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時代が変わる瞬間

星夜の誘拐事件から一年が経っていた。

愛宮咲は何度も露詰に訴えていた――「せいやはまだ生きてる」と。


その言葉に動かされた露詰と杉山は、支部長を交えて会議を開いた。

「もし本当に生きているなら、確認し、連れ戻したい」――その想いは一致していた。


人界には、魔界へ繋がる装置が一つだけ存在する。

北の部署が使用していたが、任務から戻ると同時に南支部が魔界へ向かうことが決定された。


魔界では未確認生物の目撃、誘拐事件が頻発している。

魔族が人界へ侵入し、人間を攫っているのだ。


自然発生するゲートも存在し、魔力が高まると開く。

非能力者のサポート部隊【イモリ】が世界を巡り、ゲートを閉じている。


魔界では人間を奴隷として扱うのが常識。

しかし、魔界で暮らすうちに“鍵が開き”、能力を得る者も多く、組織【自由の紋章暗部セラフィック・ディム】に所属する者もいる。


今回の調査は南支部が担当。

杉山・八田・滝尾の三人が選ばれ、スリーマンセルで星夜を探すことになった。


ゲートは一週間だけ開いたままになる。

その一週間が、唯一のチャンスだった。


その頃、星夜は城の一室で修練を続けていた。

部屋から出たことはなく、食事だけが毎日届けられていた。


味は不味かったが、1年も食べれば慣れ、時には美味しく感じることもあった。


そして――事件は突然起きた。


食事の皿の下に、一枚の手紙が添えられていた。

それを読んだ星夜は血相を変え、壁を破壊して走り出した。


轟音が響き、城の者たちは何が起きたか分からず、状況確認のため集まった。


傭兵とメイドが動き出す。

メイドも戦闘のスペシャリストで、音の方へ向かった。


星夜は叫びながら、誰かを探していた。

一年間ルージュに戦闘を学んでいたため、傭兵もメイドも歯が立たず、次々に倒された。


彼らは悪魔であり、死ぬと魔石へと変わる。

廊下には無数の魔石が転がっていた。


数分前、最初の音が鳴った場所にガリルが到着していた。

壁の向こうには広場があり、誰かが長く住んでいた痕跡があった。


1年前、ガリルはリベルに子供の行方を尋ねた。

「うちの家族に手を出したんだ。生きてるわけないだろ」――そう言われたが、今の光景で確信に変わった。


今暴れているのは、あの子供だ。

父が誰にも知られず部屋を用意し、匿っていた理由は不明だが、兄弟が危ないと察し、魔石を目印に跡を追った。


同時刻、玉座には魔神王リベルが座り、魔人ミミと悪魔セルオが両脇に立っていた。

魔王ゲイルが膝をつき、頭を下げていた。


リベルが用件を尋ねた瞬間、玉座の扉が勢いよく開き、悪魔ジルグンドが飛び込んできた。


「父上!大変です!死んだはずのあのガキが城内で暴れています!しかも向かっているのはここかもしれません!」


その直後、廊下で爆発音が鳴り響いた。



「見つけた」


血だらけの星夜が現れた。

足は震えていたが、目には怒りが満ち、殺気が漏れていた。


ゲイルはすぐに思い出した――あの時の子供だ。

なぜここにいるのかは分からないが、殺気が自分に向いているのは明らかだった。


星夜が殴りかかろうとした瞬間、腹に蹴りを受け、壁に叩きつけられる。

ジルグンドが叫ぶ。


「てめぇなんで生きてんだよ!ここがどこか分かってんのか!」


戦闘態勢に入るが、星夜は目も合わせず、答えもしなかった。

見ているのは、ただ一つ。


腰から帯が現れ、手足を補強するように巻かれ、刀が出現する。


「……ルージュ」


イヤリングが仮面に変わり、顔を覆う。

帯は黒く染まり、星夜は魔力を纏っていた。


魔力は魔族しか使えない力。

人間が纏うなど、ありえない。


動揺する中、ジルグンドの影が勝手に動き、星夜からの攻撃を守る。


「今すぐ下がりなさい!」

――魔人ミミの声が響く。


その瞬間だった。


「……星閃」――呟いた瞬間、空気が凍る

一歩踏み込み、人力が足元から星紋として広がる

刀が振り下ろされると同時に、空間が“一閃”される


気づいた時には、ゲイルの首が飛んでいた。


同時に、王座のリベルが幻影のように消え、ゲイルと思われていた魔王は魔神王のリベルの姿に戻り、魔石へと変わり、粉々に砕けた。


あまりにも突然すぎて、誰も動けなかった。



ガリルが到着し、「父上!」と叫ぶ。

その瞬間、魔人ミミが星夜の首を掴み、城外へと飛び出す。


森の中へ激突。

星夜は木に、ミミは岩にぶつかる。


その光景を、杉山・八田・滝尾の三人が目撃していた。





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