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刀と仮面


私の名前は【魔王】ノエル・ディー・オリラルド。

魔神王リベルの息子であり、魔界の五部隊を統括する大隊長。

生まれながらに魔王として期待され、数多の戦争で人族の王を打ち破ってきた。

だが、ここ数百年は戦争もなく、父上は「興味ない」と言って動かなくなった。


それが変わったのは、4年前。

【魔王】ゲイル・ファン・レジベルドが心の界核を奪い、男の子がそれを阻止したという報告が入った。

その夜、父上から呼び出しを受けた。

呼ばれたのは私と、妹【魔王】ルージュ・ディー・オリラルド。


父上はその場で、世界の理を語った。

なぜ人族を滅ぼさないのか。なぜ争いを続けるのか。

そして最後に、私たちに任務を与えた。


私には刀を。

ルージュには仮面を。

準備ができ次第、行動を開始せよ。誰にも伝えるな。


それから4年後。

再び王座に呼ばれた私たちに、父上は言った。


「時が満ちた。希望をこの男の子に託す。ノエル、明日、無事にここへ連れてきてくれるか?」


「父上……命を懸けるほどの価値があるのですか?」


「……頼む。」


ルージュは雫の石を父上に渡し、仮面として吸収された。

私は刀と石を託され、深く頭を下げて王座を後にした。


翌日。

魔力瞬間装置の前に兄妹たちが集まる。


「おいおい、まぢで人界に行くのかよ!ノエル1人で大丈夫か?」

ジルグンドが肩を組んでくる。


「俺は人力を魔力に変換できる。痛くもかゆくもない。」

手を払ってゲートへ向かう。


ゲートを抜けると、父上の言葉通りの少年が前を歩いていた。

右手に本を抱え、身長は100cmほど。

石が光り出す。叫ばれる前に口を押さえ、抱きかかえてゲートへ戻る。


その瞬間、雫の石がイヤリングとして星夜の耳に装着され、腰の刀が震え始めた。


だが、星夜が暴れ出し、手を離してしまう。

彼はゲートの外へ逃げ、私は後を追った。


そこは都市の外の森。

星夜は遠くへ走っていた。


「逃げられるわけないのに……抗いやがって。」


抑え込んだ瞬間、石が光る。

父の言葉が脳裏に浮かぶが、星夜の殺気が強まり、人力が悪魔級に膨れ上がっていく。


刀を抜いた瞬間、頭にイメージが流れ込む――自分が死ぬ姿だった。

刀は父から託されたもの。名も能力も不明。

だが、今は自分の魔力を吸い込んでいるのがわかる。


空気が痛くなった。

星夜の体を包帯が覆い、人力がさらに膨れ上がる。


激突が始まる。

• ノエルの一撃 → 星夜が避ける

• 星夜の蹴り → ノエルが回避

• ノエルの刀 → 星夜が手の甲で受け止め、弾き返す

• 星夜の反撃 → ノエルが後退


「……こいつ……人族の中でも、桁違いだ……」


魔装を展開しようとするが、刀がすべての魔力を吸収し始める。

星夜の包帯がさらに巻き付き、仮面が顔に装着される。


その瞬間――

星夜の拳が私のみぞおちに突き刺さる。


大岩まで吹き飛ばされ、先ほど見た“死のイメージ”が現実になる。


意識が遠のく中、星夜が近づいてくる。

刀を手にし、仮面をつけたまま、私に語りかける。


「ぎみぃ、、づよぃな、、、、。ぎみに、はなしとか、、、ぃげなぃこ、、、、ある。わだしぃ、、、まぉぅ。 ノエル・ディー・オリラルドだ。ぎみは、、、これか、、、、あの城に,、、向へ。、、、父が待ってる。」


伝えきれないまま、黒い霧に包まれ、魔石となって砕ける。


星夜の包帯はほどけ、仮面はイヤリングに戻り、彼は静かに倒れた。


数分後、ジルグンド・ベス・ネルメルが到着。

兄の死と、星夜がそれを成したことをすぐに理解する。


ジルグンドが怒りに震え、魔力を右手に溜めて殺そうとするが、ベスが止める。


「手ぇ、離せ。こいつは殺す。」


「やめておけジル。父上が欲しいと頼んだ子供のはずだ。殺すと父上に殺されるぞ。」


ベスは冷静に判断し、星夜を抱えて王座へ向かう。


魔神王リベルはすでに座していた。

兄妹たちは膝をつき、状況を報告。星夜を王の前へ。


リベルは刀とイヤリングの共鳴を見て、静かに微笑む。


「……おかえり。」


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