第十三章 中二病と頭コレクション
「アイツ馬鹿だね」
「そのようだな」
僕たちはさっきまでスカルキングがいた所を見つめていた。
「…………」
「…………? どうした?」
「俺の才能奪われたままなんだが!?」
「まぁそういうときのあるさ」
比奈斗が言うが僕は許さなかった。僕の恵まれた才能を奪ったあの屍が。
「死体のくせにとるんじゃねーよ!この骨ジ〇ャアン!!治癒が使えなくなったじゃないか!!」
しばらく叫んでいたらアレに気が付いた。
それは比奈斗が爆破させた街だった。
「あそこから金目の物とっていこうぜ比奈斗」
「コイツ……」
比奈斗はドン引きしていたが僕は気にせずに街へ走っていく。比奈斗は「念の為だ」といって僕の後ろについてきた。結局来るんかい!!
街の中に入ると骨がいろんな所に転がっていた。
「スカルキングが死んだことによってスルナトがすべて動かなくなったようだ。」
「スカルキングの住処って何処かな?」
「あの骨が勢い良く飛んできたとこじゃね?」
スカルキングはたしか街の中央から出てきたはず……
――数分後
全く違った。どうやら町の内番奥にあったらしい。僕たちはスカルキングに住処に入る。
「ここは直撃を食らった場所か……」
比奈斗が冷静に分析していたけど面白くなさそうだったので、スカルキングの遺品を見せた。
「頭が飾ってあるよ!!」
「頭ァ!?」
スカルキングの頭が飾ってあった。下にはそれぞれプレートがつけてあった。
「なになに……日常用、訪問用、誘拐用、拷問用、暴走用、だってさ。」
日常用は笑顔の頭だった。なんでボスが笑顔なのかはわからんけど。訪問用は普通の顔、誘拐用は人に近い不気味な顔、拷問用はザ・ドクロだった。しかし暴走用だけが置いてなかった。
「日常用が置いてあるってことは、戦った時の顔は暴走用だったのか……」
「あんなセンスのない顔で来られてもな……」
今思えばスカルキングの顔は歯を食いしばって、赤く怒りマーク(よくあるやつ)がたくさんついたやつだった。
「この頭売れば金になるんじゃね?」
「確かに!」
「早速道具屋に直行だ!!」
僕たちは秒でカニスに戻った。早速道具屋に入る。……しかし誰もいなかった。
「そういえば、みんな隠れてるんだっけ?」
「あ。」
僕たちが後ろを向くと道具屋の扉は強引に開けられ、壊れていた。その騒ぎを聞きつけた定員がやってきた。店主は中年で小太りのおっさんだった。
「なぁんの騒ぎだぁ?」
「おじさん!」
「おじさんじゃねぇ!まだ50歳だ!《《お兄さん》》だろ!」
「おじさんだな……」
比奈斗が言っていたが本題に入る。
「買い取って欲しい物があるんだけど……」
「こっちは忙しんだぁまた今度にしてくれぇ。」
「せっかくの首なのに……」
「首ィ!?お客さん!あんたは何を売る気だい!?」
せっかくの首は流石に表現が悪かった。しかし店主が話を聞いてくれたので僕はそのまま話を続ける。
「これだよ!」
僕がスカルキングの誘拐用の顔を取り出す。すると店主は顔色を変えた。
「お客さん。それってまさか……」
「?? ただのスカルキングの頭だけど?」
「お前がスカルキングだったとかじゃねぇよな?」
「うん」
「本当だよな?」
「うん」
「噓じゃねぇよな?」
「うん」
「本当にお前達が倒したのか?」
「うん」
「…………」
――店主はスカルキングの頭を僕から取って外に出たそして
「骨どもが滅んだぞぉぉぉぉ―――!!!!!!」
店主の声に反応して街の人々が巣を守る蜂のように出てきた。
「何ィィ!!!!」
「うお―――!」
「自由だ――――――!!!!!!」
どうやら比奈斗の考察通りスルナトの大軍に備えて隠れていたらしい。街の人達は店主の一言で騒いでいた。この街……噓一つで滅ぶんじゃねぇの?
「誘拐用の頭を選んで良かったな。」
比奈斗が隣で言う。僕達は特にやることもなく突っ立っていたら、店主が察したらしく僕達の所にやってきて言った。
「こいつらが倒したぞぉぉぉぉ――――――!!!!!!」
どんだけ叫ぶんだよ。その声のおかげで民衆は僕達に群がってきた。
「ありがとう!」
「ありがとう!」
「ありがとう!」
「ありがとう!」
こいつらありがとうしか言えねぇのかよ。ありがとうコールの中から長老がやってきてお礼を言い始めた。
「どうお礼をすればいいのか……」
「橋直して。」
「……へ?」
「都市に繋がる橋を直してくれませんか?」
「そ、そうですか。」
「俺たちは次の町に行けたらそれでいいんだぜ。」
比奈斗が横で言う。すると長老は民衆に叫んだ。
「橋を治すぞ!!」
老人の一言で町の人たちは橋の方向へと走って行った。風のように去っていく町の人達を見ていると店主が後ろから言った。
「昔からスルナトに被害にあっていてねぇ。人をさらわれ、街に襲撃され、って大変だったんだぁ。だから倒してくれたお礼として早く橋を直したい。という思いが一致したんだぁ。」
「おじさんはいかないの?」
「まぁ俺もやっていきますかぁ。」
店主も道具を持って橋の方向に走り去った。町に残ったのは僕達だけだ。僕はスカルキングの頭を拾う。
「こいつ、神具だな。」
「あぁそうだな。」
「そういえばあの骨を倒したことによってレベルアップしたんじゃね?」
「そういえばそうだな!一回見てみようぜ!」
道具袋から水晶玉を取り出す。僕はステータスを図ってみた。
Lv.10
HP 504
MP 163
攻撃力 53
防御力 43
素早さ 56
魔力 176
才能 炎系魔法(大)、風系魔法(中)
特技 わーぷ、ファイン、タックリー、エアコンプ
「風魔法を新たに覚えてる!」
「俺も図るとするか……」
Lv.15
HP 160
MP 752
攻撃力 20
防御力 10
素早さ 130
魔力 813
才能 土魔法(大)、雷魔法(中)
特技 ロック、イナ、スドーム、エウォーグ
「思ったより技増えてないんだね。」
「まぁロック一つで大体何とかなるからな。」
「このスドームって何?」
「ゴーレムとかを作成できるぜ。まだやったことはないが……」
「やってみてよ!」
「いや新技の披露はここじゃない方がいいぜ。都市でとっておきの練習マシンが売ってあるからな。」
「何それ気になる!」
「だけど今度な。もう夜だ。早く帰ろう。」
比奈斗が見た方には沈む夕日が見えた。僕はわーぷ君を設定して。家に帰った。
――翌日
朝起きるとリビングにおじいちゃんがいた。
「照馬よ!」
おじいちゃんが僕を呼んだ。僕は都市で見てみたいものがある。
「都市に《《新たな円盤》》が降ってきたようじゃ。」
そう僕はこの《《定期的に異世界からやってくる機械》》を見るために都市に行こうとしているのだ。