第十二章 電気杖破裂
スカルキングは僕を蹴り飛ばした。僕は数メートル飛ばされ、倒れた。敵の攻撃力は高くないはずが起き上がれない。
「ワレノ足ニ魔力ヲ乗セタ。蹴リ、強クナル」
巨大な骸骨は足をぶらぶらと僕に見せてきた。よく見るとスカルキングの足が紫色に光を帯びていた。この前比奈斗に聞いた。あれが魔力が込められている証拠だ。魔力を込めると攻撃とは違うが技の威力を上げれるらしい。スカルキングがのっしのっしと僕にゆっくり歩いてくる。
あと三メートルくらいで手が届く距離になったときに、誰かが僕の前に立った。比奈斗だった。
「面倒くさい技を使いやがって。骨屋店主かなんかかしらねぇけどよ」
「オ前、治癒魔法使エナイ。意味ナイ」
「うん知ってるさ。それじゃあ始めるか……」
比奈斗は杖を構えた。スカルキングの構える。
その途端二人の姿が消えた。上を見ると比奈斗とスカルキングが飛んでいる。
「ほう。お前も飛翔スキル、エウォーグを使えたとはな」
スカルキングは少し後退りした。比奈斗も少し下がる。
「イナッ!!」
比奈斗はイナを唱えた。イナはスカルキングに直撃した。やはりスカルキングは全く食らった様子がなかった。
「オ前、雷魔法使う。オ前、スコシ危険」
「雷魔法がお前嫌いなのか?それならお前にプレゼントをやるよ!」
比奈斗は上空にさらに飛んだ、そして杖を構える。そして魔法を唱える。
「イナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナイナ」
凄い量のイナがスカルキングに降り注ぐ。しかし、スカルキングはイナを紙一重でかわし続けながら比奈斗に近づいた。比奈斗のイナの連呼が終わった時には比奈斗の前にいた。そして魔力を拳に込めて比奈斗の腹部を殴った。比奈斗は数メートル飛ばされて血を吐いた。
あの比奈斗が押されている!?どうにかしないと……。
僕はどうにか立ち上がって、ファインをスカルキングに二発ぶん投げた。スカルキングはファインを一発受けたがもう一つは拳で相殺した。
こいつ!?攻撃力10のくせに生意気な!?
スカルキングが視線を戻すと目の前には比奈斗がいた。比奈斗は魔力を込めた杖をスカルキングの頭部に思いっきり叩きつけた。スカルキングが地面に落とされる。そこに比奈斗はイナを放った。
このまま攻撃を続ければHP 1400000000 のアイツも倒せれるんじゃないか!?
比奈斗は杖にイナを数発込めた。比奈斗の杖が黄色く変化する。
「お前にとっておきのプレゼントをぶつけてやるよ。これでとどめを刺すことは……できてしまうかもな……」
スカルキングはゆっくりと起き上がってエウォーグで比奈斗の方向へ飛ぼうとしている。
比奈斗がなんかすごい技を使おうとしてる!?今の僕がアイツを止めれる技は……
僕はスカルキングに残った体力を使って走った。
「タックリー!!!」
僕はスカルキングにタックリーを使った。スカルキングは僕がこのタイミングに邪魔をして来るとは思わなかったらしい。スカルキングはそのまま僕のタックリーにぶつかり、倒れた。僕も少し飛ばした反動で吹き飛んでから倒れた。
比奈斗はもう少し飛んでからスカルキングの方に急降下してきた。
「食らうがいい!!!」
比奈斗はスカルキングに近づいた。それ気づいたスカルキングは逃げようとする。しかし比奈斗が左手からロックを唱えた。するとスカルキングが足首まで砂に沈んだ。
「|スパインロッド・バースト《電気杖破裂》!!!」
比奈斗がスカルキングにイナを込めた杖をぶつけた。スカルキングはスパインロッド(以下略)を食らい倒れた。
比奈斗が僕の元に走ってくる。
「大丈夫か!?」
「何とか……」
比奈斗は100円高いただの薬草を僕に渡した。僕が100円高いただの薬草を使うと、蹴られた傷が回復した。
「スカルキングは?」
「おそらく倒した」
「ならカニスに戻ろう」
僕たちが歩き始めたその時――
「待て……」
スカルキングが起き上がった。傷だらけなのは多分オートヒミンクが間に合ってないからだろう。
「我ハ回復魔法奪ッタ。イマカラ回復魔法ヲ使ウ」
「スカルキング!やめろ!!」
「……モウ遅イ……ヒミンク!!」
スカルキングがヒミンクを使った。もう駄目だと思ったその時。
「……バカナ」
スカルキングの腕にさらに亀裂が入った。そのままスカルキングの腕は砕け散った。それを見た比奈斗が叫んだ。
「馬鹿が!お前ヒミンク使ったらいけねーだろうが!」
スカルキングの体は更に亀裂が入り、体までもが砕けた。
頭部だけになったスカルキングが呟く。
「忘レテタ……」
スカルキングはそのまま砕けた。