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覚悟

同時刻。

魔界では“魔王 vs 6歳”の戦いが始まっていた。

望月星夜の手の甲には、小さく光る六芒星の紋章が浮かび上がっていた。

状況はわからなかったが、この魔族に捕まれば殺される――そう直感し、必死に逃げていた。

「はぁ…はぁ…やばい。見た感じ魔王っぽいけど、匂いも酷いし、殺気がすげぇ。」

振り返ると、遠くから1人の男がゆっくり歩いて近づいてくる。

「おい、逃げるな。無駄な体力使わすな。今すぐ止まれ。」

馬鹿なのか?どう見ても敵なのに止まるわけないだろ。

再び走り出そうとした瞬間、右隣にその男が立っていた。

右手が喉に向かって伸びてくる。

すぐさま後ろに下がり、距離を取る。

魔族はその動きに驚いた。

「お前…その年でもう戦闘訓練でもしてるのか?」

望月は聞き耳を立てず、その場から離れようとする。

「おい、止まれ!」

魔族は追いかけ、すぐに望月の右肩を掴んで地面に叩きつけた。

「ぐっはっ…痛い…すげぇ力だ…逆らえない…息もできない…やばい…」

「落ち着けって。別に殺そうと思ってねーよ。父上がお前に興味あるみたいで迎えに来ただけだからよ。あまり手加減できねーし、落ち着いてくんねーかな。」

殺気は消えていた。

だが、望月にとって魔族は魔族。すべて敵。何もかも奪った存在。

……ふざけるな……

望月が雄叫びを上げ、腕を振りほどく。

魔族は緊張した。

「本当に6歳か…?すげぇ人力だ…」

手の甲の紋章は2倍ほどに拡大し、光も強くなっていた。

「何が迎えだ。貴様らは全て僕が殺す!」

睨みつける星夜の殺気に、魔族は怯んだ。

「はぁ…じゃ少し相手してやるよ。無理と思ったらついて来いよ。」

その瞬間、星夜が目の前から消え、左に現れた。

右のストレートが魔族の顔面に炸裂し、吹き飛ばす。

「いってぇ…めっちゃつえーじゃん。ちょっと本気で行くか。」

魔族は腰から銀色の刀を抜き、肩めがけて振り下ろす。

星夜は両手の甲の紋章で受け止め、弾き返す。

数十秒の激突が続いた。

互いの動きは、もはや人の目では追えないほどだった。

「おいおい…まじかよ…俺のスピードについてきてる…仕方ねぇ…少し力使わせてもらうぞ。」

……“眷属よ”……

魔族の体から黒いオーラが立ち上がり、頭上に巨大な鳥が生まれた。

赤い目のワシ。翼を広げると、風圧が星夜を襲う。

「なんだこの禍々しい魔力は…死ぬ…怖い…だめだ…生きて帰れない…咲を守れないのか…」

4年前の記憶がフラッシュバックする。

……ふざけるな……

「僕はあの日誓ったんだ。咲だけは守るって!」

怒りがこみ上げ、凄まじい殺気が魔族にぶつけられる。

その時、星夜の背中から包帯のような布が4本出てきた。

自分でも驚いたが、それらは両腕・両脚に巻きつき、界核力が増幅されたのを感じた。

魔族は絶望した。

「なんなんだあれは…眷属だけじゃ防げねぇ…」

……“眷属開放”……

禍々しいワシが魔族の体に纏い付き、魔力武装が発動する。

“鷲刀風刃イーディルアルバータ”――通称:イーディル。

刀は黒く染まり、体には黒い風が纏う。

星夜はそれを見て、一発で終わらせると決めた。

右手の甲に人力を溜め、構える。

魔族も一撃で沈める準備をする。

その瞬間、二人は凄まじい勢いでぶつかり合った。

「しねええええええええ!」

「しずめええええええええ!」

周囲は風圧で吹き飛び、轟音が鳴り響いた。

数分間、砂煙で前が見えなかった。

だが、晴れてきたとき――

そこに立っていたのは、ただ一人。



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