第十六章 恐怖
――翌日
僕達はわーぷで都市に行き。そこから出発することになった。
「気を付けるんじゃぞ」
「はーいおじいちゃん!」
「比奈斗よ死ぬるんじゃないでぇ!」
「……がんばるよぉ」
僕は比奈斗と一緒に都市から歩き出した。
「どうしたの?比奈斗。元気ないじゃないか?僕の朝ごはんでも食べる?ポテチほどではないけど……おいしいよ?」
「いやいらん。そして何でお前はまだ食べてないんだよ……」
「ならどうしたっていうの?」
「えっとなぁ……やっぱ何でもない」
――十五分後
僕達は歩いていると山が見えてきた。
「山だ!」
「なに初めて見たみたいな言い方してんだよ。お前の家は山だろ」
「それであそこの洞窟を潜れば山を越えられると」
「そうだな」
しばらく歩いていると草むらから狼が二体現れた。
「新しいモンスターだ!」
「こいつは!……覚えてねぇ」
「せめて特徴でも!」
「確か名前は……ワンスだったけ?牙が犬より鋭い。……確か」
狼は僕に走ってきた。
「エアコンプ!!」
狼は身体が縮まっていき最終的には破裂して鮮血をまき散らした。するともう一体は叫びながら逃げて行った。
「ふう。何とかなった。」
少し歩いて行くと洞窟の入り口が見えてきた。
「まずいよぉ。まじやばいよぉ」
「?」
「ぶへぇ!真顔で人を殴るんじゃねぇ!!」
僕達は洞窟に入る。中は思ったよりも暗かったが松明が進路を示してくれていた。
「へー。ご親切な洞窟だなぁ」
「ここはモンスターは出やすいけどな」
松明を辿っていくと地面が盛り上がった。僕達は武器を構えると、出てきたのはモグラだった。
「なんだ。ただのモグラかー」
「おいちょっと……」
僕はモグラをツンツン触る。するとモグラは牙をとがらせて思いっ切り嚙んできた。
「あ゛あ゛ああぁぁぁぁぁ!」
僕は剣をすぐに取り出してモグラを切り刻んだ。モグラの嚙む力は段々と弱くなっていく。
「ふう」
「やばいよぉこのおにいt―――ぐふぉ!?」
比奈斗はドン引きしていたが僕は気にせずに進んでいった。さらに進んでいくと見覚えのあるモンスターが見えてきた。
「あれは……」
ブタンクだ。しかし前と違って剣と盾を持っている。しかも鎧まで。モンスターも成長するもんだ。ブタンクは僕らを見るなりに『グォー』と恒例の声で走ってきた。
「俺にまかせな」
比奈斗が僕の前に出る。
「スドーム!」
ゴーレムが地面から生成される。(今回は洞窟なので羽なし)
「行けぇ!」
比奈斗のゴーレムがブタンクに走る。ブタンクは盾を構えた。そこにゴーレムがパンチする。するとゴーレムの拳はブタンクの盾を貫通して腹に突き刺さった。ブタンクをそのまま倒した。ゴーレムが強いのかブタンクが弱すぎるかが全く分からん。
しばらく進むと灯りが見えてきた。
「出口だ!」
「……」
洞窟を出ると丁度海が見えた。
「海だぁー!」
「子供かよ……」
僕が海の方向に行こうとすると手を引っ張られた。
「目的はこっちだ」
「えー」
僕達が向かう方向には大きな城が見える。どうやらあそこが目的地らしい。
僕達は城下町に行った。城下町の商店街には特産品の魚はもちろん。武器屋や防具屋、道具屋などが並んでいた。
僕達は各店で買い物を済ませるとわーぷ君を探した。
「あった」
「そうだな」
フツーにあった。わーぷ君が浸透しすぎで怖いんだが。
「……遂に行く時が来てしまった」
比奈斗がそっと呟く。
◆ 畑堀 比奈斗 ◆
俺には怖いものがある。それはオバケ、サメ、G……そして幼馴染だ。俺は昔上吉爺さんの事情でアクウルに行くことになった。どうやらアクウルの王様と友達だのこと(人脈広くね?)俺はその娘さん。後に母が亡くなり女王となる彼女と暇つぶしで遊んでいた。初めはあまり話さなかったが、いつの間にか何でも話せるような仲になっていた。
そんなのでなんで怖くなったって?そりゃああいつは頭は良くないのに力は強いバカだ(こいつ王女にしたら国終わるぞ)。
まぁだいたいもうわかるだろ?いろいろあって今は仲めっちゃ悪いってことだ。そんなやつを切れさせたら……骨折どころじゃないぞ。(一度怒らせて骨折した)
そんなことあったらいちいち会いに行かないだろ?だから最後に会ったのが3年前だ。そんな会いたくない奴の国に行けと?最悪同行することになるぞ。そんなのいつ殺人現場が出来るかわったこっちゃない。
気付いたら俺は城の前にいた。俺はタヒを覚悟して城に入った。城の廊下には色んな美術品が置いている。そういえばここの王様が確か美術品を集めるのが趣味だったとか。しばらく歩くと巨大な扉が見えた。俺は扉の前であらかじめ買っていたレアアーマーを十個くらい使った。これで防御が6から20くらいになったはず。
「……いくか」
「うん」
俺達は扉を開いた。扉の先には玉座に座る少し太ったおじちゃんがいた。
「よくぞやってきた。話は上吉から聞いておる」
「それなら話が進みやすい」
僕たちが話していると照馬は俺達見ている。
「どうした?」
「本題がわからん」
「お前の爺さんから聞いてないのか?」
「全く分からん」
「なら改めて話そう」
王様は「ゴホン」と咳払いすると手紙を読みだした。
「『魔王が復活した。今のわしたちでは勝てないであろう。お前の娘をわしの孫たちのパーティーに連れていって欲しい。もちろん代わりにお前の国の問題を一つ解決してやろう……比奈斗達が』だって」
「アイツ勝手に国の問題押し付けやがったぁぁ!!」
「そういうことで頼むぞ」
「頼むってなにをさ?」
「あ!あの館のやつ?」
「それじゃそれ!」
「館?」
「最近海辺の生物を食い荒らしているせいで特産品の魚が取れないらしい。それどころか人が行方不明になってるって噂だ」
「それを僕たちが?」
「その通りじゃ」
「マジで行くことになった」
「そのためにうちの娘もパーティーに連れていってくれんか?」
「いやそれは流石にやめt――」
「はーい!」
「おい!?」
「それじゃあ呼んでくるよ」
――数分後
階段から奴が降りてきた。あの姿は忘れもしない。青くて長い髪。豪華だが動きやすそうな服。俺より低い身長。アイツの姿は昔と全く変わっていなかった。
「自己紹介をしなさい」
王様の一言により奴は話し出す。
「青海 入夏です」
「よろしく入夏さん!俺は草野 照馬!」
「別にこれから一緒に冒険するんだから呼び捨てでいいわよ」
入夏は挨拶が終わると俺をみて文句を言った。
「アンタも全く変わらないね。アンタも自己紹介しないの?」
「俺は人脈が広いおかげでやる意味がねぇよ」
「ならこの三人でよろしくねー」
王様はそのまま自室に帰ってしまった。(この王様気楽だなぁ)
「それで今回は館の件だっけ」
「そうそう、住民の目撃情報によれば緑色で体がでかい一つ目の化け物らしいわよ」
「俺達がそこに行けと」
「そういうことになるわね」
俺達は情報収集のために城下町の港に行った。港には漁に行くであろう船が並んでいた。俺達は分かれて各自で調べるようにした。
◆ 草野 照馬 ◆
僕はまずは船の近くの人達に話しかけた。
「海の館について知りませんか?」
――数分後
みんなと町の中心である噴水に集合する時間になった。僕は取ったメモを見る。
『人を捕まえる』『館の中は迷宮』『人語を話す』『館は南西にある』
数十人に話しかけて得た情報がこれだ。どう見ても情報が少ない。
「お前はどうだった?」
「館と怪物の情報が少し」
「俺は館の外観くらいだ」
比奈斗と情報交換をしていると入夏がやってきた。
「お前は?」
「怪物の特徴ならわかったわよ」
入夏の話によると自分たちの二倍くらいのサイズだそう。
「あと」
「あと?」
「船を確保したわ」
「マジかお前!?でも誰が操縦するんだよ?」
「あたしにまかせなさい!」
「この船、沈まないよな……?いや、沈められないよn―――」
「なんか言ったか?」
「いや何でもないです」
僕達は入夏に案内され船に向かった。本当に色々と大丈夫なのだろうか?




