第十八章 発注
「あー満足だー……それで何をするんだっけ?」
「館に行くための準備でしょ!」
「そうだったそうだった」
「ポテチ以外何も買っていないんだから行くわよ!」
僕達は入夏によって道具屋の中まで再び連れて来られた。
「この城下町にはねポテチなんかよりもすごいものがあるのよ」
「スゴイモノ?」
入夏は僕を水でできた球体のようなものが並んだ棚の前に案内した。
「なにこれ?」
「これはウォーバーティアよ」
「なんじゃそりゃ?」
「誰でもこれを投げればウォーバーが使えるアイテムよ」
「へーなんか普通に使えそう」
僕が少しつぶやくと入夏は少し調子に乗り始めた。
「他の道具も紹介してあげようかしら?」
「教えてくれない?」
「まずこれはマジックゼリーよ。MPが回復するわ」
「便利だね~」
「そしてこれはクソアーマー、相手の防御力を大幅に下げれるわ」
「硬いロボットとかに使えそうだね」
「さらにこれは松明よ火をつけると周りが明るくなるわ」
「うん知ってる」
この店には普段見かけないようなものがたくさんある。松明くらいはどこにでもあるけど。
「後はこのバッチね」
入夏は何かが刻まれている気味の悪いバッチを持ってきた。
「バッチ?」
「これを付けている同士はわーぷで合流できるってやつよ」
「はぐれたときに使えるね」
「なんだその気味の悪いバッチは?」
いままでほかの商品を物色していた比奈斗がやってきた。
「付けている同士はわーぷで合流できるバッチの話をしてたんだよ」
「なるほどなぁ……十個貰う」
比奈斗はバッチを店で購入すると自分専用のバックに詰めて店を出ていった。
「一人で十個使うってどういうことよ……」
「それじゃ僕は二十個貰う」
「二十!?何する気!?」
「フツーに館に生存者がいるかもしれないよ?」
「……確かに」
武器屋に行くと武器が並んでいなかった。
「あれ?何も売ってないじゃないか!?」
……しばらくすると奥から一匹の剣を持った緑色のスライムがやってきた。
「!?」
この世界でスライムはそこら辺に生息していたらしいが昔のジャガイモ収穫期によって数が減少し、絶滅寸前なのだ。しかし最近はスライム保護団体によって数が回復しているらしい。そして少ない数が街で暮らしているらしい。スライム慣れたように話し始めた。
「いらっしゃい」
「彼が店長の美味呼よ。剣のスペシャリストなの。彼は武器を販売せず、強化や発注のみをしているわ」
「うちで何か作っていく?何か素材が必要だけど……」
「何があったかな……」
僕は道具袋を探る。使えそうなものは……ラジングで買った剣が三本と、ワンスの牙そしてブタンクの毛皮。
「家にならあれがある!!」
「あれって?」
「わーぷ!!」
「無視すんな!!」
家に戻ると僕はすぐに二階に駆け上がり自室へ入った。そしてベットの下から金庫を取り出した。僕はそのまま家から出るとわーぷで帰った。
「速っ!?」
「一分もたってないぞお前!?」
「あったあった」
僕は金庫を開けようとした。しかし開かなかった。
「開かない……だと!?」
「フツーに番号間違えたんじゃねーのか?」
「こんなものブッ壊してやる!!!」
道具袋から剣を取り出して叩きまくった。しかし傷が一つもついていない。
「なんだと!?この僕のHAGANENOKEN で傷が与えられないだと!?」
「なにがHAGANENOKEN だ。そりゃあただの……鋼の剣だ」
「番号確かめてみたら?」
「番号?そんなこの僕が番号なんて間違って……」
僕が金庫の番号を見る。そこに入力されていた番号は4つ目の数字が1多かったのだ。要するに僕のせいである。僕はそっと番号をそろえた。金庫から『カチャ』と音が鳴った。
「…………」
「「…………」」
「……見なかったことにしてくれないかな?」
「……開いたならよかったな」
「よくねぇよ!」
僕は金庫からオレンジ色に光る石を取り出した。
「これだ!」
「なんだそれ?」
「昔遊んでたらどこからか降ってきた石~!」
「ただの石じゃねーかよ!」
比奈斗はいつも通りの反応だが入夏は眉間にしわを寄せて石を見つめていた。
「ねぇ美味呼これって……」
「うん間違えないね」
「あの石がどう知ったっていうんだ?」
「照馬よく聞きなさい」
「?」
「それは煉獄の焔核と呼ばれていた石さ」
「何その名前格好いい!もしかしてチートアイテム!?持っていると周りの魔物
を焼いたりできたり?それなら題名が『World end project 〜なぜチートを手入れたのかという問いかけへの回答〜』なっちゃうよ!」
「何言ってんの?その石はファインが使いたい放題の石よ」
「へ?」
「だからそれで剣を作るとファインだけを無限に撃ててしまうただのチクチク戦法ができてしまうんだよ。まぁファインを使える人にしか使えないけど……」
「作りたい!なんという最強の石だ!この……。えっと害役で炎上だっけ?」
「煉獄の焔核だ。作るからその石を貸しな」
「いいよー」
「できるまでは丸一日ほどかかるから明日の夕方くらいにまたここにきなさい」
「はーい」
僕は武器屋をルンルンで出た。
僕たちはアクウルの宿屋に泊まった。入夏は「お父さんがオムライスを作ってくれる」って言って城に帰って行ってしまった。僕たちの扱いひどすぎないか?
「比奈斗は何をやってんの?」
「これか?これはあのバッチの改造さ」
「改造?修改?modification?modifica?」
「まぁちょいといじってんのさこのバッチの使用用途を増やすためにさ」
「へーどうして?」
「ちょっとあの館、嫌な予感がするんだ。だからお前にこれを持っておいてほしい」
比奈斗は僕に別の何かを渡した。
「ほかの誰にもこのことを教えるなよ。そしていざという時のためにお前の許可がないと作動しないようになっている。…… まぁ使う時になれば分かるさ。」
「……分かった」
「うまく使えよ俺の――――――をな」
これは緊急時の時だ。その時までは使わない……
僕はこれを《《道具袋に入れなかった》》。