」
「ええわかったわ」
僕達は扉を開けて廊下へ戻る。
「どこから行った方がいい?」
「……一番危険なのはあれだな」
比奈斗が指を指すそこは金庫室だった。そしてロックがかかっている。
「二階からどうにかヒントを探さないとだな」
僕はバッチで彦一と連絡を取る。
『どうした?』
「金庫室の鍵とか持ってない?」
『いや、持ってないな。俺達が見つけたら連絡しと――』
――プツン
「……連絡が切れた」
「は?」
「話してる途中だったんでしょ?だとしたら……!」
「捕まった可能性が高いな」
「どうしよう!」
「とりあえず戻るのは危険だ。故に探索するしかないな」
「……そうだな」
僕達は隣の部屋へと移り扉を開ける。比奈斗が一番先に中へ入って行く。
「どう比奈斗?誰もいない?」
僕が問いかけたが返事は返って来なかった。
「……ちょっと覗いてくるわ」
「……気をつけてね」
「……!逃げ――」
途端に声が途切れる。残ったのは僕と颯さんのみだ。中から誰かが出てくる。それはKAIZINの何倍もの大きさを持ったKAIZINだ。背中からは無数の触手が生え、捉えているのは……
「……!みんな!」
僕と颯さん以外の全員を捉えていた。みんな口は塞がれ、喋れなくしている。怪物は話し始める。
「よくも手間を掛からせてくれたなぁ。おっと名乗り忘れていた。我が名は怪王人。この館を持つ物だ」