第十五章 救世主
ゴーレムがハエのように群がっているのを遠くから眺めているとでっけぇコウモリが叫びだした。コウモリが叫ぶと蠅のようにしぶとかったゴーレムがすべて砂になって散ってしまった。
「クソッ」
「やっと僕の番が来るぞ!」
僕はコウモリに向かって飛んだ。しかしコウモリとの距離が長すぎたのかビルの頂上から落ちてしまった。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁ!!!」
比奈斗はコウモリから距離を離しているから僕に届くはずもない。地面に近くなってきた。このままでは頭から落ちて戦闘どころじゃなくなってしまう。そして前回のように比奈斗がとどめを刺してしまう……!! 前回のように比奈斗がとどめを刺してしまう……だと!?俺はこの小説の主人公だぞぉぉぉぉぉ!!!
僕がそれに気付いた時には遅かった。目の前には地面。
―――その時。誰かが僕をキャッチした。男だが比奈斗のように茶髪だが瞳は緑色。比奈斗より背が高くはない。そいつは少し黒くてメカニックな服を着ていた。比奈斗も彼の存在に気づいたようだ。しかし比奈斗が彼を見ると目を見開いた。
「その服……さては研究者だな。」
「……その通りだ」
研究者は異世界の物を調べている者たちだ。男は僕を比奈斗のいる方に連れて行ってくれた。
「貴様等は下がっていろ。それ以上は危険だ」
「なんだと!?俺たちだってこのコウモリくらい通せるぞ!」
「こいつくらいこの俺にまかせろ」
言った途端に男から凄いオーラが出てきた。男はコウモリの頭の上まで飛ぶと顔面に拳をぶつけた。コウモリは一歩下がって低い声で唸った。そこに手から出した謎の魔法をコウモリに投げまくった。
「⁉ こいつまさか……」
比奈斗は何かに気が付いたようだが僕には全く分からなかった。
魔法を投げ終わるとコウモリにアッパーをしてからかかと落としを食らわせた。コウモリは地面に倒れる。コウモリは羽を使って男を吹き飛ばす。男は「チッ」と舌打ちすると手をかざした。
「……フン」
すると男の目の前に緑色の剣が現れた。男は剣を取るとコウモリから距離を取り振りかぶった。剣からは波動が出てくる。コウモリに当たるとコウモリの身体は切り刻まれていく。
「貴様に丁度いい技を見せてやろう。」
剣を収めると拳を構えた。拳に段々と緑色のオーラが溜まっていく。そしてそのままコウモリの懐に突撃した。そして思いっ切り拳をぶつける。
コウモリは数メートル飛ばされて消滅した。
「……帰ったようだな」
男は僕達の方に戻ってくる。
「気をつけろよ」
それだけ言うと帰ろうとした。
「おいお前!」
「……どうした?」
「俺たちと魔王を倒さないか?」
比奈斗が男にスカウトする。それは僕も賛成だ。なぜならあんな人が仲間になったら百人力だ。
「……馬鹿馬鹿しい」
「……は?」
「なんで俺が貴様等について行く必要がある?俺には仕事がある。邪魔しないでくれ。これからあのコウモリの原因を調べるんだ。まぁ俺が暇だったらついて行ったかもしれんがな」
男はそのまま去ってしまった。
「何なんだアイツ―――!」
結局あの男は何者何だったのかは分からなかった。(ちゃんとわーぷくんはあった)
―――翌日
比奈斗が僕に話しかけてきた。
「何?」
「上吉の爺さんが話したいことがあるらしい。」
比奈斗に言われて僕達は畑堀家に行った。
家の玄関口で上吉さんが待っていて。僕達を見ると「いらっしゃい」といいリビングに連れて行った。
あまりリビングに来なかったから気付かなかったけどリビングは広くてダイニングテーブルには既に誰かがいた。
「おじいちゃん!?」
「話があるって聞いたから来たんじゃ。」
僕達は席に着くと壁におじいちゃんは映像を映し出した。映像にはこの世界の地図が映し出されている。上吉さんが棒を出すと刺し棒のように使い始めた。
「ここがお前達が行ったと聞いた都市じゃ」
上吉さんは都市の方を刺す。
「(何でばれてんだよ)」
「(さぁ?)」
次は都市の近くにある海沿いの国を刺した。
「次はアクウルと言うこの国を目指して欲しい。洞窟を通らないいけないがまぁ一日もあればたどり着けるぞい」
「アクウルゥ!?マジで行かないといけないのか?」
「マジじゃ」
「マジかぁ――――あそこ嫌いなんだよなぁ……」
そして上吉さんは比奈斗に目を向ける。
「案内は……頼むぞ?」
比奈斗は顔面蒼白になって震えていた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
少し叫んだあと比奈斗は倒れてしまった。僕は比奈斗を指差して聞く。
「これどうすればいいですか?」
「「放置しとけ。」」
そして比奈斗は倒れたまま数時間放置されるのであった。
「おじいちゃん!アクウルって何があるの?」
僕は家に帰ってからおじいちゃんに聞く。
「魚の名産地何じゃが……最近問題があってのう……」
「何があるの?」
「近くの海に館立ってから魚が減ってしまったんじゃ」
「気のせいじゃないの?」
「国の調査によると館がたってから収穫量が20%も減ってしまったんじゃ。だから館に行くものもおるが……」
「だけど?」
「誰も帰ってこないんじゃよ」
「へ?まさかそこの調査を僕らに……?」
「さぁ」
「はぁ?」
「王様から呼んでいるだけで要件は知らんぞい」
「なら何で比奈斗は……?」
「どうやら幼馴染がいるらしいが……」
「らしいが?」
「あとは知らん」
「何でだよ!?」
その後僕は比奈斗の恐怖を知ることになるのであった。




