第二十五章 探索
――翌日
僕はもちろん家に帰って寝てから館に戻った。予定通り彦一は二階、僕達は一階へ向かった。
「くれぐれも捕まらないようにな!」
彦一が注意しながら階段を上がっていった。
「誰もいないよね?」
僕は比奈斗の背中に隠れながら比奈斗に問いかけた。
「だからさっきから出てきたらいうって言ってるだろ!」
「奴らは大きな足音が特徴だ、だから音をよく聞け」
颯さんが僕に隣に来て言った。
「最悪の場合は私が時間稼ぎするわ」
「その時は加勢するぜ。わーぴーが使える照馬は残さないとな!」
「二人とも……」
比奈斗が扉を開ける。この部屋はリビングのようだ。
「何か使えそうな物はないか?」
「使えそうな物?」
颯さんの言葉に僕は聞き返す。
「ああ。ここにひび割れがある。何かあれば割れるだろう」
「それなら私に任せて!」
「待て!」
颯さんが止める。
「いくら防音に優れていても壁など叩き割れば誰かに聞こえるだろう」
「それはそうだ。いくら馬鹿力でもな……」
「どうしたのかな?比奈斗くん?」
「……ごめん前言撤回」
「ドリルとかあればいいのにね……」
「ドリル!それなら……」
比奈斗がニンジンを一本取りだした。
「お前に頼んでよかったな」
「そのニンジンが?」
「ああ、これはニンジンドリルだ。戦闘用に改造したものだが、これくらいなら……」
比奈斗がニンジンドリルを壁にぶっ刺して起動すると一分もたたずに壁は粉々になった。
「あのニンジンドリル……使えるものなんだ……」
「変な趣味が役に立ったわね」
「やっぱり道があるな」
壁の奥に広がる廊下を見て颯さんが言う。
「行こう!」
*
廊下を歩いていると、スライムが現れた。
「スライムだ!」
僕は剣を抜いて切りかかった。
「あれ?」
しかし僕は剣はスライムに全く刺さらなかった。
「……こいつ!マグマスライムだ!」
比奈斗が叫ぶ。スライムが僕に飛びかかってきた。スライムが僕に当たった途端その部分が急激に熱くなった。
「アッツ!?」
僕は即座にマグマスライムから逃げる。颯さんが僕の傷を治そうとする。
「ヒーリップ!あのスライムの弱点は氷属性だが、氷属性は滅多に覚える者はいない……だから今一番効果があるのは……ウォプティ!!」
颯さんがウォプティを唱える。マグマスライムは一瞬だけダメージが入ったように見えた。
「行くぞ!」
入夏と颯さんが手をかざす。
「ウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシーウォンシー!」
「ウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティウォプティ!」
マグマスライムはやがて溶けてなくなっていた。そしてマグマスライムがいた所には雨の後のように水が飛び散っていた。
「倒したようだな」
「行こう!」
*
僕達はさらに奥に行く。その時、バッチから声が聞こえた。
『あ――あ――――聞こえるか?』
彦一の声だ。僕は言葉を返す。
「あ――――――――――――――――――――――――――――」
『もう大丈夫だ!聞こえてる!聞こえてるって言ってるだろ!』
「どうしたの?彦一」
『一旦戻ってくれ!』
「え?」
『早く!』
僕達は急いで秘密基地に帰る。
*
「どうやらKAIZINは一人ではない。あと一種類ではない。」
秘密基地に帰った僕達は彦一達の話を聞いていた。
「あと、栗型の頭で爪が生えてる奴は気を付けろ!奴は他の奴よりも足が非常に速い。俺がいなかったら死んでたぞ」
ドライスが言う。
「とにかく二階は危険なんだな。なら俺たちと一階を探索しよう」
比奈斗が言う。その言葉を聞いて彦一が少し考えた。
「いや大丈夫だ」
「そいえばみんなのステータス見ていい?」
「まぁいいぞ」
僕はステータス覗き見メガネを取り出して彦一達のステータスを見た。まずは彦一。
Lv.32
HP 1261
MP 190
攻撃力 200
防御力 182
素早さ 83
魔力 136
才能 炎系魔法(大)、風系魔法(中)
特技 わーぷ、ヒミンク、
かなりHPと攻撃力が高い。さすがのアクウル騎士団長だ。次はドライスだ。
Lv36
HP 1563
MP 0
攻撃力 316
防御力 130
素早さ 12
魔力 0
才能 なし
特技 フレイムブレス
ドラゴンの為かなりステータスが高い。さすがドラゴンだ……それ以外全く思いつかん…… 僕は次にダファキンのステータスを見た。
Lv99
HP 180000
MP 180000
攻撃力 180000
防御力 13
素早さ 5
魔力180000
才能 闇系魔法(大)
特技 グラン、グラフィン、グラフィゲラワン
……あの少女はこのステータスのダファキンをボディガードにするなんて一体何者なのだろうか……これも気にしてはいけない気がする。
――ていうかこいつら全員が戦士タイプじゃねぇか。よく生きてたなこいつら……
「「「「いや絶対について来い!」」」」
ステータスを見た僕達は彦一達に叫ぶのであった。