表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
××した扉の向こう側  作者: 星片 廻
第3章.手のひら姫様と期末試験編
36/38

★第36話 風の試験

第22話から28話・32話を大幅修正しました。後に繋がる部分をかなり増やしてます。

流石に1~2章の修正はもうないと思います。何度も何度も変えてしまい申し訳ございません。

また投稿の期間空いてしまったことも申し訳ございません。



 ◆


[・・・]



 土の試験の次は風の試験の始まり。最初に試験を受けた5人が皆の居る場所に戻ると交代で次の5人が試験会場へ入場した。

 戦うのは、牛視件乃、傘木唐博、煙山霧依、鳥羽愛喜、鹿路美香の5人である。連携が取れるのか、全員(鳥羽除く)の顔がかなり憂鬱を帯びていたが、果たしてどうなるのだろうか。


傘木「あの人、ホンマに真面目に戦いやるんかいな…」

牛視「きっとなんとかなるよー。ね、頑張ろう」

傘木「かぁああ~。心配で胃が痛い」


 彼らが歩いていた森林エリアの形がじょじょに変わっていく。気が付けば、何処かの一軒家が立ち並ぶ住宅街のエリアになっていた。


鹿路「大きなビルばっか」

煙山「新宿イメージでしょ」


 雑談をしつつ歩いていれば、スタート地点を表すたいそうな赤色の輪っかに辿り着く。彼ら彼女らはため息をつき、先のことを不安に思っていた。それもこれも、これから相手する人間に原因があったのだ。


風見「いっとくけど、俺真面目にやらないからね」

傘木「いや、そこは真面目にやりますみたいなフリが出るはずやろ」


 少し離れた場所に、体格のいい男が生徒に向かって宣言をする。はなから真面目にやるつもりはないと、らしからぬ発言に傘木がツッコミをいれていた。



 ◆



 本番に戻り、既に両者側で準備は整っていた。直前のウォーミングアップも深呼吸からの気合入れも1週間で講師から教えられたもの全てが身に沁みついている。


水島「じゃあ始め」


 担任からの開始の合図が響く。しかし、誰一人先行して進もうとはせず、ただその場に固まって相手側を見ているだけ。


水島「様子見か」

悟川「(頑張れ…)」


風見「先に動かないってなら俺がいくぜー…ふーっバケモン以外でこうして強めに相手するのは久しぶりだからな。死なないようにな」

傘木「(死なないよう手加減するのはそっちでは?)」


 そよ風が吹いている。だんだんと風が肌を撫でる強さが増えていく。風見はクイクイと指を動かし手を仰ぎ、何かを引き寄せている。


牛視「何か皆移動してない?」

鹿路「え?あ、あホント…だ!!」


 風が舞う。より強い風が吹き始める。鹿路や傘木、煙山の小さい3人がじょじょに追い風によって体が勝手に動いている。さらに真正面から向かい風が吹き始める。前後から常に強い風に挟まれる。



風見「押されたら苦しいだろ?」


傘木「前進めないし、立てない!」

煙山「…!」

風見「攻撃能力じゃないからなー。物理でやっても皆の骨折っちゃうし。こうやって時間稼ぎする程度が良い」


 あまりに強い風、まさに台風と言える程。髪は大きく乱れ、腕を伸ばして目に風が入らないよう本能的に守るしかない。外側から追い風、風見に近づくほど向かい風になり強風に板挟みになっている。身動き取れず、能力さえ当てることが不可能。これ以上かかると制限時間に達してしまう。


 風見の能力は風見鶏。風の強さと向きを自分中心で好きなように操れる。その範囲はかなり広く半径5キロにも至る。



鹿路「た、退却だ―!!!!」



 あまりの風の強さに一時退却として、全員で住宅街の公園へ逃げ込んだ。公園の中にある大きめのドーム型の遊具に、身を小さくして作戦会議を行っていた。風見が生徒達を追いかけている様子はない。


煙山「…はぁはぁ。先生は常に風の向きを操ってる。追いかける時は追い風。私達を引き寄せる時は向かい風。さらに強さも調節してる。ただ広いこの外だと風が一方的で縦横無尽に暴れて仕方がない」

傘木「しかも風に物理的に耐えれるのも牛視だけやもんな。後の俺らは体格が小さいから吹き飛ばされる。鳥羽は守りの体勢しないし」

鳥羽「てへ★」


煙山「勝つなら妨害ぼうがいするしかない」

鳥羽「妨害?」


 煙山の言葉に全員が視線を向ける。彼女は立ち上がるとドームを抜け、公園の端へ歩いていく。全員がついていけばそこには大きな砂場が設置されていた。その砂はさらさらできめ細かく舞えば広範囲な砂嵐を起こせるだろう。

 鹿路や牛視は何となく煙山の意図が分かる。鳥羽は住宅エリアに遠くから鳥を引き寄せる。


煙山「嵐引き起こしてみようよ」



 ◆



 公園から抜け出し、風見を探そうと住宅街を走り回っていく。煙山が主体となり、傘木や鹿路や鳥羽はその後ろを導かれるように走る。鳥羽はちらちらと空を見渡しながら何か考えている。


風見「お探しは俺かーい?」

煙山「いた。移動するよ」


傘木「あいよっす」


 合図から移動の体勢が切り替わる。風見を中心で囲むように追いかける。空を見渡せば雲が幾つかある程度の綺麗な青色。もう一度風見が追い風を引き起こし自分の方へ近づけさせる。


風見「ほら!何かしてみなよ!」

煙山「来た…追い風!行くよ皆!」


鳥羽「いいね。超最高のタイミング!鳥も舞うよ!」


 煙山の言葉と共に、状況は一気に歯車を回転させる。鳥羽は空へ向かい腕を振り合図を送る。見上げれば一瞬のうちに空に大量のカラスが現れた。彼らは大きな布を足で運び、鳥羽がもう一度手を振れば、その布は降ろされ、中から大量の砂が舞い始めた。


風見「わぁ」

煙山「【颮来砂上ほうらいさじょうえん】!!」


 煙山が叫ぶと、空で舞う砂は風と共により強い砂嵐となる。風見の能力を超え、砂嵐は更なる拡大を見せ風見の方へ勢いを増して近づいていく。


傘木「ちゃんと持ってないと飛んでく!」

鹿路「やっばぁー…由羅ちゃんマジつよ」

鳥羽「眼守らないとねー」


牛視「大丈夫。唐博君の傘は防御最強なんだから」

傘木「ハズいって…!」


 傘木は2本傘を生成し、鹿路と鳥羽へ渡し小さな壁を作り砂から自分達を守る。煙山は持っている能力のおかげで砂嵐などを無効化できる。それができない3人は彼女の後ろで耐え忍ぶ。もう一人はその砂嵐に関係無く動ける。


 風見の能力は自分中心に風を操る。一度自分の方に向かい風、彼らにとっては追い風を吹かれれば、手で仰がない限り方向が変わることがない。本能的に砂嵐から目を守ろうとすると手でガードするしかない。そうなれば、風の向きを操れない。


風見「やーこれは目なんて開けれないね…」

牛視「じゃあ大人しく倒されてくださいねー」


 不意打ちだった。牛視は風見が砂嵐を喰らっている間に、ゆっくりと現れて倒せる時期をうかがっていた。元から糸目よりだった彼には砂がそこまで通用しなかった。乾燥が酷くなり、目が見えずらくなり涙が出ても彼には居場所が分かっていた。


風見「よく場所が分かったね。今全部薄茶色の世界なのに」

牛視「感覚鋭いので。予言に敏感だとこうなりやすいらしくて」


 牛視は説明しながら風見の腕を回し、身動き取れないよう固め技をかける。怪力の彼もまた風見よりは劣るが筋肉はあった。能力で強化すれば、簡単には抜け出せないようになった。


風見「はー降参だな」

牛視「はーい。煙山さーん!もう終わりだよー」


 牛視が見えない砂嵐の世界に向かって叫ぶと、あれほど勢いのあった砂嵐はじょじょに弱まり地面に多少砂が色づけて残るだけになった。傘木たちは傘を降ろし、全員で牛視の方へ近づく。


水島「降参を受けた。合格だ」


傘木「やったぁー」

風見「ちゃんと砂使ってきたな。公園のか?」

傘木「え、分かってたんですか?」


風見「あっはは。ちゃんと倒せる弱点を置いておくって決まりがあるんだ。公園があれば砂を簡単に集めて俺を無効化できるだろ」

煙山「お見通し…流石はプロの禍福課」

風見「さて、戻ろうか。君たちの絆に俺の筋肉は涙を流している!」


 合格を受け感涙かんるいする風見のいつも通りの姿に、皆で笑うのだった。


傘木「(筋肉で制圧されなくてよかった)」

鹿路「(絶対負けてた…)」


 ◆


[・・・]


 試験は無事全員合格を貰い、会場にいるメンバーはぞろぞろと帰ってくる。次は残り半分の火の試験になる。悟川はじょじょに迫る自分の番に心臓がバクバクと鼓動していた。だが、それよりも一番心臓を働かせているのは次の釣瓶燈爾だ。燈爾君に頑張れと伝える為、悟川はモニターから離れ燈爾を探す。しかし、彼は寝ていた。それはそれはぐっすりと揺さぶっても簡単に起きない。


悟川「燈爾君?」

釣瓶「……」


 顔色を窺えば、あまり良いものとは言えない。悪夢でも見ているのだろうかと、悟川はもっと彼を起こそうと体を揺さぶり声をかけ続ける。


悟川「燈爾君?燈爾君!」

釣瓶「……」


 これが始まりというには少し遅いが、始まっていた。



風見かざみけい:男・32歳・184cm・10月12日生まれ・出身地:鳥取県・一人称:俺

【能力】風の向きと強弱を操る能力(※ただし自分中心に風を操る)

筋肉を愛する若干ナルシストの男。顔はラクガキのような白く黒で書かれた鳥(異形頭部類)元々は内気で貧弱な人間だったが、太陽な存在に勇気づけられた。よく音信不通の旅を愛する放浪者の親友がいる。

【好物】己・筋肉・筋トレ・唐揚げやささみ・親友や友人


▼良かったら「評価・ブクマ・いいね」してくださると小説活動の励みになります。とっても嬉しいのでお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ