第十一章 骨屋
「人間用って一体どういうことだよ!?」
比奈斗は少し考えた後に吞気に僕に言った。
「スルナトって骨だからもとは人間だからじゃないのか?」
「なんだそんなことか」
僕は構えて比奈斗に言った。
「僕が全員相手するから比奈斗は援護してくれ」
「分かった」
僕はスルナト一体にタックリーをした後にファインを周囲に放った。スルナトが燃えているうちに比奈斗が土魔法でとどめを刺した。残ったのはあと二体。一人一体相手してスルナトの群れを倒した。
*
しばらく進むと廃墟らしき街が見えてきた。
「あの街からスルナトが大量に出てきているから、あの街に入ろう」
僕が街に進もうとすると比奈斗が止めてきた。そして自転車を取り出してきた。僕はその自転車に見覚えがあった。
「それってもしかして……」
「そう『bike JT 改』だ!」
「また作ったのかよ!?」
「あれから少し改良して無人で動くようになった」
「例えば?」
「たくさん買った鎧をそのまま付けた」
「それだけかよ!」
「でも硬さはピカイチだと思うぜ!」
「いや初めから使えよ……!」
「それは……。飛ばしすぎたらいけないからだ」
どうやら前回から学んだようだ。僕はそのまま比奈斗に問う。
「それで何に使うの?」
比奈斗はまた何かを取り出した。
「100円高いただの薬草に特別な薬を入れた。少しの衝撃で爆発する」
「お前は本当に何をする気なんだよ……」
比奈斗はbike JT 改に100円高いただの薬草の詰め合わせを巻き付けてアクセルを押して降りた。bike JT 改は街に突っ込み、街は爆発した。
「終ったぞ」
「比奈斗……。お前は魔王か何かか?」
「帰るか。スルナトも滅ぼしたし」
僕達がマキシイに乗ろうとしたその時。街から巨大な何かかが飛んできた。その巨大な何かはローブと王冠を纏った巨大スルナトであった。
「お前達、街、壊した。我、許さん」
「なんか片言でしゃべってますけど……」
「……つーかお前誰だよ!ポテチはどこだ!?」
巨大スルナトは僕の話は気にせず戦闘態勢を取りながら比奈斗の質問に答えた。
「我スカルキング。骨屋店主。魔王様ニ作ラレ、魔王様ガスベテノポテチヲ持ツ」
こいつを倒さないといけないってことか。まぁ所詮はスルナト。スルナトに毛が生えたほどのステータスだろ。別に骨に毛根ないけど。元からテカテカのハゲだけどね!
僕はステータス覗き見メガネでスカルキングと名乗る敵のステータスを見た。
Lv.20
HP 1400000000
MP 4623
攻撃力 10
防御力 0
素早さ 30
魔力 214
特技 オートヒミンク、スティタレ、ヒーエージ
なんだこのHP!?しかも自動回復!?でもスキルのヒーエージを見る限り治癒魔法で弱点という事で有っているのだろうか。
「何が骨屋店主だ!そしてお前は何が目的だ!?」
「街ヲスベテ滅ボス。骨ガ増エル。魔王様ガワレニ褒メル。我、嬉シイ」
「とりあえず敵なことには変わりねぇ。行くぞ照馬!」
「ああ都市へ行く為にもね!」
全員が武器を構える。先に攻撃を仕掛けたのは比奈斗だった。
「ロック!」
地面が割れてスカルキングが状態を崩す。そこに僕がヒミンクを撃とうとしたその時。
「……スティタレ」
スカルキングの杖から出た黒い靄が僕にまとわりつく。僕は嫌な予感を感じて逃げようとする。
「逃がさん」
「……っ!」
スカルキングの杖が僕の腹に突き刺さる。スカルキングが嘲笑する。
「照馬!」
比奈斗がロックでスカルキングを吹き飛ばす。僕はその間にスカルキングから離れ
、回復魔法を発動させた。
「ヒミンク!!」
……ヒミンクが撃てない!?そんな馬鹿な!?
「ヒミンク!ヒミンク!ヒミンク!ヒミンク!ヒミンク!ヒミンク!ヒミンク!ヒミンク!ヒミンク!ヒミンク!!」
ヒミンクと唱えても僕の手から体を癒す聖なる光は放たなかった。そんな僕を見てスカルキングは嘲笑した。比奈斗は技の効果を僕に知らせる。
「スティタレは相手が使っている才能ごと奪う技だ。そして今奴はお前の治癒魔法を奪った」
「それだったら奴が倒せないじゃないか!?」
「我、治癒魔法以外討伐不可能。オ前タチ、降参シロ」
「そんなことで降参するほど馬鹿じゃねぇんだよ。ポテチの為にはな!」
僕にとってこれが精一杯の時間稼ぎだった。しかしその時間にも終わりが近づいてくるのであった。