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Project Potechi  作者: teresi-
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第二十四章 生存者

 扉を開けるとそこは物置だった。そして一人の鎧と赤いマントとフードを見に纏った金髪の男が立っていた。

「あなたは……」

「話は後でしますので、こちらへ!」


 急に天井から梯子が降りてきた。男は登りながら僕達を手招きする。

「なんて親切な人なんだ」

「少しは疑え!」


 僕達は男の後に向かって梯子を登る。梯子の上には秘密基地の様な空間が広がっていた。

「これは……」

 そうさんがつぶやく。見た限り他にも生存者がいるようだ。

「貴方は……」


 入夏いるかが問うと男はフードを取り、言った。

「アクウル騎士団長の八剣やつるぎ 彦一ひこいち です。気軽に彦一って呼んでください」

「僕達のことも気軽に呼んでいいよ!僕は照m――」

「「生きていたのか!?」」


 入夏と颯さんが同時に叫び、僕の自己紹介が見事に妨害される。

「お前はあの時、俺達と一緒にここに来て死んだはずじゃ……」

「彼に助けてくださったんです」

 彦一はまた一人の男を呼ぶ、それは巨大で緑色の硬い鱗に覆われたドラゴンだった。

「よぉ!俺はドライス!」

「ドライス!?」

「お前は!?」

 ドライスも反応する。そして僕とドライスは同時に言った。

「厨二病ドラゴン!」

「パン少年!」


――少しの間沈黙が流れる。

「とりあえずお前達が会ったことがあることはよくわかった」

 比奈斗ひなとは苦笑いしながら言う。彦一は言った。

「僕は草野くさの 照馬、気軽に照馬って呼んでね」

「俺は畑堀はたぼり 比奈斗だ。よろしく」

 僕はやっと自己紹介をすることができた。どうやら入夏は顔パスで大丈夫そうだ。


「殺される直前にちょうど飛んで逃げていたこいつに会ったんだ。それでここを案内してくれた。この館の木材は他の木材とは比べ物にならないほど防音性に優れている。叫んだりしない限りは大丈夫だろう……」

「それにしてもよくこんなところ作ったなぁ……そういえば他に誰か居るのか?」

「ああ、今さっき会った奴だ……」


 彦一が一人呼ぶ。その姿には見覚えがあった。魔族の特徴的な藍色の肌、禍々しい赤いツノ、そして漆黒の鎧とマントを見に纏った男だ。

「「「「あの魔王!?」」」」

「静かに!」


 彦一が注意する。あの玄関で見たのとそっくりな魔王がいた。

「どうもこんちは。功刃くぬぎ 多香子たかこ様のボディーガードをしている魔王です」

「ボディーガード?」

「ええ。今回は多香子様とお友達と来たのでそちらの方を……」

「なんのために?」

「雇われたので」

「雇われた……?」

「名前は?」

「魔王です」

「名前がないと呼びずらいなぁー……」

「魔王だから、ダークネスファインデーモンキング……なんでどう?」

「せめてわかりやすい名前にしてくださいね」

「ダークネスファインデーモンキング……略してダファキンでどう?」

「デーモンどこ行ったのよ!?」

「……まぁいいんじゃないですか?」

「よろしく!ダファキン!」

「こいつって魔王だよな……」


 彦一が言うが扱いは完全に魔王ではない。

「とりあえずお前達、よろしくな!」

「うん!」

 彦一が差し伸べた手を僕は取る。颯さんが問う。

「ここからどう動くつもりなんだ?」

「まぁゆっくり聞いてください。お菓子でも食べて……」

 彦一は戸棚からポテチを取り出した。

「「「「!?」」」」


 僕達の反応に彦一は言う。

「これですか?これは奴らの台所から見つけてとってきた物です」

「KAIZINは完全にカエ〜ル側ってことか……」


 ここからは魔王と言ったらカエ〜ルとダファキンのどっちかわからなくなるのでカエ〜ルと呼ぼう。

「そういえばわーぷで逃げたりはしないの?」

「この館はわーぷ君への接続を遮断する結界が貼られております。だからここから出るには船で逃げるしかないのです……」


 ダファキンが言う、僕はふと気がついた。

「僕のわーぴーを使えば外から物を持って来られるんじゃないの?」

「「「「「わーぴー?」」」」」

「わーぷの派生技の保存瞬間移動だよ。一度行ったことがあるところにわーぷ君がなくてもいつでも行けるというやつだよ」

「おおっ!それなら外から物資を持って来れるな!」

 ドライスが納得する。

「試しにパンを買ってくるよ!」



「わーぴー!」



 僕はわーぴーを唱えた。僕は隣町にいた。

「これでパンが買える!」

 僕はパンを20個ほど買った。僕は再び唱える。



「わーぴー!!」



 ちゃんと戻れるかが心配だがわーぴーを唱えた。次は館の中に戻っていた。

「無事だったのか!?」

「うん!」

「ならこれも頼むよ!」

「これもだ!」

「頼んだ!」

「お願い!」

「ありがとう!」

「頼む」

 いつの間にか僕は配達員になっていたのであった……





――数分後

 僕《配達員》は頼まれた品を全て持って館に戻ってきた。

「ありがとうな!」

「どうも」

「サンキュー」


 こいつら……!

 僕は感謝の気持ちが全くこもってない言葉を聞いて腹が立った。

「それでこれからどうするの?」

「え?もう終わったけど?」

「は?」

「俺達は一階、彦一達は二階をそれぞれ探索することにした」

「何決めてんだよ!?」

「バッチは彦一達に配ったから出るぞ!」

「その前に休ませろ!」

「……そうするか」

 僕達は屋根裏の秘密基地で一晩明かす事になった。

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